NASAが発表したところによると、火星の大気が現在のように薄くなってしまったのは太陽風によって宇宙空間に飛んでいったからと最新の研究結果で結論付けました。
火星の大気は地球の1%弱と非常に希薄となっていますが、地球の重力の40%である火星の大気がここまで希薄になってしまったのが一つの謎でした。
それが太陽風が原因だったんですね。
当ブログでも火星に過去、海があったって知ってましたか?に書いてあるように、40億年前には広大な海が存在していたことはわかっていましたから、火星の水分が殆ど無くなったのは、数十億年という長い年月をかけて少しずつ飛ばされていったんでしょうね。
そういえば2カ月ほど前にも現在の火星に水が流れている証拠を見つけたとの報道がありましたが、火星にはわずかながら水分が残っているようで、火星表面には水分の流れによる侵食も所々で観測されています。
その画像がこちら
火星が現在のような姿になったのは太陽風によるものと結論付けられたことで何が判るのかを考えてみました。
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火星の大気が希薄になった3つの説
今回火星の大気が消失したのは太陽風が原因と結論付けられましたが、これまでは3つの考え方が以前からあったようです。
2.化学反応により、大量の二酸化炭素と水蒸気が火星地殻内に封じ込められた。
3.太陽風によって宇宙に運び出された。
これらの中で最も有力な説が「太陽風によって宇宙に運び出された・・・」だったので、今回の発表は予想通りというわけですね。
では、どうして太陽風の影響を受けてしまったのでしょうか?
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火星には磁場が無いので太陽風の影響を受けやすい
地球にはどうして磁石みたいにN局とS局があるの?にも書いてありますが、地球にはN極とS局の磁場が存在していることはよく知られています。
地球はこの磁場によって太陽風や宇宙線という有害な放射線から地球を守ってくれているのです。
また大気や水も太陽風の影響を受けにくくなっています。
ところが火星にはこれまでの観測では磁場がほんのわずかしか存在しないことが判っていて、これが太陽風の影響を受けやすく水分が飛ばされてしまったとなったのです。
その想像図がこちら
磁場は地殻の下にある溶解した鉄の対流により生じる?
まだはっきりとは解明はされていませんが、地球の磁場は地殻の下にある溶けた鉄が核の熱により上昇し、地殻付近で冷やされることで沈むといった「上下運動」で対流が起こることで磁場が発生しているとされています。
ところが地球より小さな火星は核が冷えて固まってしまったために地殻との温度差が無くなり、溶けた鉄の対流が止まって磁場が消失したと考えられています。
磁場が無いと地球のように太陽風から守ってくれる“バリア”が無くなるので大気が消失してしまったと考えられていました。
それが今回のNASAの発表で火星の大気が消失したのは太陽風が原因ということが明らかになったことで、また一つ火星の謎が解明されたことになります。
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火星には山脈が無い
火星は地球と同じく岩石でできている惑星で、中心の核もニッケル合金と鉄で出来ているとされています。
また地殻の下にはケイ酸塩鉱物のマントルもあることが判っているそうです。
また火星には地球のようなプレートが無いことも判っています。
プレートが無いのでプレートの移動によってできる「山脈」が存在しません。
それに火星には地球よりも大きな火山が存在するといいます。
それがオリンポス山
これもプレートが無いので大きな火山に成長できると考えられています。
このように火星の内部が冷えてしまうことで大気が消失してしまうとなれば、地球もいずれは同じ運命を辿ることになるかもしれませんね。
映画「インターステラー」を地で行くストーリーになってしまうかもしれません。
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いずれ地球に住めなくなるとすれば、火星のテラフォーミングも考えておいた方が良さそうです。
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