木星表面の模様でトレードマークのような存在である大赤斑は地球でいえば台風のような存在らしいのですが、この大赤斑がここのところ縮んできているようです。
無人探査機のボイジャー1号、2号が接近して木星の表面模様を地球に送ってきたときには大赤斑が鮮明に写っていましたね。
しかし言われてみると確かに大赤斑が小さくなっていることが分かります。
私が40年ほど前に初めて木星の表面模様を観た時に大赤斑も確認できましたが今よりも明らかに大きかったですからね。
大赤斑は今後徐々に小さくなっていき消滅するのではないかとも言われています。
そこで今回は木星の大赤斑について書いてみたいと思います。
木星の大赤斑は300年以上消えたことが無い
大赤斑は木星自体が発見されて以来約300年以上経つのにこれまで一度も消えたことが無く、科学者の間でも謎になっているのです。
分かっているのは大赤斑は地球の台風とは比べ物にならないくらいの大きさと暴風、雷が響き渡るとんでもない嵐の状態ということくらいです。
また台風が低気圧なのに対して大赤斑は高気圧の形であるということ。
これは観測で確認されているそうです。
考えられるとすれば、台風は地殻との摩擦で衰えるのに対して、大赤斑は衰える要因になる地殻が存在しないからといったところでしょうか。
木星には他にも小さな楕円形の渦がある
木星は高速で自転していることで常にジェット気流に取り巻かれているとされていて、それに伴う木星特有の縞模様や帯となっています。
縞模様や帯は大気の流れに伴うものですが、大赤斑はその流れに任せて発生しているようにも見え、赤道よりも南半球側に寄った場所に位置しています。
不思議なのが北半球に大赤斑が無いことです。
(個人的にですが・・・)
また、木星には「オーバルBA」と呼ばれる小さな白斑が確認されていて、これが徐々に赤みを帯びてきたことも確認されています。
何故赤みを帯びてくるのかは解明されていません。
ちなみに木星には地殻が無いので地球のように明確な境目が無いことから、内部に向かうに従って徐々に液状化していくものと考えられています。
あの特徴的な横縞模様は木星内部の高温部分からわき出る熱によって供給され、木星の自転によって形成されていると考えられています。
で大赤斑があってオーバルBAがあって・・・
なんだかいまいち構造的なもののイメージが描けませんね。
いったい内部では何が起こっているのか・・・
これがガスでできている木星型惑星の不思議なところです。
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地球の上空に吹いている風も縞模様
地球にも偏西風と貿易風が上空で吹いていますよね。
出典元:地球環境を考える
地球を外から見るとこれらの風は目には見えませんが、濃いガスでできている木星だからこそハッキリとした模様になって見えているといった考え方もできるかもしれませんね。
あわせて読みたい:地球型惑星と木星型惑星の特徴
このように木星は地球とは全く違う構造のために、知られていないメカニズムがあるんでしょうね。
木星に接近して観測するだけではこれが限界なんでしょう。
木星は地殻が無いために火星のように探査機を送り込むこともできず、かといってバルーン探査機を送る提案もされているようですが、何せ木星はものすごい強風と雷が吹き荒れるといった荒っぽい気象条件のようで、そう簡単にはできないようです。
あわせて読みたい:木星の台風はとんでもない風速らしい
まさに木星は謎だらけの惑星ですが、今後最新技術を駆使した観測によって徐々に明らかになってくるのを期待しています。
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ハッブル宇宙望遠鏡により大赤斑は縮小していることが判った
これまで大赤斑の大きさはハッブル宇宙望遠鏡での観測によれば1996年から2006年までの間に長て方向では15%も小さくなっていることが確認されています。
1800年代の記録によれば楕円の長いほうで41,000kmだったのが1995年には21,000km、2009年には18,000kmと距離にして半分以下に縮小しているのが確認されています。
それも縮小率が加速していると言われていて、このペースでいけば15年後には消滅する計算になるとか・・・
木星の大赤斑が消滅してしまったところで私たちに影響があるとは思えませんが、子供のころから木星の姿を何度も観ていた人たちにとっては何となく寂しいと感じるのではないでしょうか?
天体望遠鏡でも簡単に観ることができる大赤斑が消えてなくなることが無いように望みたいところですね。