ベテルギウスの超新星爆発を今か今かと首を長くして待っていた方も多いのではないでしょうか?
かくいう私もその一人。
つい数か月前にはこれまでにないベテルギウスの減光現象が見られ、ついに来たか!と色めき立ちましたよね。
ところがそんな期待を裏切る悲報が飛び込んできました。
それが
ベテルギウスの超新星爆発は10万年先
えー 楽しみにしてたのに・・・
いったいどうしてしまったのでしょうか?
ベテルギウスの明るさの変化を研究で判明
ベテルギウスの超新星爆発は10万年先との発表したのはオーストラリア国立大学のMeridith Joyceさんたちの研究チーム。
恒星の進化や脈動の流体力学、星雲に関する理論計算を駆使してこれまでのベテルギウスの明るさの変化を分析したところ、ベテルギウスは中心部でヘリウムの核融合が起こっている段階であるとのこと。
過去15年間のベテルギウスの明るさの変化を示した図があります。
2020年だけが異常に暗くなっているのが判りますよね。
この現象がベテルギウスが超新星爆発を起こす前兆なのでは?と騒がれたのですが・・・
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ベテルギウスの質量は小さかった
さらに判明したのはベテルギウスの質量がこれまでよりも小さいということ。
ベテルギウスの質量は、これまで太陽の20倍程度とされてきました。
その質量から計算して寿命は1000万年。
これまでの観測によりベテルギウスの寿命は99.9%経過しているとされていたのです。
そこから計算して現在のベテルギウスの寿命は残り1万年という計算になり、誤差の範囲から明日にでも超新星爆発を起こしても不思議ではないとされていたのです。
ところが研究チームによれば、ベテルギウスの質量は太陽の16.5倍から19倍ほどで、これまでの推定値より若干小さいことが判ったのです。
恒星は質量が小さいほど寿命が長い
これが何を意味するのかというと、寿命が長くなるということ。
というのも、恒星の質量が小さいほど寿命が長くなるのです。
何故、恒星は質量が小さいと寿命が長くなるのかというと、核融合反応がゆっくりと進むため元素の消費量が少なくなるからです。
どれだけ寿命が違ってくるのかというと長いので赤色矮星だと数兆年にもなります。
太陽の寿命は100億年とされ、ベテルギウスの寿命は1000万年とされていましたが、ベテルギウスはこれまでよりも質量が小さいことが確認されたために1000万年以上になったことは間違いないはずです。
しかも質量が小さいと超新星爆発を起こすことなく生涯を終えてしまいます。
ちなみに恒星が超新星爆発を起こす質量は太陽の8倍が分岐点になるとされています。
ベテルギウスの質量は太陽の16.5倍から19倍ほどなのでとりあえずは超新星爆発を起こすには十分な質量ですね。
参考記事:恒星は質量が大きいほど寿命が短い
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超新星爆発までには程遠い
研究報告によるとベテルギウスは現段階でヘリウムが核融合を起こしている段階とされています。
これがどの段階なのかというと、まだ先が残されているということ。
というのも、恒星が若い時には水素が核融合を起こしてヘリウムに変換され、核融合の燃料としている水素が尽きると今度はヘリウムが核融合を起こすようになります。
そして今度はヘリウムが尽きると炭素が・・・
といった繰り返しで次々と重い元素に変換され、恒星内部は玉ねぎのように元素の皮が層となった構造となっています。
超新星爆発は核融合反応が終了した段階で起こる
こうして恒星は核融合を終了した段階で超新星爆発を起こします。
何故鉄になった段階で核融合反応は終了となってしまうのかというと、鉄の元素は安定しているために核融合反応を起こさないとされているためです。
また何故、核融合反応が終了した時点で超新星爆発を起こすのかというと、恒星が球状を保っている要因に関係しています。
それは恒星が球状を保っているのは、核融合による外側へ働くエネルギーと、巨大な質量による中心部に向けた重力でバランスを保つことで球状を保っているのです。
ここで核融合が終了すると外側に向けた核融合エネルギーが無くなるために残された力は内側に向けた重力だけとなります。
その瞬間に恒星のあらゆる元素は中心部に向かって崩壊(重力崩壊)していき、その反発で大爆発を起こす現象が超新星爆発です。
いずれにしてもベテルギウスはヘリウムが核融合している段階ということなので、超新星爆発のきっかけとなる核融合が終了するまではまだ先になるとの結論に達したのでしょうね。
絶対無理じゃん!
ベテルギウスの超新星爆発をお私たちが目にすることは絶望的
以上がベテルギウスの超新星爆発が10万年先まで延長された理由です。
したがってベテルギウスの超新星爆発を私達が目にすることは絶望的になりました。
これまで期待していた方には非常に残念なことですが、宇宙には他にも多くの現象がありますから、いずれとんでもない現象が私たちの目の前に現れると信じています。
それまで根気よく待つことにしましょう。