天気予報を見ていると「温帯低気圧」という言葉を耳にします。
この温帯低気圧とはいったいどのような低気圧のことを言うのでしょうか。
低気圧は周囲よりも気圧が低い部分のことを言いますが、その構造上の違いから大きく分けて「温帯低気圧」と「熱帯低気圧」になっています。
基本的にはどちらも上昇気流により空気が上にもっていかれることで気圧が下がり発生するものですが、「温帯低気圧」と「熱帯低気圧」ではそのメカニズムが違います。
決定的に違うのは、温帯低気圧が温帯気候の地域で発生するのに対して、熱帯低気圧は熱帯から亜熱帯の海洋上で発生します。
温帯低気圧と熱帯低気圧は基本的に構造から違います
温帯低気圧は温度差が、熱帯低気圧は海洋上の水蒸気がエネルギー元になっています。
温帯低気圧は前線を伴う
天気図を見ると大きめの低気圧からは前線が延びていることが多いですよね。
これは温度差から発生するもので、水蒸気がエネルギー元になっている熱帯低気圧にはありません。
前線というのは暖かい空気と冷たい空気がぶつかることで発生する現象で4種類に分けられます。
その4種類とは
「温暖前線」
「寒冷前線」
「停滞前線」
「閉塞前線」
で、それぞれ定義が違います。
温暖前線
冷たい空気に向かって暖かい空気が押す形で進む前線です。
天気図を見ると必ず低気圧の中心から東側にのびていますね。
これは南からの暖かい空気が北にある冷たい空気に進む形になっています。
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寒冷前線
冷たい空気が暖かい空気を押す形で進む前線です。
低気圧の中心から西に向かってのびていますね。
これは南からの暖かい空気に向かって北西からの冷たい空気が進む形になります。
停滞前線
寒冷前線と温暖前線の中間のような形の前線で、暖かい空気と冷たい空気がぶつかったまま停滞している状態になります。
梅雨時の天気によく表れます。
閉塞前線
温暖前線の後方から寒冷前線が追いついた形の前線で、わずかな温度差の空気が移動する時の接触面で発生する前線のことをいいます。
温帯低気圧が発達したのが爆弾低気圧
冬になると北海道で低気圧がモーレツに発達して、大雪で事故や人が凍死したり被害が出ることがありますよね。
これは「爆弾低気圧」と呼ばれていて、よく「台風並みに発達した低気圧」と表現しますが、これは温帯的気圧が発達したものです。
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台風が温帯低気圧に変わるメカニズム
台風情報を聞いていると、「台風は北上とともに徐々に勢力を弱め、熱帯低気圧に変わりました」とよく聞きますよね。
これは単に風速が弱まって台風の基準となる風速が17m/sを下回って「熱帯低気圧」と呼び方が変わっただけで、構造的なものは何も変わっていません。
しかし、たまに台風が温帯低気圧に変わることがあります。
これは風速は関係なく構造が変わったのです。
というのは、台風は北に進むほど冷たい空気にぶつかるようになり、もともと湿った暖かい空気の台風との温度差で上昇気流が起きるようになり、最終的に冷たい空気が中心に達した時点で温帯低気圧になるのです。
したがって前線を伴うこともあり、風の吹き方も広範囲になるので、台風が温帯低気圧に変わったからと言って安全になったとは限りません
温帯低気圧は広い範囲で風が強い
熱帯低気圧が発達して風速が17m/sを超えたものを台風と呼んでいますが、この形の低気圧は中心付近ほど風が強く中心から離れるほど弱くなります。
よく天気予報で台風の暴風域、強風域と分けていますが、
暴風域は平均風速が25m/s以上の風、
強風域は平均風速が15m/s以上
25m/s未満の風が吹いている範囲をいいます。
台風情報を見てみると中心付近が暴風域となっていて、その範囲に入ると暴風警報が発令されます。
コレなどを見ても熱帯低気圧(台風)が中心付近で最も風が強いのが判りますね。