重力と引力の違いって判りますか?
「重力と引力は同じもの」
「どちらも地面に落ちる力でしょ」
って思っていませんか?
それがちょっと違うんですよ・・・
ちなみに引力と重力を辞書で調べてみると・・・
引力:二つの物体が互いに引き合う力。
重力:物体の重さの原因となっている力。
子供のころニュートンが万有引力を発見したことを教えられたはずですが、理科の時間に「重力」という言葉が出てきて、いつの間にかゴッチャになってしまっているんですよね。
そのまま何の疑問を持たずに大人になって子供から「重力」と「引力」って何が違うのって聞かれても回答に困ってしまいます。
そこでここで「重力」と「引力」の違いについて解説してみたいと思います。
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引力は物質が互いに引っ張る力
引力とは文字通り「引っ張る力」ですが、あらゆる物質には大なり小なり引っ張る力、引力を持ち合わせているのです。
ニュートンが発見した万有引力でリンゴが落ちたのは地球の引力が働いたと考えがちですが、正確には地球の引力とリンゴの引力が互いに引っ張り合ったというのが正解です。
地球の引力がリンゴの引力とは比べ物にならないくらい大きいので地球の引力だけを考えてしまうのでしょう。
引力はその物質の質量に比例して大きくなります。
判り易く例えると体重の重い人ほど引力が強いということになります。
ということは、太っている人の方がモテる?
ということになるかもしれませんね!(^^)!
冗談はさておいて、地球は質量が大きいですからそれなりの引力を持ち合わせています。
他の天体を見ればそれが良くわかります。
たとえばいちばん身近な例として「月」がありますが、月は地球の6分の一の引力があります。
6分の一と言うと地球で1メートのジャンプ力がある人が月でジャンプすると6メートルになるということです。
動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻
重力は遠心力も含める
重力は、引力に自転による遠心力を合わせた力のことを言います。
つまり、引力は地球の中心に向かって引っ張る力のことを言いますが、地球はご存知の通り自転していますから外側に向けて遠心力が働きます。
私たちは地球の中心に向かって引っ張られる力から外側に向けた遠心力を差し引いた力で立っていることになります。
これが重力です。
また、地球は北極と南極の自転軸で回転しているので自転軸と垂直に遠心力が働きます。
なので、遠心力が最も大きな赤道が最も重力が小さくなり、遠心力が働かない北極や南極が最も重力が大きいということになります。
ちなみにその差は0.5%の差があるそうです。
さらに遠心力は高い山の方が大きくなるので高ければ高いほど重力も小さくなります。
ダイエットをしている人は赤道上にある標高の高い山にヘルスメーター持参で登ると、ちょっとだけ嬉しい気持ちになるかもしれませんよ♪
また、これによって人は地球の中心に向かって引っ張られるのではなく、遠心力の方向を勘案するので若干ですが地球の中心からズレます。
天文を語る時にえてして引力のことを重力と表現してしまうことが多いのですが、「重力は遠心力を含んでいる」ことを頭の片隅にでもおいておくと理解しやすいと思います。
まとめ
まとめると
重力=引力+遠心力
よく「無重力状態」という言葉が宇宙ステーションで使われますよね。
無重力と言うのは重力がゼロということになります。
つまり地球の引力に対して、宇宙ステーションが地球を周回しているスピードによって遠心力が働きます。
重力=地球の引力+宇宙ステーションの遠心力
となり無重力状態、つまり重力がゼロになった状態ということになります。
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