ロケット打ち上げ

地球の重力から脱出するのに時速何万kmも出す必要が何故あるのか?と疑問に思う方が多いです。

たしかに単純に考えればジェット戦闘機くらいの時速3,000Kmあれば十分なように感じてしまいますよね。

これには燃料の問題があるのです。

早い話、地球の重力を脱出して地球の周回軌道に乗せるためには燃料に限界があるのです。

つまり燃料さえ確保できれば時速3,000Kmのロケットでも地球の重力を脱出することができるのです。

極端な話自転車程度のスピードでも燃料が続けば可能です。

しかし、それにはとんでもない量の燃料が必要で、それの伴うタンクやエンジンも必要になってしまいます。

また重量も増えるのでよけいに燃料が必要になってしまい、1メートル四方の小さな人工衛星を打ち上げるだけでとんでもない大きさのロケットが必要になります。

それにロケットが大きくなればなるほど構造も複雑になり、かえって失敗する可能性も高くなってしまいます。

これではコストや労力もかかり過ぎて現実的ではありませんね。

したがって、人工衛星を打ち上げて指定の高度で安定させるためにはそれなりのスピードが必要になってきます。

それには限られた燃料で打ち上げなければならないのです。

成功率と経費のバランスといったところでしょうね。

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人工衛星は高度によりスピードが違う

人工衛星

人工衛星を打ち上げるときに地球の引力に引っ張られる力と地球を周回する力のバランスが採れるくらいのスピードに達しなければなりません。

これは人工衛星の高度によっても変わります。

高度が高ければ遅く、高度が低いとそれだけ早いスピードで周回しなければなりません。

これにはある一定の決まりである第一宇宙速度と呼ばれる数値があって、最低7.9Km/sという物凄いスピードに達していなければなりません。

時速に換算すると時速28,800Kmになります。

第一宇宙速度とは物体を水平方向に投げた時に地球を一周して戻ってこれるスピードのことです。

ただしこれは地上すれすれに投げた場合を想定していて空気抵抗を受けるのでしだいに落下していきますが、ほぼ空気抵抗の無い大気圏外を飛んでいる人工衛星とは違った数値になります。

とりあえずは地球の引力を振り切るにはコレくらいのスピードが出ていなければならないということになります。

これが大気圏脱出速度です。

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人工衛星の打ち上げは常に東向き

自転

人工衛星の打ち上げを見ているとほとんどが東を向いています。

しかも日本の場合は種子島といった日本では南の位置になります。

これは地球の自転速度を利用しているからです。

ご存知のように地球は西から東に向かって自転していますよね。

太陽が東から西に動いて見えるのは地球が自転しているからなのです。

因みに地球の自転速度は赤道付近で時速1,700Kmです。

地球は北極と南極を結ぶ軸で回転していますから、北極と南極付近が距離的に最も短く、赤道で最も長くなります。

どちらも同じ24時間で一回転するわけですから、当然最も長い距離の赤道のスピードが速くなります。

赤道付近で打ち上げれば時速1,700Kmの加速がはじめから付いているわけですから、「第一宇宙速度」時速28,800Kmから時速1,700Kmを差し引いて時速26,100Kmで済むということになります。

つまり“時速1,700Km分の燃料”が節約できるというわけです。

ただ赤道付近に日本の領土はありませんから、できるだけ南側で打ち上げるという意味で種子島が選ばれたんだろうと思います。

西に打ち上げると同量の燃料では2分の一の人工衛星しか打ち上げられない

地球の自転を利用して東に向けて打ち上げることが効率が良いとされていますが、仮に西に向けて人工衛星を打ち上げるとしましょう。

すると東側に向けて打ち上げるよりも半分の重量の進行衛星しか打ち上げられないそうです。

人工衛星の重さがこんなところにも影響するんですね。

それくらい地球の自転速度って重要な役割があるんですね。

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地政学的リスクを考えて西に向けて打ち上げることも

人工衛星を打ち上げる時にロケットエンジンや燃料タンクなど、大きな部品が落下してきますから、民家に落ちたら危険ですよね。

また通りがかった船に被害があってはいけません。

こんなことを想定して落下想定地域に民家が無いことや、打ち上げ前には海上を航行する船に注意勧告をするなどしています。

世界には日本のような周りを海に囲まれている国ばかりではありません。

隣の国に陸で国境を接している国は多いですよね。

そんな時にはやむ負えず西に向けて打ち上げることがあるそうです。

目的によっては打ち上げる方向は違う

人工衛星といっても全てが同じ目的で打ち上げられるわけではありません。

それが気象衛星だったり、
地球観測衛星だったり、
はたまた軍事用のスパイ衛星だったりするわけです。

静止衛星は赤道上に地球の自転速度と同じ速さで周回するため東に向けて打ち上げられますが、
地球観測衛星となると、南極から北極まで観測するために北向き(南向き)に打ち上げられることもあります。

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