よく初めて天体望遠鏡を購入しようとしている人に「2万円くらいの天体望遠鏡ってどうなの?」と相談されます。
確かに天体望遠鏡というとピンからキリまであり、価格もそれなりに違います。
また、誰でも知りたいのが、その価格の天体望遠鏡でどのくらいに観えるのか?ということですよね。
参考までにお話ししますが、私が初めて購入したのは今から40年ほど前で、当時で2~3万円ほどの屈折式天体望遠鏡でした。
口径は60mmで架台は経緯台ですから、今の性能から考えるといわゆる“おもちゃレベル”です。それでも月のクレーターを初めてみた時には感動モノでしたよ。
当時の記憶ではこんな感じでした。
「これがクレーターなんだ」と、いかにも宇宙船からすぐ近くの月を見ているかのような感覚は今でも忘れることができません。
それくらい目の前に迫ってくる月面は初めてみた人は驚くのではないでしょうか。
他には火星や木星、土星も観てみましたが、表面の模様も観ることができましたし、土星の環もくっきりと観れましたよ。
もっとも、今とは物価が違うために単純に比較できるものではありませんが、当時は人気の天体望遠鏡だったようです。
現在では2万円の天体望遠鏡となると、ホームセンターなどで見かけるような安物レベルになり、天文に詳しい人は買わないと思いますが、話のタネに見てみたいという人ならいいのではないでしょうか。
ただし注意しないといけないのが「バローレンズ」と呼ばれる専用のレンズがあるのですが、「このレンズを取り付けるだけで倍率が2倍になりますよ」と宣伝している店が非常に多いということです。
確かにバローレンズを取り付けると倍率が2倍にはなりますが、大きく見えるだけで画像が暗くなりボケて見えるためにほとんど使い物になりません。
私も初めてバローレンズを取り付けてみた時にはあまりの酷さにがっかりしたことを覚えています。
天体望遠鏡を購入した人ならおそらく1度観ただけでほこりをかぶっているはずです。しいて言えば星ではなくて昼間明るいところで使用するなら使えるかもしれません。
また見逃しがちなのが望遠鏡を支える架台です。
天体望遠鏡には経緯台と赤道儀があって2万円となると間違いなく経緯台になります。
経緯台でも安物となるとガタついてしまい、写った映像が風で揺れてしまいまともに観れないことがあるので注意が必要です。
2万円位の天体望遠鏡で見える限界
2万円位の天体望遠鏡(60mm屈折式)でどの程度に見えるのか一つの目安を書いておきます。
あくまで個人的な見解なので参考程度に見ておいてください。
1.月のクレーターがはっきりと見える
2.土星の環がくっきりと見えるが土星本体の縞模様は見えない。
3.木星の縞模様が2本くらいと大赤斑がうっすらと見える
4.アンドロメダ星雲がぼんやりと楕円形に見えるが渦巻は見えない。
5.オリオン座大星雲が一応写真のような形には見える。
6.火星の模様がぼんやりと見え、極の白い部分がはっきり見える。
おおよそですがこんな感じに見えます。
結局はどこまで見たいのかで決まる
話のタネに天体をただ見るだけでいい人と、できるだけ詳細に見たい人ではオススメできる天体望遠鏡は全然違います。
前者であれば2万円の天体望遠鏡で十分ですし、後者であればもっと高いものをお勧めします。
たとえばよく指標にされるのが木星の縞模様です。(私が勝手に決めていることですが(^^ゞ)
2万円程度の天体望遠鏡でも木星の縞模様を見ることはできますが、ただうっすらと縞が見えるだけです。
それが高価な天体望遠鏡になると縞の数が増えるくらいはっきりと見えるようになります。
したがって木星の縞模様でもただ見えればいいという人なら2万円で十分です。
ただし架台には注意してくださいほとんど使いものにならない架台も存在するようですから。
レビューを見て確認する
今はネット通販が普及してわざわざ店に行って店員の説明を受けると言った面倒なことも必要なくなりました。
アマゾンや楽天などのネット通販は必ず商品のレビューがあり、発売間もない商品以外ならけっこうレビューが掲載されています。
もちろん良いレビューもありますが悪いレビューもあるのでとても参考になりますよ。
あと、OKwebやヤフー知恵袋などの一般人が質問に回答してくれるサイトもあるので「天体望遠鏡 2万円」みたいなキーワードで検索するとたくさんヒットするので様々な感想が見れますよ。
ただしいい加減な回答もあるので、購入前には複数のサイトで確認する方が無難です。