ジャイアントインパクト

太陽系の惑星はどうやってできたのかは、様々な説がありましたが、これまでの観測や小惑星の探査などからようやく一つの説にまとまりつつあります。

以前なら惑星は太陽に引力に掴まって形成されたとか、太陽の高速回転による遠心力から各惑星が太陽から分裂して冷えて固まったとかといった説がありました。

こうした説はいずれもかなり無理な点があったので否定されたのでしょうね。

以前「はやぶさ」が小惑星「いとかわ」のサンプルを持ち帰ることに成功しましたが、現在「はやぶさ2」が他の小惑星のサンプルを持ち帰ることを目的としていて、そのサンプルを分析することで太陽系の成り立ちが判るかもしれないと期待されています。

太陽系惑星の形成については近いうちに一つの説に落ち着くのではないでしょうか。

現在考えられている太陽系惑星の成り立ちはどのように考えられているのか・・・

あわせて読みたい:小惑星から太陽系誕生の経緯がわかる!?

スポンサーリンク
目次表示位置

太陽系はガスや塵から形成された

太陽系の惑星がどうやってできたのかという最も有力な説というのが、およそ46億年前に太陽の周りに存在したガスと塵の円盤から形成されたという説です。

この円盤のことを「原始惑星系円盤」と呼んでいますが、このガスや塵が次第に固まるようになり惑星が形成されたと考えられています。

原始惑星系円盤
原始惑星系円盤の想像図 出典:Wikipedia

太陽系の惑星全体の並びを見るとほぼ横並びになっていますよね。

これは原始惑星系円盤ができたのが元のガス全体の回転運動によるものだからです。

また、太陽の自転軸に対して惑星の公転面がほぼ垂直になっていることや、惑星の公転方向が全て同じなのもそのためです。

あわせて読みたい:太陽系の惑星の大きさと距離感

スポンサーリンク

原始惑星系円盤の初期はガスでできていた

原始惑星系円盤は最初殆どガスでできていたのが、徐々に個体になり小さな微粒子となります。

微粒子がさらに合体して成長し、これが「微惑星」となります。

微惑星は太陽の近くではたくさんできますが、外側では密度が低いために数が少ないと考えられています。

さらに微惑星同士が衝突合体しあって10~20個の原始惑星になったと考えられています。

それが衝突・合体することで今の姿になったといいます。

それがジャイアントインパクトです。

これまでは「ジャイアントインパクト説」といえば、地球火星クラスの天体が衝突して地球の自転軸が決まり、そして衝撃で吹き飛んだ破片が宇宙空間を漂い、それが集まって月が出来たという説でした。

それが他の惑星にも起きていたというのです。

ジャイアントインパクトとは原始惑星同士の衝突

そもそもジャイアントインパクトというのは本体の10%以上の質量を持つ天体が衝突すつことをいい、水星から火星までの岩石惑星は原始惑星同士の衝突で形成されたといわれています。

コンピューターシュミレーションによると太陽系は46億年前に誕生したとされ、その後木星の軌道よりも内側には無数の原始惑星が周回していたとされています。

木星の内側といえば水星、金星、地球、火星の4個ですが、この惑星は岩石や金属でできている「岩石惑星」と呼ばれ、これが10~20個の原始惑星同士のジャイアントインパクトにより現在の姿になったというのです。

つまり木星や土星のようなガス惑星にはジャイアントインパクトは起こらず、その内側の岩石惑星がジャイアントインパクトにより形成されたというのです。

木星や土星のような強大ガス惑星となると対象物が10%以上になる原始惑星など存在することが考えられないことから、木星や土星にはジャイアントインパクトは起きなかったと考えられるからです。

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

スポンサーリンク

冥王星にもジャイアントインパクトがあった

では土星よりも外側の惑星、天王星海王星はどうなのかというと、これもジャイアントインパクトの可能性が高いといいます。

といのは、最近探査機により鮮明な画像を撮影することに成功した冥王星の写真がジャイアントインパクトの痕跡があるというのです。

冥王星の最新画像
出典:NASA

これは冥王星の最新画像ですが、この画像で赤線で囲まれた部分ですが茶色に変色していますよね。

分析・研究によるとこの色は冥王星がジャイアントインパクトにより剥ぎ取られ、埋もれていた有機物が表面に露出して固まったものであると考えられているのです。

冥王星は現在惑星ではなく準惑星に位置付けられていますが、それでも太陽系の成り立ち上ジャイアントインパクトが起きてもおかしくないといいます。

というのも冥王星の軌道周辺には同じくらいの大きさの天体が無数にあるとされ、それが衝突する可能性があるからです。

また天王星は自転軸が横倒し状態になっていますが、これもジャイアントインパクトによるものと考えられています。

つまり木星土星以外の惑星は全てジャイアントインパクトにより今の姿になったと考えられているのです。

惑星の自転軸はジャイアントインパクトで決まった

太陽系の惑星は全て自転していますが、それぞれ独特の自転軸を持っており、どのようにして決まったのか最近になって判ってきました。

最近の研究によると地球は過去5回のジャイアントインパクトを経験して今の環境になり、他の惑星も過去のジャイアントインパクトにより自転軸が決まったというのです。

そして最後のジャイアントインパクトで今の地球環境が出来たわけで、もし違った形のジャイアントインパクトだったら生命の存在も無かったかもしれません。

天地創造の神様に感謝しなければいけませんね。

そして今後の地球にジャイアントインパクトが無いことを祈るだけですね。