無人探査機ニューホライズンズが冥王星に到達して鮮明な画像を地球に送ってきたことが話題になっています。
新聞でもラジオでも冥王星の話題でもちきりですね。
私は朝刊にデカデカと載っていた冥王星の記事に思わず目が行ってしまいました。
驚いたのが冥王星の姿でハート形の白っぽい地形が印象的な準惑星ですね。
私が予想していたのは天王星や海王星みたいにブルーでツルっとした感じだったんですが、いざ冥王星の画像を見たら何となく水星に似ているんですよね。
地球型惑星と木星型惑星の特徴にも書いてありますが、太陽からの距離で惑星の性質が違ってくることから、太陽から遠い冥王星も凍りついた惑星の印象があったんです。
ところが実際に冥王星の姿を見てみたら水星とあまり変わらない感じが意外だったんで、ここであらためて冥王星の大きさを確認してみたんですが、直径が地球の5分の一である2370Kmで月よりも小さいんですよね。
ということは空気が無い月よりも小さいわけですから、大気は存在しないと思いますよね。
ところが様々な観測によって冥王星にも大気があると考えられているんです。
それはチリにある超大型望遠鏡の観測により確認されたもので、冥王星には窒素、一酸化炭素、メタンガスが構成されているそうです。
考えられるのは小惑星や彗星から運ばれてきた氷くらいしか考えられないんですよね。
しかも太陽からの距離が遠いことを考えれば熱で氷が溶けることは考えられず、一体どうやって今の大気組成が出来たのでしょうか?
冥王星は太陽から遠いために大気が脱出しにくい状態
月よりも小さな冥王星に大気があるのは、太陽からの距離に関係があるようです。
というのは大気分子は温度が高いほど脱出しやすいとされています。
月に大気が殆どないのは太陽からの距離が近いために、たとえ他の天体から大気分子が運ばれてきても脱出してしまったからと考えられています。
月に比べて冥王星は太陽から遠いので脱出するほどの温度に達していないのではと考えられています。
温度が低いので窒素や一酸化炭素、メタンが個体で存在しています。
ただ、冥王星の軌道は楕円軌道で一時的に海王星の内側に位置する時があり、このときに太陽の熱で温められて揮発し大気層が増加するといわれています。
冥王星が準惑星に格下げされた理由
冥王星は1930年に発見されましたが、それは海王星と天王星の軌道が何らかの惑星の引力によって理論値と違ってきたために当初から何らかの惑星が存在すると考えられていたのです。
そうしたことから天文学者が探していて予想通り冥王星が発見されたんだそうです。
その後冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」の目的とはでは冥王星が準惑星に格下げされたことは書いていますが、ここではその理由を書いておきますね。
天文学者が考える惑星の定義とは
2.質量と重力が大きくて丸いこと
3.その軌道上で群を抜いて大きく、他に似たような大きさの天体が存在しないこと
となっています。
この定義を冥王星に当てはめたところ、冥王星の付近には似たような大きさの天体だけでなく、冥王星よりも大きな天体まで発見されたので、「3.その軌道上で・・・」の条件に当てはまらないので惑星から除外されてしまったんです。
ところが、長年太陽系の惑星として親しまれてきた冥王星が格下げされることに反対する声も多かったといいます。
そこで2008年に太陽系外縁天体でかつ準惑星の分類名として「冥王星型天体」と呼ばれるようになったとのこと。
現在「冥王星型天体」としては冥王星をはじめ、マケマケ、エリス、ハウメアが指定されています。
衛星カロンがとても大きくて近い
かねてから注目されていた冥王星の衛星カロンですが、何が注目されているのかというと、カロンの大きさと冥王星からの距離です。
冥王星の直径が2,370Kmに対してカロンの直径は1,212Kmと、冥王星の半分以上の大きさがあるんです。
地球の衛星である月(3,474km)が地球(12,742 km)の4分の一に比べればカロンの大きさが母天体である冥王星に対していかに大きいのかおわかりでしょう。
これだけではありません。
冥王星とカロンの距離が異常に近いのです。
その距離がなんと19574.4kmしかないんです。
地球と月が384400km離れているのと比較して約20分の一しか離れていないのです。
これらの関係から冥王星とカロンの間ではどのようなことが考えられるかというと、両者の共通重心を中心に回っているのです。
地球と月の場合は共通重心は地球の内部にありますが、冥王星とカロンの共通重心は冥王星の外側にあるんだそうです。
判りやすく言うと、体重が80kgのハンマー投げの選手(冥王星)が40kgのハンマー(カロン)を持って回転したときに、男性の胸の前あたりに存在する共通重心を中心に回転するということです。
また不思議なのが月よりも小さな天体なのに衛星を5つも持っているということで、しかも共通重心を中心に回っていることになりますから、かなり複雑な動きをすると考えられています。
これは私の勝手な想像ですが、冥王星の衛星はカロン以外は長期で安定的に公転している衛星ではなくて、冥王星やカロンに衝突したり飛ばされたりして入れ替わりが激しいのではないかと考えています。
冥王星の軌道は彗星や小惑星が多数存在する「カイパーベルト」に近いといいます。
そう考えればカイパーベルトから冥王星の衛星候補を次々と捕獲しているような気がします。
報道によると無人探査機ニューホライズンズは今後次々に冥王星の画像を地球に送ってくるそうで、何らかの発見が期待されています。
ただ個人的に残念なのがガス惑星の木星、土星、天王星、海王星よりも遠い遠い岩石惑星の冥王星に行くのですから、探査機を着陸させて欲しかったです。
日本なら「はやぶさ」で培った技術があるので簡単にできそうですが・・・単純すぎる?(^^ゞ
とにかくまだまだ未知の部分が多い冥王星ですが今後の分析に期待しましょう。
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