太陽系にはいくつもの天体がありますが、あまり聞き慣れない天体として「準惑星」というのがあります。
惑星から除外された冥王星や、先日謎の発光現象で話題になったケレスも準惑星です。
惑星でも小惑星でもなく準惑星とはどのような天体なんでしょうか?
それでは太陽系全体で準惑星がどのような位置づけにあるのか見ていきましょう。
太陽系の大まかな構成
太陽系には恒星である太陽を中心に水星から海王星までの「惑星」が公転し、火星と木星の間には小惑星帯、海王星の外側にはカイパーベルトがあり、いくつもの小惑星が公転しています。
さらにもっと外側には太陽系を球状に包みこむようにオールトの雲があり、彗星の多くはここから太陽の方向に向かってくるとされています。
簡単にいえば準惑星は惑星になりきれなかった天体ということになりますが、その基準は何でしょうか。
細かく見ていきましょう。
準惑星は冥王星が格下げされた時に作られたカテゴリー
まずは太陽系に存在する天体の定義から見ていきましょう。
恒星とは核融合エネルギーにより自ら光を放つ天体のことをいい、太陽がこれに相当します。
惑星とは太陽を公転し、自らの重力で球形になっていて、衛星以外の他天体が軌道付近に存在しないことが条件ですが、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星がこれに相当します。
昔は海王星の外側を惑星として冥王星が公転していましたが、月よりも小さいことや付近に似たような天体が多数見つかったために惑星から準惑星に格下げされてしまいました。
つまり冥王星は惑星の
「衛星以外の他天体が軌道付近に存在しない」
という条件が成立しなかったのです。
この冥王星の準惑星への格下げは、2006年の8月に国際天文学会(IAU)の総会で決まったものですが、その時に新たに作られたカテゴリーが「準惑星」なのです。
準惑星の定義
それではこのときに決められた準惑星の定義は次のようなものです。
①太陽を中心にその周りを公転している。
②十分な大きさと質量があり自らの重力で球形になっている。
③自分の軌道上に他の天体も存在している。
これを見ると惑星との違いは③だけで、自分の軌道上に他の天体が存在しないことが惑星になれる条件となります。
先にも書いたとおり冥王星の場合は自分の軌道上に無数の天体が次々に発見されたので準惑星に格下げされてしまったのです。
各準惑星の軌道
現在準惑星としている天体は全部で5個あります。
その軌道を見てみましょう
準惑星名 | 直径(km) | 太陽からの平均距離(天文単位) |
冥王星 | 2,370 | 39.542 |
エリス | 2,400 | 67.781 |
ケレス | 952 | 2.767 |
マケマケ | 1,502 × 1,430 km | 45.482 |
ハウメア | 1,960×1,518×996 | 48.08 |
この準惑星一覧表の「太陽からの平均距離」を見ると「ケレス」だけが極端に内側を公転しているのが判りますね。
これはケレスだけが火星と木星の間の小惑星帯に位置しているからです。
もちろん小惑星帯に位置しているわけですから自分の軌道上に無数の小惑星があるので惑星ではなく準惑星となったわけです。
ケレス以外の準惑星、冥王星、エリス、マケマケ、ハウメアは、「冥王星型天体」と呼ばれ太陽系外縁部を公転している天体です。
ちなみに冥王星型天体には今後の観測で40個を超える数の天体が指定される可能性があるとのこと。
「準惑星」は割と最近作られたカテゴリーだったんですね。
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