月の土地

天体にはそれぞれ重力が存在して、その大きさは質量によって変わって来ます。

もちろん私たちが住んでいる地球でも重力が存在し、人類が安心して暮らしていける一つの要素といえます。

地球唯一の衛生である月の重力は地球の6分の一ですが、アポロ計画で月に下りた宇宙飛行士の歩く様子が地上とは明かに異なっているのがよく分かりましたよね。

また月の重力は地球の海にも影響を与え、潮の満ち干きという現象も起こります。

そこでふと気になったのが他の衛星の重力はどうなのか?

ということで太陽系惑星の衛星の重力が月の重力とどのくらい違うのか調べてみたのでご紹介します。

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太陽系の惑星が持つ代表的な衛星のデータ一覧

太陽系には8つの惑星がありますが、水星金星以外は衛星を持っており、無人探査機により多くのデータだけでなく独特の姿を見せてくれています。

地球の衛生である月は直径にして地球の4分の一という大きさがあり、地球上の潮の満ち干気や自転軸を安定させるなどの影響を与えています。

もし月が無かったら地球の環境は不安定となり人類は居なかっただろうといわれているくらい地球にとって月は貴重な存在です。

他の惑星が持っている衛星はどのようなデータとなっているのか一覧にしてまとめてみたのでご覧ください。

全部載せるのは多すぎるため、惑星ごとに大きなものだけを載せています。

比較対象のために地球と冥王星も載せています。

衛星名 平均半径
(Km)
質量
(Kg )
表面重力
(m/s²)
主天体
地球 6356.7 5.97 × 10^24 9.807 太陽
1737.1 7.35×10^22 1.622 地球
フォボス 11.267 1.26 ×10^16 0.0084 火星
ダイモス 6.2 1.8 ×10^15 0.0039 火星
イオ 1,821.6 8.94 ×10^22 1.79 木星
エウロパ 1,560.8 4.800 ×10^22 1.314 木星
ガニメデ 2,634.1 1.482 ×10^23 1.42 木星
カリスト 2,410.3 1.076 ×10^23 1.24 木星
ミマス 198.2 3.7493×10^19 0.064 土星
エンケラドス 252.1 1.08022×10^20 0.113 土星
テティス 531 6.17449×10^20 0.145 土星
ディオネ 561.4 1.09545×10^21 0.24 土星
レア 763.8 2.3166×10^21 0.26 土星
タイタン 2,574.7 1.3452×10^23 1.352 土星
アリエル 578.9 1.353×10^21 0.269 天王星
ウンブリエル 584.7 1.172×10^21 0.23 天王星
チタニア 788.4 3.527×10^21 0.379 天王星
オベロン 761.4 3.014×10^21 0.346 天王星
ミランダ 235.8 6.59×10^19 0.079 天王星
トリトン 1,353.4 2.14×10^22 0.779 海王星
カロン 606 1.52×10^21 0.28 冥王星
冥王星 1,188.3 1.3×10^22 0.62 太陽

Wikipediaより一部引用

 

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この一覧表を見て一つ不思議な点に気がつきませんか?

月は太陽系の衛星では5番目に大きいですよね。

半径の大きい順から

衛星名 平均半径
ガニメデ 2,634.1
タイタン 2,574.7
カリスト 2,410.3
イオ 1,821.6
1,737.1
エウロパ 1,560.8

となり、月は5番目に大きな衛星であるということが分かります。

そして質量も大きい順から

衛星名 質量(Kg )
ガニメデ 1.482 ×10^23
タイタン 1.3452×10^23
カリスト 1.076 ×10^23
エウロパ 4.800 ×10^22
イオ 8.94 ×10^22
7.35×10^22

と質量においては月は6番目となります。

 

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ところが重力はというと・・・

衛星名 重力
イオ 1.79
1.622
ガニメデ 1.42
タイタン 1.352
エウロパ 1.314
カリスト 1.24

ご覧のようにイオと月が最も大きいことが分かります。

大きさも質量も5~6番目なのに重力は上位に来るということは何故でしょうか?

それは密度が関係しています。

月の土地

密度と重力には相関関係がある

大きさや質量が大きくても、重力がそれに比例して大きくならないのは衛星自体の密度に関係しています。

以下の衛星ごとの半径と密度の上位6個一覧をご覧ください

衛星名 平均半径
(Km)
平均密度
(g/cm3 )
1737.1 3.344
イオ 1818.1 3.528
エウロパ 1560.7 3.013
ガニメデ 2634.1 1.936
カリスト 2408.4 1.851

この一覧を見るとイオと月が最も密度が大きいのが分かりますよね。

密度と重力には相関関係があるので密度が大きくなれば重力も大きくなります。

太陽系の惑星を例に挙げると、水星と火星では大きさと質量は火星の方が3割ほど大きいのに表面重力は殆ど変わりません。

極端な話、中性子星は高密度で知られていますが、大きさは直径20 km程度と非常に小さいです。

それでも中性子星は角砂糖くらいの大きさのもので10億トンもの重力があるとされていますから相当大きな重力であることが分かります。

つまり重力は半径や質量だけで決まるものでなく密度によって変わって来るのです。

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

月の密度が他の衛星よりも高いのは月の誕生にある?

それにしても月の密度が他の衛星よりも高くなっていますが、コレまで月の密度は低いというのが一般的な認識はずですよね。

気になって理由を調べてみましたが、どうやら月の誕生にあるようです。

月の誕生には当ブログ記事月の誕生で最も有力な説とはでも書いてあるように、ジャイアントインパクト説が最も有力です。

アポロ計画で持ち帰った月の石を分析したところ「月の岩石は地球のマントル物質と類似している」という特徴が示すように、月は衝突時に飛び散った地球のマントル物質が集まって出来たと考えれば、密度が高い地球と性質が似るのも不思議ではなく月の密度が他の衛星と比較して高いのもなんとなく分かりますよね。