宇宙のお話を聞くとたまに耳にするのが「中性子星」ですよね。
中性子星は小さいのに重力が桁外れに大きなちょっと変わった天体というイメージです。
中性子星はそれまで理論上存在するはずといった天体だったのが1967年に初めて観測されました。
その正体は小さい割にはとんでもない重力があり、猛烈な自転速度など、私達がイメージするのも難しそうな天体ですよね。
一体中性子星はどんな天体なのか詳しく見ていきます。
中性子星は、とんでもない重力で猛烈な自転速度の天体?
中性子星とは中性子だけで出来た天体
中性子星はその名の通り中性子だけで出来ている天体をいいます。
そもそも中性子とは何でしょうか?
水素や酸素、動植物をはじめ、恒星や惑星など、元は様々な元素から成り立っています。
その元素には原子核があり、その周りを電子が回転しています。
その原子核を構成しているのが陽子と中性子です。
重力が増すと電子の軌道半径が縮まります。
さらにもっともっと重力が増すと最後に電子は陽子とくっついて中性子になります。
原子核は全て中性子で構成されてしまうことになるのです。
つまり中性子星はその膨大な重力で全てが中性子で構成されているのです。
ここでそのきっかけとなる重力がどこからくるのかというと、それが恒星が最後の段階で起こる超新星爆発です。
中性子星は超新星爆発がきっかけでできるんだね
超新星爆発とは恒星の中心部で核融合により中心に向かって崩壊していくことで、恒星の質量によって中性子星かブラックホールのどちらかに分かれます。
中性子星とは恒星の最後の姿
恒星が寿命を迎える時には、その質量により最後の姿が違ってきます。
たとえば質量が小さな恒星は白色矮星、逆に質量が大きな恒星はブラックホールです。
中性子星はブラックホールに成れるほどの質量を持っていない恒星の最後の姿と考えられています。
ちなみに太陽は質量からして超新星爆発を起こすことなく白色矮星になると考えられます。
中性子星はブラックホールに成りきれなかった天体
中性子星の密度はきわめて高く、角砂糖一個あたりの重さは数億トンもあると考えられています。
たとえば直径が20km程度の大きさにもかかわらず質量は太陽の1.5~2.5倍にもなると考えられています。
そんなところに人間が立てばたちまち押しつぶされてしまうでしょう。
ブラックホールは脱出速度が光の速さを超えてしまう
よく中性子星と比較されるのがブラックホールですが、ブラックホールとどこが違うのかというと、脱出速度が光の速さを超えるのがブラックホールです。
脱出速度とはその天体の重力から脱出するのに必要な速度のことです。
地球の周りをたくさんの人工衛星が周回していますよね。
人工衛星を軌道に乗せるためには秒速7.9km必要ですが、これを「第一宇宙速度」と呼んでいます。
また地球の重力を振り切って太陽を公転する形で他の天体に向かうのに必要な速度を「第二宇宙速度」と呼び、秒速11kmを必要とします。
そして太陽の重力を振り切って太陽系外の天体に向かうために必要な速度を「第三宇宙速度」と呼んでいます。
ブラックホールが光さえも脱出できないと言われているのは、ブラックホールから脱出できる速度が光の速度を超えてしまうからです。
つまり中性子星とブラックホールの違いは光が脱出できるかどうかです。
中性子星とブラックホールの違いは脱出速度が存在するかしないかということなんだね
ちなみに中性子星が出来るには太陽の質量の8〜25倍程度以上、ブラックホールが出来るには太陽の30倍以上の質量が必要とされています。
出来たての中性子星は超高速回転している
中性子星は出来たばかりの時には物凄い速さで回転していることが分かっています。
そのスピードが表面で光速の30%近くにも達していると言われています。
また中性子星は磁極と自転軸がズレているため、強力な電磁波がビーム状に発生しているために地球に周期的に向いている中性子星があることも分かっています。
こういった中性子星を「パルサー」と呼んでいますが、中性子星が発しているものと分かるまでは宇宙人の仕業と考えていた科学者もいたそうです。
中性子星って本当に変った天体ですよね。
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