宇宙にはさまざまな姿の天体がありますが、その中の一つに「白色矮星」と呼ばれる天体があります。
白色矮星とは恒星の終末期にとりうる形態の一つで、冷えていくだけの天体ということになります。
質量は太陽と同程度か数分の一で、その割には大きさが地球クラスにまで縮小されるので非常に密度の高い天体になります。
白色矮星は密度が高いだけにそれだけ重力も大きく、人間が白色矮星に立てばたちまち押しつぶされてしまうかもしれません。
何せ白色矮星は角砂糖1個(1cm³)あたりの重さが10t以上にもなるとされているのですから・・・
白色矮星は角砂糖1個が10tにもなるらしい
ただ、白色矮星はその後炭素が高圧によりダイヤモンドになると考えている科学者もいて注目されているそうです。
ここでは白色矮星についてみていきます。
太陽クラスの恒星が白色矮星になる
恒星なら全て白色矮星になるわけではなく、太陽の8倍程度の質量までの恒星が白色矮星になり、それより大きな質量をもつ恒星は超新星爆発を経て中性子星かブラックホールになると言われています。
分かり易くまとめてみます。
●太陽の8倍~30倍の質量を持つ恒星⇒中性子星
●太陽の30倍以上の質量を持つ恒星⇒ブラックホール
ちなみに太陽の終末期は現在の200倍、地球の軌道あたりまで膨張して赤色巨星となり、その後は周辺にガスをまき散らしながら縮小していき白色矮星になると考えられています。
それに似た姿をこと座の環状星雲に見ることが出来ます。
中央に小さな白い点が見えますよね。
これが白色矮星です。
ちなみにこのような星雲を惑星状星雲と呼ばれています。
太陽も最後には惑星状星雲になるんだね
シリウスの連星が白色矮星
現在最も良く知られている白色矮星といえばシリウス伴星(シリウスb)でしょう。
大きさは太陽の0.016倍、質量は1.06倍です。
シリウスはおおいぬ座のα星で太陽系に非常に近い恒星で、近いだけに地上から観測できる恒星の中では太陽の次に明るいとされています。
オリオン座のベテルギウスと、こいぬ座のプロキオンと冬の大三角を形成しているのでオリオン座の東側を見るとすぐに目に飛び込んでくるくらい目立つ恒星です。
そんなシリウスの周りを公転しているのがこのシリウスbで、白色矮星としてよく知られています。
左下の小さな星がシリウスbだよ
白色矮星にも違った姿がある
白色矮星にも単独で存在する物もあれば連星で存在する物もあり、その活動も違った形になることもあります。
たとえばシリウスbのように恒星と連星になっている場合、白色矮星であるの強い重力により相手の星から水素を剥ぎとり、表面に降り積もり強い重力や落下時のエネルギーなどで限界点を超えると核融合を起こすことがあるそうです。
このような天体は核融合を安定的に持続させることが出来ずに暴走して表面の水素を吹き飛ばすことになるとか。
このような天体を「新星」と呼んでいます。
また中性子星と連星になっている白色矮星や、白色矮星同士の連星も発見されています。
白色矮星同士の連星ともなると、強い重力により互いの重心をわずか13分で公転していることもあるそうです。
恒星は連星となると距離や質量によって全く違った経緯を辿るらしい。
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白色矮星は冷えてダイヤモンドになる?
アメリカ国立電波天文台が発見した白色矮星が、これまでの中で最も低温とされ、中心部だけでなく表面までダイヤモンドを形成している可能性があると発表しています。
これまで観測された白色矮星の多くが7,700度~4万度の表面温度で、最低でも3,600度が記録とされていたのが、今回発見された白色矮星は2,700度以下と極めて低温という理由からこのように考えられています。
これは太陽クラスの恒星は中心部の温度が十分に上がらないため、核融合が炭素や酸素を生成した段階でストップしてしまい、白色矮星に至るまで収縮による圧力で炭素がダイヤモンドとして結晶化していると考えられているからです。
もしこの発表が事実となると太陽も最後には巨大なダイヤモンドを残してくれることになり、人類にとっては願っても無い置き土産になるかもしれません。
もっとも、それまでに地球は太陽が赤色巨星になった段階で全てが焼き尽くされると考えられているので、人類が他の星に移住している必要がありますが・・・
といっても太陽が白色矮星になるまでに50億年かかると言われているので今から心配することもありませんが。
太陽が最後にダイヤモンドを残してくれるなんて粋な計らいだね
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