皆既日食のときに地上から見て太陽の周辺に輝いている部分を「コロナ」と呼んでいますが、コロナの温度が100万度というとんでもない高温ということを知ってますか?
しかも100万度という高温になっている原因が未だに分かっていないのです。
太陽の中心部では1500万度、表面では6千度、黒点は4千度であれば、コロナは中心から80万キロも離れ、太陽表面からも離れているためずっと低温なはずなのに、何故100万度と高温になっているのか・・・
太陽表面温度が6000度なのにコロナが100万度って考えられない!
肉眼でもはっきり見えるだけにどうしてこれが分からないのだろうと不思議に思っていますが、何せ宇宙の95%は謎になっている事実からすれば、コロナの温度も分からないのも仕方が無いことかもしれません。
こうした中でも仮説だけはたてられているようで・・・
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太陽の構造
コロナを語る前に、まず太陽の構造について見ていきましょう。
太陽は直径約140万Kmで地球の109倍に相当し、質量は地球の33万倍あります。
地球からの平均距離は約1億4960万kmと光の速さで8分19秒かかります。
太陽はほぼ完全な球体で、ガスで出来ているため、地球型惑星のようにはっきりとした表面というのが存在しません。
中心部より「太陽核」「放射層」「対流層」「光球」「彩層」「コロナ」といった構造になっています。
このようにコロナは彩層から外側を取り巻くガスの層で、これがいわゆる太陽の大気と考えてもいいかもしれません。
コロナは太陽の大気?
その大気が超高音の100万度となっているなんて驚きですよね。
ちなみに、私達が太陽の画像としてよく目にするのが「光球」で、これを便宜上太陽の表面としています。
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コロナの高温は太陽の強力な磁場によるもの
これは一つの仮説ですが、太陽の強力な磁場によるものだという考え方です。
太陽の表面には強力な磁場があり、プロミネンスのような爆発的な現象が引き起こされています。
このときに放たれたエネルギーがコロナのガスに伝わり高温になっているのではないかと考えられています。
コロナの100万度は強力な磁場で発生したエネルギーによるもの?
コロナの密度は非常に希薄
コロナの密度は非常に希薄とされています。
このため太陽表面の百万分の一くらいの明るさしかなく、最も明るい部分で満月程度の明るさです。
なので、肉眼では太陽表面の明るさに邪魔をされて肉眼では観ることができません。
肉眼で太陽のコロナを観測することはできない?
ではどうやって観測するのでしょうか?
コロナを観るには皆既日食を狙う
コロナは、「コロナグラフ」と呼ばれる機材により観ることはできますが、高価で一般的ではないので、普通は皆既日食でしか観ることができません。
したがって、コロナを撮影するには皆既日食を狙うしか方法は無く、ある程度の時間とお金が必要になります。
皆既日食は1~2年に一度の割合で世界中のどこかで観ることが出来るので、皆既日食マニアは世界中を飛び回って撮影しているみたいですよ。
コロナは太陽活動の強弱により形が変化する
コロナは太陽の活動によりその姿を変えることで知られています。
太陽の活動が活発な極大期には同心円状に広がり、活動が活発でない極小期には太陽の赤道方向に広がります。
これはコロナが電気を帯びているためで、太陽の強力な磁場により大きく影響を受けているからです。
こうして作られたいくつもの細い光の筋が集まって、太陽の半径の4~5倍ほどの広がりを持つ複雑なコロナを形成しています。
またコロナが変化する動きは肉眼では確認することが出来ず、数十分単位でしか変化しないようです。
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日本では太陽観測衛星が監視
日本ではJAXAが太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)によって観測されています。
「ひので」には可視光・X線・極紫外線の3種類の望遠鏡が搭載され、太陽大気中の磁場、電流、速度の分布を観測することで、太陽で起こっている爆発などのメカニズムを解明するとともに地球へ及ぼす影響がどのくらいになるのか予測出来ると期待されています。
JAXAのHPでは表だってコロナの超高温を解明するとは書かれていませんが、何らかのヒントを手に入れることが出来るかもしれません。
JAXAの太陽観測衛星「ひので」のコロナ観測に期待しよう!
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