日頃何となく耳にしている太陽の光は地球まで8分20秒かかるとか、その他の星や星雲は何万光年の距離だとといった数値に疑問を持ったことはありませんか?
そうです、
実際に行っていないのにどうして距離が判るの?
ってことですよね。
実はこれは意外と単純な方法で計算されているんですよ。
今回は天体までの距離についての解説です。
三角関数を利用
天体までの距離は中学校の時に習った「三角関数」で計算できる んです。
と言っても大掛かりな測定が必要になってきますが・・・
ちゃんと覚えていますか?私は忘れかけていました(^^ゞ
人間の目って左右が離れていることで物の距離感が判りますよね。
片目を瞑って物を見ると距離感がつかめない感覚になることは誰でも経験があると思います。
また、近くのものを片目で交互に見ると大きく方向が変わりますよね。
ところが遠くの山を同じ方法で見ても、ほとんど方向は変わりません。
人の脳はこうして距離を測定しているのです。
試しに片目だけでキャッチボールをしてみるとよくわかります。
距離感がつかめず物凄く摂り難いですから。
これを星の世界に当てはめててみます。
太陽までの距離が初めて判ったのは1672年で、このときの測定方法は地球上で7000Km離れた場所から太陽の方向を測定することで求められたそうです。
方向(角度)が判ればあとは「三角関数」の計算式に当てはめて太陽までの距離を割り出します。
これを「三角測量」と呼んでいます。
ちなみに太陽までの距離は149,600,000 kmです。
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他の恒星までの距離は地球の公転を利用
太陽までの距離を測定する方法は判りました。
他の恒星も同じ三角測量で判ると考えるかもしれませんが、他の恒星で太陽系にもっとも近い「シリウス」まで8.6光年とKmに換算するととんでもない数値になってしまうくらい遠いので7000Kmの差だけでは方向の変化が判らないのです。
そこで考えられたのが地球の公転軌道上の2点で測定する方法です。
たとえば、ある星に対して秋分の日と春分の日に方向を測定するのです。
秋分の日と春分の日でその差が約3億Kmありますから、方向を測定すると角度が違ってくるというわけです。
これを「年周視差」と呼んでいます。
こんなイメージです
人の目に例えると秋分の日の測定が右目で見た光景とすれば、春分の日の測定は左目で見た光景です。
したがって、人が近くの物と遠くの山を見た時と方向の違いと同じく、恒星が遠ければ遠いほど方向があまり変わらないということと同じです。
これらの測定方法は太陽系から比較的近い(100光年程度まで)恒星までなら可能です。
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恒星の明るさから距離を推測
太陽系から100光年程度までなら年周視差で距離を測定することができますが、それ以上遠い恒星は明るさから距離を推測する方法を採用しています。
まず、年周視差で測定した恒星の性質を調べていき、そのデータを基本に遠くの恒星の明るさから距離を推測します。
恒星は距離が2倍になると、見かけの明るさは4分の1に暗くなります。
距離が3倍になると、見かけの明るさは9分の1に暗くなります。
またその恒星の光をスペクトルで分析して詳細に調べていきます。
こうしてその恒星の「絶対等級」が判るのです。
絶対等級とは、見かけの明るさではなく実際の明るさを表わす等級のことです。
これらの性質を利用することで距離を推測するのです。
銀河系外の星雲は宇宙の膨張速度から推測
さらに遠い天体、たとえば数十億光年離れた銀河までの距離を推測するには、その銀河が遠ざかる速度を使います。
遠ざかると聞くと「何それ?」って感じるかもしれませんが、宇宙は膨張しているために地球から見ると遠くにある天体ほどより速い速度で遠ざかっていることがこれまでの観測で判っているそうです。
その銀河のスペクトルを分析することで波長のズレが生じ、これを観測することで距離が推測できるとのこと。
波長のズレが大きいほど遠ざかる速度が速いことになり、それだけ遠い距離にあるということが判るそうです。
超新星の明るさを基準にして推測
超新星の明るさは宇宙のどこでも変わらない性質があるそうで、その超新星がどのくらい明るく見えるかで距離を推測できるとのこと。
その超新星の距離が判れば属している銀河までの距離もかなり正確に推測できるそうです。