ベテルギウスが近いうちに超新星爆発するとして注目されてから年月が経ちました。
当ブログ記事ベテルギウスが超新星爆発すると衝撃波で人類が絶滅?でも書きましたが、あれから約4年。
当時はけっこう話題になりましたが、今ではその注目度も薄れつつありすっかり影をひそめてしまった感があります。
ではもう一度思い出していただきます。
地上からどのように見えるのかイメージ動画があります。
出典元:ベテルギウスの最期
こんな動画があっても
ベテルギウスは超新星爆発を起こすなんてデマじゃないの?
なんて怒られそうです(^^ゞ
そこでベテルギウスの現状がどうなっているのか調べてみました。
そもそもベテルギウスはどんな性質の星?
ベテルギウスは冬の星座として代表格であるオリオン座のα星として一角を担っている恒星です。
オリオン座は三ツ星が特徴的な星座として馴染み深いですよね。
ベテルギウスは向かって左上の赤く輝いてオリオン座では一番明るい恒星です。
また、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンとで冬の大三角を形成していることでも知られています。
ちなみにベテルギウスの位置と冬の大三角はこちらです。
↓↓↓
ベテルギウスは地球から640光年の距離にあり質量は太陽の20倍とされています。
それでいて直径は14億キロで太陽の1000倍あるそうで、太陽系の中心に持ってくれば木星の軌道付近まで来るほどの大きさだそうです。
ベテルギウスはいつ超新星爆発が起こってもおかしくないと言われているように恒星としては終末期を迎えており、その兆候として表面が凸凹となっていることが確認されています。
その画像がコレ
↓↓
出典元:Betelgeuse captured by ALMA
確かに画像を見ると歪になっているのがはっきりと判りますよね。
これが太陽の1000倍もの大きさを誇るベテルギウスの“最後の姿?”なのです。
ただし質量が太陽の20倍というだけでこれだけ大きくなるのかというとそうではなく、元はここまで大きかったわけではありません。
ベテルギウスクラスの質量を持った恒星は最後の段階では巨大に膨張して赤色超巨星となり、核融合が終了した時点で超新星爆発を起こすと考えられています。
太陽が最終段階で地球の公転軌道近くまで膨張してくるように、太陽の20倍もの質量をもつベテルギウスは木星の軌道まで膨張していると考えられています。
イメージとしては例えば、太陽系の惑星の大きさと距離感に書いてあるように、
直径1mのバランスボール(太陽)が直径200m(地球の公転軌道)の近くまで膨張するというのですから、直径1km(木星の公転軌道)近くまで膨張するベテルギウスがどれほど凄い膨張率なのかがわかりますよね。
ここまで超巨大に膨張したベテルギウスが今にでも超新星爆発を起こしそうなんです。
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ベテルギウスは寿命の99.9%経過している
ベテルギウスの寿命はその質量からして1000万年とされています。
太陽はというと100億年の寿命があると言われています。
太陽の20倍もの質量を誇るベテルギウスが太陽よりもはるかに寿命が短いなんて不思議ですよね。
実は恒星は質量が大きいほど寿命が短いのです。
というのは質量が大きいほど中心部の圧力が高くなり、比例して温度も高くなることで核融合のスピードも速くなるからです。
恒星は中心部で核融合が起きるので温度が高ければそれだけ核融合のスピードも速くなり燃料である水素の消費量も大きくなります。
つまり恒星の質量が大きくなればなるほど質量に対して消費量がそれ以上に大きくなるということです。
ちなみに太陽より小さな質量の赤色矮星は核融合のスピードが遅いために寿命が非常に長く数千億年にもなるといいます。
中には数兆年の寿命を誇る赤色矮星も存在するそうです。
現在ベテルギウスは寿命である1000万年の99.9%を経過しているとみられ、計算上での“余生”はあと一万年ということになります。
加えて現在のベテルギウスの歪な画像から推測すると今にも超新星爆発を起こすのではないかと考えたのでしょう。
結局ベテルギウスが超新星爆発を起こしたのが観られるのは640光年という距離を差し引いて今から一万年以内と考えるのが妥当かもしれません。
科学者の間でも様々な意見があり、いつ超新星爆発を起こすのかははっきりと分からないというのが実情のようです。
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超新星爆発の威力は1,000光年の範囲まで壊滅的な影響がある
ベテルギウスが超新星爆発を起こすと周辺には壊滅的な影響を起こすと考えられています。
周辺の天体には生命体を絶滅させるには十分な破壊力を持ったガンマ線バーストを浴びせると考えられているからです。
ガンマ線バーストとは、簡単にいえば放射線の一種が急激に放たれることですが、地球に到達すれば一瞬で生命が絶滅するほどの威力を持っているそうです。
ガンマ線といえば広島や長崎に投下された原爆により発生した放射線の一種ですから何となく危険性はイメージできますよね。
ガンマ線バーストはオゾン層を破壊して生命体を一瞬にして死滅させるだけの威力があるとされ、かつて4億5千万年前の地球の海に生息していたほとんどの生命体までが一瞬にして絶滅した「オルドビス紀の大絶滅」の原因となったのは、このガンマ線バーストによるものではないかと考えている科学者もいます。
ベテルギウスが超新星爆発を起こして発生したガンマ線バーストを浴びせて壊滅的な打撃を与える範囲というのが1,000光年といわれています。
地球からベテルギウスまでが640光年ですから、ガンマ線バーストを浴びれば生命体が絶滅するには十分近い距離に相当します。
ではそんなことがあり得るのでしょうか?
実はガンマ線バーストは恒星の自転軸を中心に2度の範囲が危険とされていますが、幸いにも地球には20度外れているのでたとえ超新星爆発を起こしてもガンマ線バーストを浴びることはないそうです。
ベテルギウスが超新星爆発を起こさない可能性もある
これまでベテルギウスが超新星爆発を起こすことを前提で書いてきましたが、最近の観測により超新星爆発を起こさないでブラックホールになった恒星も発見されており、ベテルギウスも例外ではないと言える可能性もあります。
これは比較的頻繁に超新星爆発が起きるとされているケフェウス座の渦巻銀河「NGC 6946」を観測していたところ、2009年から急激に輝きを増した恒星を発見してからしばらくして超新星爆発を起こすことなく消えてしまった事例があったからです。
この恒星「N6946-BH1」は、地球から2200万光年離れていて質量は太陽の25倍もあるそうです。
太陽の25倍もの質量があれば通常の考え方からすれば超新星爆発を伴うはずですが、この恒星は6年後に観測した時には消えてなくなっていたそうです。
つまり、超新星爆発が起きなかったと考えたそうです。
もちろん前方を他の天体が通過して観えなくなったということも含めて様々な追加観測を行った結果ブラックホールになったはずという結論に達したのだそうです。
こういった観測結果はオハイオ州立大学のChistopher Kochanek氏によると、これまで超新星爆発を起こすとされた大質量の恒星の10~30パーセントは超新星爆発を起こすことなくブラックホールが形成される可能性があると述べています。
超新星爆発を起こさない10~30%の大質量の恒星の中にベテルギウスも含まれているとしたら、このまま静かに光度を下げて消えていく運命にあるのかもしれません。
ベテルギウスの超新星爆発はあまり期待しない方がいいのかもしれませんね。
とはいえめったに見られない現象ですからベテルギウスの超新星爆発ができれば10年以内に観られることを期待しています。(*^_^*)