太陽系外で生命が存在できるとして期待されている惑星がたくさん発見されていますよね。
その中心となっているのが赤色矮星。
以前は太陽に似た恒星の周りを公転する惑星を中心に調査されてきたようです。
地球に似た惑星を太陽系外で探そうとする考え方は理解できます。
しかし最近発表されている太陽系外惑星の中心は赤色矮星ばかり。
いったい何故このようなことになったのか調べてみました。
赤色矮星とは
赤色矮星は太陽の10分の1くらいの質量の小さな恒星で、表面温度は3,000度と太陽の半分程度で暗い恒星です。
質量は小さいですが、緩やかに核融合が進むので寿命が長く、数百億年~数兆年にもなるとされています。
太陽クラスの質量を持つ恒星の寿命は100億年と考えられ、それよりも質量の大きな恒星ともなるとさらに短く100万年と考えられています。
つまり宇宙が誕生してから138億年の間に質量の大きな恒星が寿命を迎えているので、より質量の小さな赤色矮星が残っていることになります。
ちなみに現在の宇宙に存在する70%が赤色矮星と言われています。
また太陽系周辺の恒星も74%が赤色矮星で、天の川銀河内も多くが赤色矮星で占められているそうです。
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赤色矮星は暗いために観測が難しい
赤色矮星は質量が小さな恒星ですが、その分暗くなり観測は難しいとされてきました。
そのためにこれまでの観測では太陽に似た恒星を中心に系外惑星の観測が行われ、観測の難しい赤色矮星は対象にならなかったそうです。
しかし、最近の観測機器や解析技術の発達により赤色矮星を公転している惑星の発見が可能になったために発見個数が急増しているんだそうです。
つい最近話題になったプロキシマ・ケンタウリは11等級と肉眼では確認することができないほど暗いのを観測できたのは、観測技術の発展が寄与したのでしょうね。
こうした理由により、いかにも赤色矮星の周りにしか太陽系外惑星が発見されていないような印象を受けますが、実は質量の大きな恒星の周りにも惑星が発見されているんだそうです。
また赤色矮星が観測されなかった理由は他にもあったようです。
赤色矮星はフレアが頻発
生命が存在する条件の一つに恒星からのフレアが届き難いということ。
つい最近でも太陽フレアにより地球上で数々の障害が懸念されましたね。
今回は特段大したことはありませんでしたが、過去には大停電を起こしたりしたことがあるくらい大きな影響を受けることがあります。
また怖いのは放射線による人体の被曝です。
地球は太陽から一定の距離があるので大規模なフレアが発生したとしても人体にさほど影響は無いとされていますが、赤色矮星の周りを公転している惑星はかなり近い距離を公転しているのでフレアの影響をもろに受けると考えられています。
ところが最近の研究によればフレアが発生するのは赤色矮星が誕生して一億年の若い星だけに限るのだそう。
また、フレアが起きたとしても1時間以内で収まるほど規模が小さいそうです。
なのでフレアによって生命が死滅することは考えにくいのだそうです。
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潮汐ロックで気温は両極端に?
赤色矮星は表面温度が3,000度と低いだけにハビタブルゾーンはかなり近いところを公転していることになります。
すると考えられるのは赤色矮星に近いために引力により潮汐ロックがかかりやすいということ。
潮汐ロックとは、たとえば地球と月の関係のように月がいつも同一面しか地球に向けていないというように、互いの引力によって自ら回転することができなくなってしまうことです。
ということはその惑星は常に同一面しか向けていないので、昼は灼熱地獄で夜は極寒地獄になってしまうと考えられます。
しかし、その中間地点であれば適度な温度で水が液体の状態で存在することは可能と考えている科学者もいるようです。
赤色矮星の寿命が長いのが生命の誕生や進化に適している
このように赤色矮星の惑星の環境は生命が居住するには厳しいと考えられてきました。
しかし、細かな検証の結果、赤色矮星の寿命が長いということは、公転している惑星の寿命も長いということで生命の誕生や進化に恵まれていることになります。
特に人類のような知的生命体となれば数億年を必要としますから惑星の寿命が長いということはそれだけ恵まれていることになります。
ということで最近の系外惑星観測は赤色矮星が中心になっているようです。
太陽のような恒星の周りを公転している惑星に生命体が存在し易いというのは単なる思い込みだったのかもしれませんね。
私達人類がここまで進化できたのは、ある意味奇跡だったのかもしれません。