太陽系で環がある惑星といえば誰も土星と答えるでしょう。
実際に天体望遠鏡で土星の姿を見ればその美しさに感動さえ覚えますよね。
ところでこの環が土星だけに与えられた特権みたいに感じるかもしれませんが、実は環があるのは土星だけではないんですよ。
つまり太陽系には木星、土星、天王星、海王星の4惑星に環の存在が確認されているのです。
ただ、環といってもとても薄かったり細かったりなど、惑星によっては環の姿も様々なんです。
ここでは惑星の環について見ていきましょう。
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環はどのように出来たのか?
土星の環は数ミクロンから10メートルくらいまでの氷の粒であることは探査機カッシーニによって確認されていますが、どうやってできたかはまだはっきりとしておらず、想像の域を出ないようです。
最も有力な説は出来て間もない衛星が土星に近づき過ぎて潮汐力によって破壊され、その破片が現在の環になったというのです。
他には小惑星の衝突により砕けた衛星なのか、それとも衛星になりきれなかった物質なのか、今後の観測で判明するでしょう。
現在判っていることといえば、土星の衛星「エンケラドス」にある間欠泉から噴き出た水が凍りついて最も外側にあるE環の一部になっていることくらいです。
また衛星と土星の重力相互作用が環に波を発生させてたり、衛星が粒子をまとめて隙間を作り明瞭な境界を維持していることも判っています。
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環はどうやって発見されたのか
土星の環を初めて発見したのは1610年、ガリレオ・ガリレイですが、発見当初は望遠鏡の性能が劣っていたようで、それが環であることは認識していなかったと言われています。
その後1655年にクリスティアーン・ホイヘンスが初めて環であると判断したとされています。
それでは天王星、木星、海王星の環はどのようにして発見されたのでしょうか。
天王星の環は偶然発見された
天王星の環は天王星の大気を観測するために、天王星の後方を通過する恒星の明るさから大気を分析しようと試みられていたとき、天王星に隠れる前と出てきた後数回点滅するのが見られたとのこと。
つまりこれは天王星の環によって恒星が点滅したことが判ったそうです。
それまで太陽系で環を持つ惑星は土星だけと思い込んでいましたから天王星に環があることが判った時には衝撃的だったのを覚えています。
ただ、氷の粒で幅が広く明るい土星の環と違って、天王星の環は非常に幅が狭く、薄くて暗い微粒子の塵でできている雲だったので発見が難しかったようです。
木星の環は探査機によって発見された
土星や天王星に環があることが判ってから他の惑星にも環があるのではないかと考えられていたところに木星にも環があることが判りました。
それは1979年探査機ボイジャー1号によって発見され、1990年代探査機ガリレオによって詳細が観測されました。
その観測から木星の環は衛星に流星が衝突して形成されたものであると考えられています。
ただ木星の環は天王星の環と同様で希薄ですが、それでも4つの層から出来ていることが確認されており、いずれも衝突が原因で放出された塵から出来ているとされています。
ちなみに今ではハッブル宇宙望遠鏡や地上からの大型の望遠鏡でも観測しているようです。
海王星の環も探査機によって発見された
海王星の環も木星の環と同様に探査機ボイジャー2号により確認されました。
ただ他の惑星の環と違うところは環の明るさが同じ層でも違うところです。
形がアーク(弧状)になっているとされ、どうしてそのような形状で安定しているのか未だに原因が判っていないとか。
小惑星にも環があった
こうしてみると太陽系で大型の惑星のみに環があることになります。
つまり重力の大きな惑星だけに環があるのではないかと言われていました。
ところが、2014年小惑星「カリクロ」に環があることが発見されたのです。
どうやって発見されたのかというと、これも天王星の環と同じく恒星が通過するときの点滅によって発見されたそうです。
環の大きさは内側の環は半径391km・幅7km、外側の環は半径405km・幅3kmと2本の環があるといいます。
カリクロは直径が250kmと非常に小さくこれまで巨大惑星だけが環を持っているとされていたのが、このような小さな小惑星でも環を持てることが判り惑星の環のでき方と維持の仕方がより判断しかねることになったといいます。
小惑星に環があったなんて驚きですよね。
宇宙にはどこでも環を持つ惑星がある?
太陽系外に土星の200倍もの巨大な環を持った惑星を発見!にも書いてある通り、太陽系外でも環を持つ惑星が発見され話題になりましたが、この発見以来宇宙には環を持つ惑星は当たり前のように存在するようです。
しかもこの惑星は年齢が1600万歳と非常に若く、これから言えることは惑星は出来たばかりの時には環を持っていて時間とともに消えていくのではないかと考えられます。