地球から見ていると火星や木星、土星などの惑星は真夜中に観ることが出来ますが、金星や水星って太陽からある一定の角度までしか離れないので真夜中に見ることが出来ません。
特に私たちを楽しませてくれる宵の明星や明けの明星の「金星」は太陽の東側と西側を行ったり来たりしていますね。
なかなか見ることが出来ない水星も同じです。
水星や金星は太陽の両側を行ったり来たり・・・
これは何故だかわかりますか?
金星や水星が地球の内側を公転しているから
太陽系には内側から
と8個の惑星が公転しています。
これを見ると地球が太陽から3番目に位置しているのが判りますね。
つまり金星と水星は地球の内側を公転しているのです。
これを「内惑星」、地球より外側を公転している惑星を「外惑星」と呼んでいます。
ということは金星と水星は
太陽→地球→金星(水星)
と並ぶことは無いのです。
つまり金星や水星のような「内惑星」を真夜中に観ることが出来ないのはこういった理由があるからです。
水星や金星は地球から見て太陽の反対側に来ることが無いんだね
金星と水星には最大離角がある
金星や水星が地球の内側を公転していることで、地球から見てどれだけ太陽と離れて見えるのかというと、角度にして金星は最大約47度、水星は最大約26度となっています。
これを「最大離角」と呼んでいます。
ちなみに
太陽より東側に最大に離れる角度のことを「東方最大離角」
西側に離れる角度を「西方最大離角」
と呼んでいます。
太陽と内惑星、外惑星の位置関係を示したイラストがあったのでここでご紹介します。
このイラストを見ると、「東方最大離角」「西方最大離角」と書かれているのが判りますね。
おおよそこの位置に金星や水星が来ることで最大離角となるのです。
金星は47度も離れるのに水星は26度しか離れないんだ
天動説では太陽とセットで動いている
今でこそ金星や水星が内惑星と判っているので、太陽から一定のところまでしか離れて見えないことは簡単に説明できますね。
しかし地球が宇宙の中心であると考えられていた、いわゆる「天動説」が信じられていたころはどのように説明していたのでしょうか?
天動説の矛盾点を当時の人はどのように説明していたの?で書いていますが、この金星と水星の動きをどのように説明していたかというと、何と太陽とセットで動いていたと説明されていたようなんです。
だから太陽から一定のところまでしか離れないんだと・・・
あまりのむちゃくちゃな説明に現代人なら絶句してしまうところでしょうが、当時の観測技術から考えれば仕方ないのでしょうね。
天動説が信じられていた時期はずいぶん無理な解説をしていたんだね
金星や水星は月のように満ち欠けする
天文ファンならよく知っていると思いますが、金星や水星は満ち欠けして見えます。
これは内惑星ならではの現象です。
(外惑星でも多少は満ち欠けします)
上に載せたイラストを見てもらうと判り易いと思いますが、最大離角になった時にはおおよそ半月状に見えます。
また内惑星の場合は地球から見て太陽の反対側に来ることは無いのと、太陽の向こう側に位置しても太陽に近づくほど満月状になりますが、それだけ太陽の光が邪魔をするわけですから、満月状の姿を見ることは困難です。
ちなみに満月状の金星と水星をそれぞれ
「満金星」
「満水星」
と呼んでいますが、上のイラスト中にある「外合」の位置に来た時です。
見てわかるとおり太陽と同方向なので見ることが出来ません。
金星の満ち欠けを天体望遠鏡で観測すると見ごたえがあるよ
ある瞬間だけ丸く見えることがある
そんな内惑星ですが、たった一度だけ丸く見える瞬間があります。
それは太陽の表面を通過する瞬間です。
これなら金星や水星の全体像が見えます。
ただし、日光が当たっているのは反対側なので、こちらに見えている表面の模様を観測することはできません。
もちろん観測衛星による撮影はされていますが、地上からの観測は困難なはずです。