金星の大気

太陽系の惑星の自転や公転方向は、地球で言う北極側から見れば全て反時計回りですが、金星だけが自転の向きが逆なのはあまり知られていません。

この原因はまだよくわかっていませんが、何故そのような姿になったのか、今回は金星の自転方向についてのお話です。

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惑星の自転方向は注目されない。

そもそも惑星の自転は、公転と比べて天文学的いはさほど重要なものではないそうです。

というのは、公転運動の軌道や速度は万有引力の法則で厳密に決められますが、自転については万有引力による制約の範囲外なのだそうです。

つまり、惑星の自転が右だろうが左だろうが、力学的にどうでもよく、他の天体の運動に関する考え方を覆すことが無いと言うことです。

なので、それぞれの惑星の形成や経緯は様々な要因で自転方向などはどうにでもなるだろうといった考え方なんでしょう。

もしも月が無かったら地球はどうなるの?でも書いていますが、実際に、地球の自転速度は昔はもっと速かったのに、月の引力による潮汐力や海と陸の摩擦で減速して、今の24時間という速度に落ち着いたと言われていますよね。

金星はほとんど自転していない

ここで金星の自転と公転に関する数字を見てみましょう。

まず公転ですが、金星は太陽の周りを左回りに225日かけて回っています。

そして自転はというと、約243日かけて自転しています。

つまり金星は太陽の周りを一周する間に自転は一回転もしていないということになります。

ということはほとんど自転していないことになり、太陽系の他の惑星に比べて珍しい姿であることが判りますね。

 

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太陽系の惑星の自転周期

金星は他の惑星とどれくらい違うのか、金星の数字だけを見ても何となくとしか判りませんよね。

それでは金星の自転を他の惑星と比較してみましょう。

惑星名 自転周期 公転周期
水星 58日15時間30分 73日
金星 116日18時間0分 219日
地球 24時間 1年
火星 24.6時間 1.9年
木星 10時間 11.9年
土星 10.2時間 29.5年
天王星 17.2時間 84.3年
海王星 16.1時間 165.2年

これらの数値を見ても規則的な公転周期に比べて、バラバラな数値の自転周期を見れば、先にも書いたとおり「万有引力の法則」では決められないことが判りますね。

 

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金星の自転は小型惑星の衝突?

仮説ですが、太陽系が形成途中で何度も衝突しあっていくつもの惑星が形成され、最終的に金星に小型惑星が衝突して今の姿になったと言うことです。

地球の衛星である月の誕生説ですが、最も有力なのは月の誕生で最も有力な説とはにも書いてある通り、「ジャイアントインパクト説」です。

これが地球の自転方向と自転速度を決定づけたとされていることを考えれば、金星が他の惑星と違った自転方向になったことは考えられないことも無いですね。

小型惑星の衝突の方向によっては金星の自転方向が逆回転になったりすることはあり得ない話でもないと言うことですね。

ただ私の考えでは上の自転周期一覧を見ると、太陽に近い惑星ほど自転周期が長い傾向にあるような気がします。

何を言いたいのかというと、太陽の重力によって惑星自身の自転に影響があるのではないかということです。

地球と月の関係を考えれば、月と地球の引力で生じる「潮汐力」によって月は地球に対して表しか見せず、自転出来ずにいるとされています。

また他の惑星が持っている衛星もほとんどが月のように母惑星に対して表しか見せないとされています。

このことを考えれば金星も自転していないと判断できて、その内側を公転している水星も自転速度が遅くなっているのではないかと考えています。

この考え方が気になって調べてみたら、専門家の意見として水星は太陽に近いために「潮汐力」により自転速度が遅くなったと考えられているようです。

ただしこれもはっきりとしたことは判っていないようで、今後の探査機の観測ではっきりとしてくるものと思われています。

ところで金星って天体望遠鏡で観測すると月のように満ち欠けして面白いですよ♪

三日月、半月など、ミニチュアの月のような姿が初心者向けの天体望遠鏡で十分観ることができます。