太陽系には8個の惑星が公転し、無数の小天体も公転しています。

質量の小さな小天体は太陽や惑星の引力に影響を受けて衝突したり遠くに弾き飛ばされたりと、小天体にとっては安住の域が無いように見えます。

しかし太陽系には惑星の引力により安定した領域というものがあり、実際にその領域には小天体が群がっているといいます。

その領域とは「ラグランジュ点」

ラグランジュ点は、天体と天体の重力により釣り合いが取れるポイントのことを言い、実際に宇宙開発で活用されています。

そんなラグランジュ点について調べてみたのでご紹介します。

スポンサーリンク
目次表示位置

ラグランジュ点は5箇所ある

ラグランジュ点とは、一つ例をあげると太陽の周囲を惑星が公転している場合に、惑星の軌道付近にある5箇所のポイントのことをいいます。

その安定した5箇所の領域というのが下の図で示されるL1、L2、L3,L4,L5となります。

ラグランジュ点
出典:Wikipedia

5箇所のラグランジュ点の中でもL4L5が最も安定しているポイントで、「トロヤ群」と呼ばれ、その領域に群がる小惑星を「トロヤ群小惑星」と呼んでいます。

小天体がラグランジュ点に侵入すると、主星と伴星双方の引力によりバランスが保たれているために安定して公転できるとされています。

こういった法則に基づいて宇宙開発が行われており、実際に人工衛星をラグランジュ点に投入したり、将来宇宙ステーションの投入位置として候補に挙がっています。

ラグランジュ点に存在する物体

これまで宇宙開発において様々なラグランジュ点が活用されてきましたが、その一覧をまとめましたのでご覧ください。

現在ラグランジュ点に位置している天然のもの人工のものを一緒に掲載してみました。

天体名 L1 L2 L3 L4
(トロヤ群)
L5
(トロヤ群)
太陽

地球
WIND
SOHO
ACE
DSCOVR
ガイア(GAIA) STEREO-A
2010 TK7
STEREO-B
スピッツァー宇宙望遠鏡

地球

鵲橋
(中国の通信衛星)
コーディレフスキー雲 コーディレフスキー雲
太陽

火星
(121514) 1999 UJ7 (5261) エウレカ
太陽

木星
小惑星群 小惑星群
土星
 |
テティス
テレスト カリプソ
土星

ディオネ
ヘレネ ポリデウネス
太陽

天王星
2011 QF99
太陽

海王星
2001 QR322
2004 UP10
2005 TN53
2005 TO74
2006 RJ103
2007 VL305
2004 KV18
2008 LC18
2011 HM102

※Wikipediaより一部引用

これらを見ると太陽系では地球から海王星までのラグランジュ点には小惑星が確認されていたり、人工衛星が投入されていたりしていますね。

しかし、よく見ると太陽-水星と太陽-金星と太陽-土星のラグランジュ点の天体がありません。

水星に関しては質量が小さいのと離心率が大きいことで太陽との距離の変化割合が大きいためにラグランジュ点の安定性自体が弱いと考えられます。

ちなみに水星の離心率は0.2056で地球の離心率0.0167と比較してもかなり大きいことが分かります。

また彗星が接近することで撹乱を受ける可能性も高くなるので安定しないのではとの考え方もあります。

太陽-金星に関してはラグランジュ点の天体可能性はありますが、掲載されていないところを見ると発見されていないのでしょう。

太陽土星のラグランジュ点の天体に関しては火星木星の間にあるメインベルトや、海王星以遠のカイパーベルトといった小天体領域を考えれば太陽-土星が元々少ない領域であったと考えられて掲載されていないのも不思議ではないといいます。

太陽-木星のラグランジュ点に多くの小惑星が存在していますが、ここはメインベルトがあるので元々小惑星規模の天体が豊富で、太陽-海王星のラグランジュ点に多くの小惑星が確認されているのもカイパーベルトの領域なので小天体が豊富な領域ということでしょう。

 

スポンサーリンク

 

太陽~木星ラグランジュ点に存在する大量のトロヤ群小惑星

太陽~木星ラグランジュ点ではL4L5のポイントに小惑星が集中しており、これを「トロヤ群小惑星」と呼んでいます。

そのイメージがこちら

小惑星帯
出典:Wikipedia

両方のトロヤ群にたくさんの小惑星が見られますが、現在確認されているだけでも5000個以上となっており、直径1km以上の小惑星は100万個と見積もられています。

これはメインベルトにある直径1km以上の小惑星とほぼ同じくらいの数とされ、トロヤ群小惑星は一つの小惑星帯と考えてもいいのかもしれません。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡もラグランジュ点に設置

2021年3月30日に打ち上げが予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡もラグランジュ点に設置する予定となっており太陽と反対側であるL2ポイントに位置する予定となっています。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が設置されるラグランジュ点
出典:NASA

太陽とは真逆の地球から150万Km離れたポイントに設置するとの事で、月までの距離が38万Kmですからかなり離れた位置となります。

何故安定したL4L5ではなくL2というポイントにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の設置を決めたのか・・・

これには理由があって、赤外線観測機器をマイナス233℃に保つ必要があったために太陽の光りを遮断しやすい位置にしなければならなかったからです。

L2に設置すればシールドを常に太陽に向けやすくなるとの事で決まったみたいです。

あわせて読みたい:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がこれまでとは違う点

 

スポンサーリンク

 

ラグランジュ点への人工物の設置は修理が困難

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
出典:NASA

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の設置で予定しているL2のラグランジュ点は地球から150万kmの距離を考えると修理が困難になります。

1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡に不具合が見つかったときに宇宙飛行士が直接修理に向かったといいます。

しかし、ハッブルの設置場所は地球の周回軌道であり、簡単ではありませんが宇宙飛行士を向かわせることは可能です。

これが150万km離れたラグランジュ点となるとそう簡単には行きません。

38万km離れた月に向かうのも1週間かかるといいますから、単純計算で1ヶ月くらいはかかるのではないでしょうか・・・

となると人の手での修理はほぼ不可能ということになります。

つまり人工物のラグランジュ点への設置は失敗できないのです。

天文力学的に安定しているとメリットは大きいですが、大きなリスクを伴うことを覚悟する必要があるようです。

こんなラグランジュ点は宇宙空間に作られる人工の居住地「スペースコロニー」の建設候補となっているようです。

特に地球-月のラグランジュ点は月や火星などの天体へ向かう拠点として考えられているようで、今後の宇宙開発は要注目です。