これまで宇宙を撮影してきたハッブル宇宙望遠鏡はそろそろ寿命が近づいているそうで、その後継機として開発が進められているのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。
2018年に打ち上げられる予定で、成功すれば宇宙の成り立ちが解明できるかもしれないと期待されているようです。
そこで今回はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の詳細やハッブル宇宙望遠鏡と比較してどのような部分が違うのかを調べてみました。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はハッブルの2.5倍の口径
今活躍しているハッブル宇宙望遠鏡は口径は2.4メートル、長さ13.1メートル、質量11トンの反射望遠鏡で、いわばドームのない天文台みたいなもので、大気の影響を受けないことでより精度の高い天体観測が可能とされてきました。
他には太陽系外惑星の発見で一躍有名になったケプラー宇宙望遠鏡も運用中ですが、これは口径は1.4メートルの反射鏡とレンズを組み合わせたシュミット式の反射屈折望遠鏡です。
これらを超えるのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ですが、口径が6.5メートルとハッブルの2.5倍の口径ということでより多くの光が取り込める性能を誇っています。
これだけ大きいのに質量は6.2tと計画されていてハッブルの半分近くになっています。
これは主鏡が一枚の反射鏡ではなく6枚に分割されているからです。
あまりの大きさに打つ上げロケットには収まらないので、打ち上げ後にマイクロモーターと波面センサーにより正確な位置にセットされる設計になっているようです。
その画像がこれ
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は地球の周回軌道ではない
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はハッブルと大きく違うところはその軌道です。
ハッブルは地上600km上空を周回しているのに対して、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は太陽と地球の重力が作用する「ラグランジュ点」に設置されることになっています。
ラグランジュ点とは天文力学的にバランスの取れる位置で、これまでいくつかの探査機がラグランジュ点で運用されています。
すでに実績があるのでラグランジュ点軌道に乗せることはさほど難しいことではないかと思いますが、今回のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は地球から見て太陽とは反対側に位置する「L2]で、なんと地球から150万キロの距離になるそうです。
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なので故障でもしようものならハッブル宇宙望遠鏡のように宇宙飛行士を派遣するわけにもいかず、失敗に終わることになります。
それだけにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡には失敗は許されないでしょうね。
何故この位置になるのかというと太陽光や地球照といった光を避けることができるからだそうです。
しかも超低温ということで現在観測機材が低温に耐えられるか試験中とのこと。
見た目は望遠鏡というよりもレーダー探知機のように見えますね。
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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でビッグバンの謎が解ける?
気になるのがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって宇宙の何が判るのかということですよね。
計画によると宇宙背景放射を観測して、初期宇宙の謎を解明することが期待されているそうです。
宇宙背景放射とはマイクロ波だけが飛び交う冷たい空間という定義だそうで、ビッグバン理論を裏づける最も有力な証拠と位置付けられているようです。
ここまで来ると宇宙物理学の世界になるので私のような凡人には理解できるものではありませんが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での観測で宇宙の成り立ちが誰でもイメージできるように期待しています。
動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の費用
これだけ高度な技術を満載している機材ですからどれだけ費用がかかっているのか気になるところです。
ハッブル宇宙望遠鏡でさえ設置するまでに日本円で2000億円以上かかり、その後の改修費用を加えると3千億円以上はかかったとみられています。
それ以上の性能で、設置後の故障は許されないとなればハッブル以上の費用はかかるものと思われます。
現在開発中なので予想でしかありませんが、運用費まで加えると日本円でなんと1兆円以上に膨らむそうです。
ここまで来ると金銭的に麻痺してしまいそうです(^^ゞ
簡単にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡についてまとめてみましたが、今後新しい情報が入り次第記事に加えていくつもりです。