火星の衛星といえばフォボスとダイモスですが、これまで「捕獲説」が有力とされていたのがどうやら全く別の出来方である説が有力になってきました。
火星の衛星はフォボスとダイモスの2つだけで、直径が10~20kmと火星の直径6800kmに比較してとても小さなもので、地球の衛星である月の大きさが地球の4分の一と比較しても極端に小さいのが分かりますね。
ちなみに月が出来たのは地球に火星クラスの惑星が衝突した「ジャイアントインパクト」による説が有力になっています。
しかし、火星の衛星がこれだけ小さいのは、火星と木星の両軌道の間に存在する「小惑星帯」から火星の引力に捕まったことで衛星になったという「捕獲説」が有力でした。
まあ普通に考えれば「捕獲説」は説得力がありますよね。
ところが新聞で報道された記事によると、どうやら大きな衝突が原因で形成されたという考え方が有力になってきたのです。
スパコンで解析
東京工業大学などの国際研究チームがスパコンによるシミュレーションで、フォボスとダイモスは火星の3分の一程の天体が衝突したことにより形成されたと考えられると発表されました。
どうしてこのようなシミュレーションがなされたのかというと、フォボスとダイモスの公転軌道に疑問を持っていたことと火星の北半球にある大きなクレーターに注目したからだとか。
そのクレーターの大きさから太陽系が誕生して間もない40億年前に火星の3分の一程の天体が衝突したと仮定して計算されたそうです。
この記事を読む限りではまさに月が出来たきっかけとなった「ジャイアントインパクト」ではありませんか!
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ただ、衝突後に大きな衛星は火星に落下して消滅し、残った衛星がフォボスとダイモスなんだそうで、ここが地球と違っていますよね。
もし火星も月のような衛星があったのなら、自転軸も安定して知的生命体が繁栄していたかもしれません。
月は年に3センチ地球から遠ざかって、火星の大きな衛星は落下して消滅・・・
これが惑星として運命の分かれ目だったのかも・・・
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フォボスとダイモスの軌道に矛盾
これまでの捕獲説だと通常なら楕円軌道になる可能性が高く、しかも2つとも円軌道になっていることから楕円軌道になる捕獲説では説明がつかないとされていたそうです。
ちなみに両衛星の軌道は次の通り
衛星名 | 平均公転半径 | 軌道離心率 | 公転周期 |
フォボス | 9,376 km | 0.0151 | 7 時間 39.2 分(0.3189 日) |
ダイモス | 23,458 km | 0.0002 | 1日 6時間 17.9分(1.2624 日) |
ここで「軌道離心率」を見てみると両方とも0.0に近い数値になっていますよね。
軌道離心率とは母天体の周りをまわる軌道のかたちを表す値のことで、0.0に近づけば近づくほど真円になり1.0に近づけば近づくほど潰れた楕円になります。
つまりフォボスとダイモスの2つともが真円軌道になっていることから、捕獲されたとなるとこの状態は極めて確率が低いんだとか。
これが捕獲説を否定する理由となっていたそうです。
今回のスパコンによるシミュレーションではっきりしたのかもしれませんね。
はやぶさのサンプル回収計画に影響
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると現在はやぶさ2が小惑星「りゅうぐう」のサンプル回収に向けて順調に飛行を続けているようですが、2020年代には火星の衛星「フォボス」のサンプル回収計画もあるんだとか。
フォボスは1877年に発見された火星第一衛星ですが火星からわずか6000kmという近い場所を周回しています。
地球と月が約38万キロ離れていることを考えれば物凄い近いところを回っているんですよ。
火星に近いだけに7 時間 39.2 分(0.3189 日)という火星の自転周期(24時間40分)よりも速いんですよ。
そんなフォボスに1988年旧ソ連が探査機を送り込んでおり、フォボスから気体が噴き出ているのを確認しています。
当初フォボスは小惑星帯から捕獲されたと考えられていましたから、サンプルを回収することで太陽系の成り立ちが分かるのではないかとに期待されているのかもしれません。
しかし、フォボスのサンプルの解析結果によってフォボスはジャイアントインパクトによりできたことが証明されるかもしれませんね。
火星の文明は宇宙人の核攻撃で滅亡!?といった話も否定されるでしょう!(^^)!