ここのところ冥王星火星など、様々な探査機が送られ、多くのデータや鮮明な画像が地球に送られていますよね。

このときによく「スイングバイ」という言葉を聞きますよね。

スイングバイで加速して目的の天体に向かうと燃料が節約できて短期間で到達できることで頻繁に使われる手法です。

スイングバイとは地球や木星などの惑星の重力を利用して加速する方法ですが、どうしてそれで加速できるのか?と聞かれると説明できない人もいるのではないでしょうか。

スイングバイは惑星に近づいて離れていく段階で加速するとされていますが、イメージとしては太陽に近づく彗星みたいなもので、太陽に近づくにつれて加速し、近日点を通過して離れていくにつれて減速していくといったような感じです。

スポンサーリンク

目次表示位置

近づく速度と離れていく速度は同じ

しかしこれだと太陽に近づく速度と離れていく速度は同じですから加速するということはありません。

分かりやすく言えばボールを地面に落して跳ね返る高さが落下地点より高くなることは無いのと同じ考え方です。

つまり惑星に近付いて遠ざかるだけでは加速することは出来ないのです。

それではいったいどうやって加速させているのでしょうか?

それが惑星の公転速度です。

スイングバイは公転速度を利用している

つまりスイングバイは惑星に近づいて引力によって引っ張られる形で公転速度が加わるので加速できるというわけです。

イメージ画像がこちら

加速スイングバイ
緑は惑星の公転速度、赤は宇宙機の、惑星に対する速度と天体の公転速度の合成速度を示す。公転する天体の後ろ側から進入すると、離脱時には増速している。
出典:Wikipedia

イメージとしては、昔トラックを何周も滑りながら相手チームを追い越して競う「ローラーゲーム」という競技がありましたが、チームの一人が後方から追い越すときに手を持って前方に振り回すことで加速する方法を採用していましたね。

これらがスイングバイと同じ考え方です。

 

スポンサーリンク

 

初めてスイングバイを利用したのはマリナー10号

世界で初めてスイングバイが使われたのは1974年の2月に水星へ向かうために打ち上げられたマリナー10号でした。

このときに金星を利用したスイングバイで太陽を約半年で周回する軌道に乗り、太陽を88日で周回する水星に向かったとされています。

ちなみに各惑星の公転速度は次の通り。

分かりやすく秒速と時速で掲載しておきます。

惑星 平均公転速度(秒速) 平均公転速度(時速)
水星 47.4km 170496km
金星 35.0km 126072km
地球 29.8km 107208km
火星 24.1km 86688km
木星 13.1km 47016km
土星 9.7km 34740km
天王星 6.8km 24516km
海王星 5.4km 19584km

地球は時速10.7万キロ、木星は時速4.7万キロといった猛烈な速度があるので、公転方向に打ち上げるだけですでにこれだけの速度が付いていることになります。

 

スポンサーリンク

 

スイングバイは減速にも利用される

スイングバイは加速が付くことだけが注目されていますが、実は減速にも使われているんですよ。

先にも書きましたが、チームの一人が後方から追い越すときに手を持って前方に振り回すことで加速し、逆に前方を滑っている一人のシャツを持って引っ張ればば速度は減速することになります。

イメージ画像がこちら

減速スイングバイ
公転する天体の前方から進入すると、離脱時には減速している。
出典:Wikipedia

つまりスイングバイは惑星の後方を通過すれば加速して、前方を通過すれば減速することになるのです。

これを「減速スイングバイ」と呼んでいますが、惑星の公転方向に対して後方を通過することで加速する「加速スイングバイ」に対して「減速スイングバイ」は惑星の公転方向に対して前方を通過します。

はやぶさ2は地球スイングバイでリュウグウに向かう

はやぶさ2は、2014年に小惑星「Ryugu」(リュウグウ)に向けて打ち上げられましたが、2015年に地球スイングバイで加速し、2018年に到達するという計画です。

地球から打ち上げられて再度地球に近づいて加速するなんて何となく無駄に感じてしまいますよね。

それだったらはじめからロケットエンジンで加速すれば短期間でミッションを終えるのでは?

って考えてしまいます。

しかしロケットエンジンで加速しようとするとそれだけ燃料も多く積み込まなければならず、小惑星「Ryugu」(リュウグウ)からサンプルを採取して地球に帰還するといったミッションを抱えているはやぶさ2にはそのような大量の燃料を積み込む余裕が無いのです。

なので時間がかかっても地球の公転速度を利用して加速することが考案されたわけです。

あわせて読みたい:はやぶさプロジェクトが不可能と思われていた裏にあったものとは

もっとも最近の研究では様々な航行方法が開発されて、短期間で目的地に到達することが可能になってきました。

いずれ時間のかかるスイングバイも必要無くなるのではないでしょうか。

宇宙戦艦ヤマトみたいにワープが出来れば簡単ですからね!(^^)!

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻