人間が宇宙空間に滞在している時に様々な現象が報告されていますよね。
たとえばカルシウムが流出して骨がスカスカになるとか、重力が無いので筋力が低下して地球に帰還したときには歩けなくなるとか・・・
また宇宙飛行士は地上に居る時よりたくさんの放射線を浴びることになるので、宇宙ステーションには半年程度しか滞在出来ないなど、地上に比べてかなり厳しい環境であることはよく知られていますよね。
JAXAのHPでも宇宙飛行士の健康管理や体力の維持などが詳細に語られています。
あわせて読みたい:宇宙ステーションで長期滞在による人体への影響を双子で調査
さて、一般的よく語られる現象は置いといて、宇宙服を着ないで宇宙空間に飛び出た場合どうなってしまうのかが前から気になっていたので調べてみました。
生身の体で宇宙空間に放り出されても即死はしない
私の子供のころ(40年以上前)に教えられたのは、人が宇宙服を身につけないで宇宙空間に放り出されたら、
2.圧力により目の玉が飛び出して即死
3.瞬間冷凍で体が凍りつく
でした。
確かSF映画でもこうしたシーンがいくつかあったような気がします。
当時の私は水が真空状態で沸騰して凍りついたり、深海魚を釣ると胃や目の玉が飛び出すことは知っていたので、この考え方に納得したんですが、どうやらこの考え方は間違っているようなんです。
というのはNASAが宇宙服の実験で人命にかかわる事故を経験したことによる見解を発表したからです。
その記事というのがこれ
英訳した人の見解によると、1965年に宇宙センターで宇宙服のテストを行っていたところ、空気が漏れている宇宙服を着たまま真空状態まで減圧してしまったそうです。
そこで起きた現象を元に回答をしたそうです。
これまでの見解とは全く違ったんだ
宇宙空間で生身でも90秒までなら後遺症も無し
「宇宙服なしで宇宙空間に出たらどうなすのか?」といった質問にNASAが回答したところによると、宇宙空間で万が一生身の状態で出てしまっても90秒程度なら後遺症も無く生きていられると回答しています。
ただしこの見解は事故だけでなく動物実験の結果による見解も含まれていると思われます。
というのは犬と猿で動物実験を行った経緯があるからです。
ちなみに真空に近い状態では、犬は90秒で後遺症も無く生きていたのが、2分では死んでしまい、猿になると3分以上でも生き延びた記録があるとのこと。
こうした実験結果があるからこそ90秒までなら人間でも生き延びることが出来るだろうと回答したのでしょうね。
2~3分くらいなら生き延びれるんだ。
宇宙空間で血液が沸騰することは無い
宇宙空間には空気が無いため気圧というものが存在しませんから水分は常温でも沸騰してしまいます。
しかし血液が同じように沸騰するのでは考えがちですがそう単純なものではありません。
血液は血管の中を流れていますが、血管には血圧という外部から常に高い圧力を受けています。
つまり血液は圧力を受けている中に留まっている限り短い時間であれば沸騰することはあり得ないのです。
血液が沸騰することは無いんだね
宇宙空間で生身でも9~12秒なら意識はある
事故での被験者の証言によると意識を失う前に舌先の水分が沸騰し始めていたといいます。
この被験者は4日ほど意識不明だったのがその後回復し、今では後遺症も無く過ごしているそうです。
人の体ってけっこう頑丈に出来ているんですね。
宇宙空間に生身で出てしまったら口を開けておく
一般の人にはまずこのような事態に遭遇することは無いでしょうが、万が一遭遇してしまったらまずは口を開けておくと良いそうです。
というのは真空状態では空気が肺に入っているので無理やり口を閉じてしまうと肺が破裂する恐れがあるからです。
もっとも数十秒で窒息してしまいますが・・・
これで救助を待つしかないようです。
口を開けたまま救助を待つことなんだって
もっとも、こんなこと経験する人はいないと思いますけど(^^♪
動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻