ロケットエンジン

近頃世界中で火星に向けての有人探査計画が話題に上っていますが、もっともネックになっているのが火星までの長~い道のりです。

というのも、現在の宇宙技術では火星まで7~8ヶ月もかかってしまうからです。

これを解決できるロケット推進法が考案され話題になっています。

今回は火星まで3日で到達できるロケットエンジンについてのお話です。

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火星まで7~8ヶ月かかると様々な問題が

火星まで7~8ヶ月。

これだけの長旅は宇宙飛行士の健康面やメンタル面が大きな問題になってくるといいます。

実際にNASAでも地上に火星を想定した実験施設を建設し、数人の男女を滞在させて実験を行っている最中です。

しかも7~8ヶ月の間は無重力で生活することになりますから、様々な障害が現れてくるといいます。

たとえば国際宇宙ステーションに半年滞在していた宇宙飛行士の体内のカルシウムが流出して骨密度の低下がみられたり、筋力低下で地球に帰還してから歩くためにリハビリが必要だったりなどがよく知られていますね。

また最も懸念されているのが放射線を大量に浴びることです。

地球上なら磁場や大気などで放射線から守られていますが、ひとたび宇宙に飛び出せば放射線から身を守るには限界があります。

またこれに加えて宇宙飛行士同士の意思の疎通にトラブルが発生することも考えられているようで、今後新たな問題が発生することも十分考えられます。

そんな中ある方法が全てを解決できるかもしれないと注目されています。

それが「レーザー推進」です。

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

 

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レーザー推進なら光速の30%まで可能

レーザー推進は先ごろNASAで発表した方法ですが実は2014年、すでにロシアの物理学者がレーザー推進の論文を発表しており、今回NASAが発表したところを見るといよいよ実用化に目途が立ったのかもしれません。

聞くところによると大出力レーザーを宇宙船に設置したソーラーセイル(ヨットの帆みたいなもの)に照射することで超高速が実現できるというものらしいのです。

なのでロケットエンジンではなく後方から押してもらうことで高速に推進できるシステムといったところでしょうか。

この方法だと宇宙船に搭載する燃料もかなり少なくて済むようになりさらに軽量に出来るメリットもあるといいます。

結果としてレーザー推進で光速の30%の速度まで出すことができるそうで、秒速約十万キロになりますからまさに超高速ですね。

ちなみにレーザー推進を使用すれば100kg程度の無人宇宙船なら火星まで3日で到達できるそうです。

有人探査機だと一ヶ月くらいかかるとのことですが、それでも7~8カ月に比べればかなり短縮されます。

アポロ計画では最も近い天体の月まででさえ4日もかかったそうですから、火星まで一ヶ月となれば火星移住へ向けての計画が加速するかもしれませんね。

あわせて読みたい:核融合エンジンをNASAが支援!火星まで30日で到達

 

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浮遊物質との衝突は大丈夫?

宇宙空間には無数の大小ざまざまな浮遊物質が存在しますが、超高速になることで衝突する可能性も高くなります。

ただ、これまで小さな浮遊物質は何度か衝突してきたようですが、それが元で制御不能になったり通信が途絶えたるすることはめったにありません。

それは目に見える範囲の物質なら軌道を修正して避けることができるからです。

たとえば国際宇宙ステーションには頻繁に小さな物質が衝突しているようですが、二重三重の対策が採られているのでさほど問題にはなっていません。

これが地球から離れたところを飛行するわけですから、浮遊物質は衝突するほどの密度ではないとされています。

数十年前に打ち上げられたボイジャーも太陽系の外側まで無事抜け出せましたしね。

浮遊物質との衝突を恐れる必要は無いかもしれませんね。

あわせて読みたい:スペースデブリ(宇宙ゴミ)を撤去する方法は無いのか

問題は減速の方法

ただ画期的なレーザー推進も減速する方法が確立されていないようで、今後の課題となっているようです。しかしある物理学者は減速方法を考案しています。

そのが減速方法とは、あらかじめ宇宙船に設置してあるソーラーセイルを外周部と内周部の2つに分割できるようにしておき、宇宙船が目的地に近づいたら外周部のソーラーセイルを切り離し、外周部ののソーラーセイルでレーザーを反射させて内周部のソーラーセイルに照射させて減速しようとする方法です。

考え方としては説得力がありますが、火星近くまで到達してからレーザーを正確に照射できるのか疑問が残ります・・・

地球への帰還は?

無事に火星に到達できたとしても、地球への帰還が出来なければ有人火星探査は出来ませんから、今のところレーザー推進技術が実用化されても有人探査はかなり先になると思われます。

まずは人工知能を搭載したロボットを火星に向かわせるのではないでしょうか?

最近の人工知能は囲碁で人間に勝つこともあるくらい学習して賢くなりましたからね。

プログラミング次第で宇宙飛行士の代わりが出来るかもしれません!(^^)!

それにしてもここのところの宇宙関連は話題につきませんね。

先日の「重力波」といい、今回の発表といい、レーザー推進だけに最近の宇宙開発も“加速”してきましたね。