夜空に尾をひきながら美しい姿を見せてくれる彗星は天文ファンならずとも、一度は目にしてみたい天体の一つですよね。
長い尾を引いたその姿は別名「ほうき星」ともいわれ、今では親しみ深い存在です。
その彗星の尾っていつでも長い尾を引いているのではなくて、太陽に近づいた時にしか引かないって知っていましたか?
実は太陽から遠ざかると普通の小惑星と変わらないんですよ。
ただ彗星も小惑星の分類に入っていて、太陽に近づいたときに尾を引くか引かないかで区別されているだけなんです。
彗星の軌道は多くが惑星のように円に近い軌道をとらずに極端な楕円を描いて公転しています。
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水星と彗星ってどう違うのか知っていますか?
その彗星の尾が太陽に近づくにつれて長くなるわけですが、どの辺から尾を引き始めるのか気になりますよね。
そこで彗星の尾について詳しく調べてみたので簡単にまとめてみました。
彗星の軌道も千差万別
彗星は太陽系の外側に「カイパーベルト」と呼ばれる小天体が数多く公転している領域や、さらにその外側を球状に包みこむ形で「オールトの雲」と呼ばれる領域があって、小天体同士の衝突など、何らかの衝撃で軌道を変えて太陽に近づいて尾を引く小天体をいいます。
その軌道の多くは細長い楕円軌道を描き、中には太陽に近づくのは1回きりで、二度と戻ってこない彗星もあります。
楕円軌道を描く彗星にはその周期の期間によっての「短周期彗星」と「長周期彗星」に分けられています。
また、2度と戻ってこない彗星を「非周期彗星」と呼んでいます。
ちなみに「短周期彗星」の公転周期は200年以内で、その代表的な彗星があのハレー彗星で公転周期は76年です。
最も公転周期が短いものにはエンケ彗星があり、3.3年となっています。
しし座流星群の母天体であるテンペルタットル彗星は33年で、近づくたびに流星群が活発になることで知られています。
一方、
「長周期彗星」の公転周期は200年以上で、つい最近話題になったラブジョイ彗星の公転周期は8000年と言われていますね。
あなたは観ることができましたか?私は観ることができませんでした(^^ゞ
「非周期彗星」には、これも最近話題になったアイソン 彗星があり、事前予想では今世紀最大の大彗星になると期待されましたが、なんと太陽に近づいたときに崩壊してしまい、その雄大な姿を観ることができませんでしたね。
私も40年前に観た「ウェスト彗星」以来楽しみにしていたのに、今回のアイソン 彗星崩壊は本当に残念でした。
これら彗星の周期によってどこからやってきたのかを分かれるようで、「短周期彗星」はカイパーベルト、「長周期彗星」と「非周期彗星」はオールトの雲からやってきたのではないかと考えられています。
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彗星は火星の軌道付近から尾を引き始める
「短周期彗星」「長周期彗星」「非周期彗星」のいずれも太陽に近づけば尾を引きますが、太陽から離れた位置では尾を引くことは無く小惑星と変わりありません。
彗星の多くは太陽に向かって移動してきて、火星の軌道あたりから徐々に尾を引き始めると言われています。
これは太陽の熱によって彗星の構造物である氷が溶けだすからで尾を引き始めるといっても最初のころはただぼんやりとしているだけで本来の彗星の姿では無いそうです。
これが水星軌道あたりまで近づいて長い尾を引くことになります。
どのような尾になるかは彗星の規模や噴出物の量などで大きく変わってきます。
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彗星の尾は2種類ある
彗星の尾には「イオンの尾」と「ダストの尾」の2種類あり、どちらも太陽風によって吹き飛ばされるものですがそれぞれ性質が違います。
イオンの尾は太陽の反対方向にまっすぐ伸びるのに対して、ダストの尾は彗星の進行方向と太陽風の影響が絡み合って曲線状になることが多くそれぞれ彗星の状態によって変わってきます。
その彗星の尾は地球からの距離や方向により見え方が変わってきます。
1986年に回帰したハレー彗星が地球から遠い位置になっていたために幻に終わってしまったことも記憶に新しいですね。
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彗星は少しずつ小さくなる
太陽に近づくたびに氷が溶けて尾を引く姿は本当に美しいですが、実は一つの彗星が尾を引く姿は永遠に見えるものではなく、溶ける氷が無くなったり噴き出すガスも無くなれば尾を引くことは無く、そうなった段階で小惑星になってしまいます。
中には太陽に接近して崩壊してしまう彗星も少なくなく、先にも書いたアイソン彗星がそのいい例です。
有名なハレー彗星も次回近づいた時には崩壊するか尾が見えないなんてことがあるかもしれませんよ。