先ごろ土星の衛星「エンケラドス」から吹きでている水蒸気を分析したところ生命生息できる環境が整っていることを確認したと発表されましたね。

これは、NASAの探査機「カッシーニ」が2004~2007年に発見した、「エンケラドス」の一部から火山のように噴出している物質のデータを、東京大学を中心とする研究チームが実験によって証明したそうです。

土星は地球から約14億キロ離れたところにある惑星で、仮に新幹線で行くとすると約600年以上も乗っていなければならないほど遠い距離にある遠い星です。

そんな遠いところにある土星の衛星に地球外生命が存在する可能性が発表されたのですから、一気に期待が高まったみたいですね。

これまで火星に生命が存在する可能性が高いとされていらい、いくつもの探査機が着陸して探しまくっているのに数十年経っても未だに発見されていませんから、この土星の衛星に地球外生命を求めて話題が移ってしまったようです。

ちなみに土星の衛星「エンケラドス」は直径が500Kmと、地球の25分の一、月の7分の一と、とても小さな衛星です。

「エンケラドス」は土星から約24万キロ離れたところにある衛星で、名前の由来はギリシャ神話の「巨人」だそうで、小さい割には大きな名前を付けられた不思議な衛星ですよね。

太陽から遠い距離に位置しているせいか表面はマイナス200度、厚さ30~40Kmの氷に覆われているそうです。

その分厚い氷の下に大量の水が存在しているとされ、一部が山の火口?から水蒸気になって噴出していることが探査機「カッシーニ」によって確認されたとのこと。

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カッシーニが火山からの噴出物を分析

気になるのはエンケラドスに生命が存在出来る環境であるとする根拠ですよね。

生命が誕生するには水や有機物、熱などのエネルギーが必要ということは判っています。

そこで冒頭に書いてあるようにNASAの探査機「カッシーニ」が噴出物を分析したところ「ナノシリカ」と呼ばれる二酸化ケイ素の微粒子を発見したとのこと。

「ナノシリカ」は地球では温泉や海底から湧き出る熱水に含まれているとのこと。

熱水噴出孔
出典:Wikipedia

そこで東京大学を中心とする研究チームが考えたのが「エンケラドス」と同じ環境下で3年間の実験を行ったところ、「ナノシリカ」が出来るには90度以上の熱水が必要であることが分かったそうです。

あわせて読みたい:火星にメタンガスが発生!生命の証拠になりうるのか?

 

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魚みたいな生命体がいるのか?

生命が存在できる環境が確認されたことで、もし発見されたら地球以外で初めて生命体が発見されたことのなるわけですから衝撃的なことになるでしょうね。

そこで気になるのは、どのような生命体がいるのか?ってことですよね。

個人的見解ですが、あまり大きな期待は出来ないと思います。

構造的には表面は氷で覆われて、内部に大量の水があるわけですから、いるとすれば地球に存在している魚介類見たいなものになると考えるかもしれません。

しかし、太陽光や潮汐力などの様々なエネルギーを考えれば、地球に比べてはるかに過酷な条件であることは想像できますから、少なくともイルカのような知的な生命体は不可能と思われます。

地球で深海に住み着いている魚介類も可能性は低いと思います。
結局、細菌か藻?程度の生命体になるのでは?と考えています。

エンケラドスの内部は高熱になっている

不思議なのは「ナノシリカ」が出来るような高温がいったいどこからきているのか?ということです。

確かな情報ではありませんが、どうやら土星の大きな重力による「潮汐力」によって内部で活発に動いているために摩擦熱が発生しているとされています。

この摩擦熱が熱源となり地下に溜まっている水分が表面に噴き出しているのではないかとされているのです。

それにしても、私たちの身近にある「月」は冷え切っているとされているのに、それより小さな、しかも太陽から遠い衛星の内部が高熱になっているのって矛盾を感じるんですが・・・

気になって調べてみると、どうやら土星の重力とエンケラドスの公転周期にあることが判ってきました。

エンケラドスは月に比べて土星に近いために公転周期が約1.4日と短いうえに、地球よりも土星の方が95倍重力が大きいそうです。

このことから計算すると、エンケラドスに働く潮汐力は月の400倍以上に相当するそうです。

この潮汐力の差が摩擦熱を供給できる要因となっているようです。
衛星自体の大きさでは決めることができないみたいですね。

 

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土星の環はエンケラドスから噴き出た水蒸気が凍ったもの?

エンケラドゥスの間欠泉
エンケラドゥスの間欠泉。出典:Wikipedia

いろいろと調べているうちに気になる説を見つけたのでご紹介します。

それはエンケラドスから吹き出している水蒸気が氷となって土星の環を形成しているという説です。

土星の環というのは、基本的には小惑星や彗星などの小天体が土星自身の大きな重力に捕えられ、潮汐力によってバラバラになって出来たものと考えられています。

土星の環はいくつもの層から成っていて、その中のE環と呼ばれる部分がエンケラドスから吹き出した氷に相当するとのことです。

木星天王星海王星も環をもっていますが、土星だけがこれだけはっきりとした環をもっているのは常にエンケラドスから供給されているからというのです。

もっともこれも説にすぎないので、はっきりとしたことは判りませんが、今後の観測次第で判って来るのではないでしょうか。