自然災害で毎年よく耳にする言葉に「爆弾低気圧」と「台風」がありますが、どちらも被害を受ける恐れのあるため思わず身構えてしまいますよね。
どちらも気象庁により定められた基準を超えた時点で爆弾低気圧や台風となります。
ただ、天気予報を見ていると「爆弾低気圧」という呼び方はされていないので気がつかないことも多く、爆弾低気圧に限っては「急速に発達した低気圧」と呼ばれています。
「爆弾低気圧」も「台風」も同じ低気圧ですが、普通の低気圧に比べてその規模が大きく、各地で風雨や風雪による被害が中心になります。
さて、この爆弾低気圧と台風ですが、名前は違うのに同じ低気圧って何となく気になりますよね。
この違いって何なのでしょうか?
爆弾低気圧と台風が出来るメカニズム
爆弾低気圧と台風はどちらも同じ低気圧ですが、はっきり違うところは「温帯低気圧」と「熱帯低気圧」が発達したものです。
爆弾低気圧は温帯低気圧、台風は熱帯低気圧が発達したもので、基本的には上昇気流により空気が上に吸い込まれる形になるので気圧が下がり発生しますが、その発生メカニズムが違います。
爆弾低気圧
爆弾低気圧の卵である温帯低気圧は温帯気候の地域で温度差により上昇気流が起こって気圧が下がり発生します。
日本では10月~3月に北海道付近で発生することが多く、凍死のような事故もたまに聞きます。
私も若いころに北海道にスキーをしに行ったのですが、その時爆弾低気圧で猛吹雪になりスキーが出来なくなった体験があります。
中部地区のスキー場ではおそらく無いと思いますが、爆弾低気圧による風雪下ではしっかりと防寒していてもスキーが出来る状態ではなく、もちろんスキーをしている人は一人もいませんでした。
スキーをするのが死ぬほど辛いと感じたのは後にも先にもこのときだけです。
それくらい爆弾低気圧は強烈なんですよ。
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台風
台風の卵である熱帯低気圧は熱帯から亜熱帯の海洋上の熱帯収束帯で発生します。
海水温度が26~27度以上であることが条件で、大量の水蒸気が上昇してコリオリの力により回転して発生します。
熱帯低気圧の風速が秒速17.2mを超えると台風になり、偏西風や高気圧の縁をなぞるような形で日本の近くを伺ったり、上陸したりして大きな被害を発生させます。
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爆弾低気圧と台風の基準
それでは爆弾低気圧と台風の基準を見ていきましょう。
●爆弾低気圧
中心気圧が1日(24時間)で24HPa(ヘクトバスカル)以上気圧が下がった温帯低気圧。
●台風
最大風速が17.2m(メートル)以上になった熱帯低気圧。
これだけ見ると爆弾低気圧が気圧の急激な低下に対して、台風は最大風速が超えた時点ということになっていますよね。
何故このような違いがあるのかというと、爆弾低気圧のような温帯低気圧には風速に関する決まりが無いので基準には出来ないのです。
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台風⇒温帯低気圧⇒爆弾低気圧もありうる
爆弾低気圧は日本付近においては10月~3月に発生することが多いとされています。
一方台風は遅ければ11月に発生することもあり、この場合日本に近づいてきた時点で寒気が混ざり温帯低気圧に変化することがあります。
この場合寒気により温帯低気圧が24時間で24hpa低下すれば爆弾低気圧になることがあるといいます。
爆弾低気圧には暴風域が無い
天気予報を見ていると台風には暴風域があって通過地域に注意を促すことがありますが、爆弾低気圧には暴風域は設定されていません。
これは中心付近に近ければ近いほど風速が強まる台風と違って、爆弾低気圧は逆に広範囲で強風が吹きまくっているため、被害の範囲も広くなるからです。
爆弾低気圧も台風も強風が吹いていることに変わりは無く、日頃天気予報を見て注意をしておきたいものですね。