毎年夏から秋にかけて南海上で発生する台風ですが、たまに日本列島のどこかに上陸して大きな被害を受けます。
ところでこの台風、地球上のどこでも発生することは無く、決まって赤道から南北の両サイド付近で発生しますよね。
これはその付近が地球上のどこよりも日射量が多く、温められた海水から台風が発生するのに必要な水蒸気が多いからです。
それでは赤道上ならもっと日射量が多いはずですからより大きな台風が出来てもおかしくないと考えます。
ところが赤道上には台風は発生しません。
何故でしょうか?
えっ?台風は赤道上では発生しないの?
それには理由があります。
台風が回転しているのは地球が自転しているから
赤道上に台風が発生しない理由を説明する前に台風が回転している理由を解説します。
台風が左回転しているのはよく知られていますが、これは北半球で発生した台風だけであり、南半球で出来た台風は全て右回転しています。
これは地球が自転していることで「コリオリの力」が発生しているためで、赤道上ではコリオリの力が発生しないために台風が出来ないのです。
台風はコリオリの力で作られるんだね
コリオリの力とは南北の緯度の違いによる速度の差
コリオリの力は地表の自転速度が緯度の高低差により違ってくるために差が生じることで発生します。
地球は24時間で一回転しますが、これは赤道上でも極地方でも同じですよね。
ところが距離にすると赤道上が最も長く、極地方が0になるため赤道上が自転方向に向けての速度が最も早いことになります。
つまり赤道上には最初から速度が付いていることになるのです。
分かり易く言うと、たとえば赤道上から北極に向けて大砲を打ったとします。
大砲は打った時点で自転方向に速度が付いていることになりますから、大砲の弾は極地方よりも右側(東側)に飛んでいきます。
なるほど、自転による表面の速度は赤道上が最も早く、極に近づくほど遅くなるからということなんだね。
台風が発生する条件は海水温度が26.5度以上
台風の定義は最大風速が秒速17.2m以上になった熱帯低気圧を言いますが、陸上では発生せず、海水温度が26~27度以上であることが発生条件になります。
ここに1980~2005年で発生してから消滅するまでの台風の中心経路を記録した図があります。
コレを見れば一目瞭然で、赤道から南北に一定の幅には台風がほとんど発生していないことが分かりますよね。
南北およそ5度くらいの海域で台風が発生し難くなっていますが、この海域ではコリオリの力が作用し難いからです。
また台風は赤道を乗り越えて反対側に移動することはありません。
台風は赤道をまたいで移動することは無いんだね。
台風が発生するのは熱帯収束帯
台風が最も多く発生する地域は「熱帯収束帯」と呼ばれる地域で海水温が高くコリオリの力が作用し易い地域です。
ただし熱帯収束帯は赤道と平行になっているわけではなく、しかも冬と夏で南北に移動し場所によって波打っています。
1月と7月に熱帯収束帯のイラストがコレ
ピンクが7月、青が1月の熱帯収束帯です。
つまり日本が冬の間は熱帯収束帯は南半球に移動するということですね。
台風は熱帯収束帯でできるのか
まとめ
台風が赤道上で発生しないのはコリオリの力が作用しないためで、台風は季節により移動している熱帯収束帯で発生し易くなっています。
しかし、最近では海面温度が上昇しているとされるため発生条件も変わってきているかもしれません。
台風による被害も多くなってきているのも海面温度の上昇が原因と考えがちですが、台風の規模の大きさからすれば昭和時代のほうが大きかった事実もあり海面温度の上昇だけでは説明できるものではありません。
参考記事:地球温暖化による影響をわかりやすく書いてみました。
台風に関してはまだまだ解明されていないことが多く、今後の研究課題でもあるようです。