毎年春先になると中国大陸から飛んでくる黄砂。
車は黄色っぽくなり洗濯物を干すことも躊躇してしまうほど私達にとっては憂鬱になってしまいますよね。
花粉症を持っている人には花粉と黄砂のダブルパンチで外出もままならないほど、春は最も嫌な季節なのかもしれません。
また最近では中国からやってくるPM2.5などの大気汚染物質と混ざって健康被害も懸念されるようになりましたね。
それにしても最近の黄砂はかなりひどい状態になってますよね。
というのも私が住んでいる名古屋では40年前には黄砂という言葉さえ知らないほど経験が無かったのです。
黄砂で天体観測を邪魔された経験も無いですし、ましてや車が黄砂で汚れるなんてことは記憶が無いんです。
確かに春は何となく空気が霞んで天体観測には適していない時期であることは自覚していましたが、それは他の要因と思い込んでいたのです。
そこで黄砂の時期とピークについて調べてみました。
黄砂の発生源は中国大陸の砂漠地帯
黄砂は主に中国大陸の内陸部にある「ゴビ砂漠」「黄土高原」「タクラマカン砂漠」などの乾燥・半乾燥地域で、強風により数千メートルの上空まで巻きあげられ、偏西風に乗って日本までやってくる現象です。
発生源の砂漠の降水量は年間100~500mm程度しかなく、東京都の降水量の1~4カ月分程度なんだそうです。
これらの砂漠が年々拡大しており、中国大陸の27%以上が砂漠化しているとされ、元に戻すには300年もかかるとされ深刻な環境問題となっているようです。
そういえば中国が改革開放路線に方向転換したのが1978年でそれ以降急速に経済発展してきたことを考えれば、近年黄砂の量が増え出した時期と重なるので40年前には黄砂はあまり問題視されなかったのもうなずけますね。
黄砂は年間を通して発生している
黄砂と聞くと誰しも春先をイメージしますが、中国大陸の発生元では実は一年中観測されている現象でなんだそうです。
したがって、黄砂は気象条件によっては年中日本にやってくるそうで、春先になると黄砂の量が増えるだけのことなのです。
また、黄砂の量は中国大陸で巻き上げられた半分くらいが韓国と日本に降り注いでいるとされているようです。
ちなみに日本に訪れる黄砂の90%は2月~5月の春に集中しており、ピークは4月になっているとされています。
その理由は黄砂の発生源が雪で覆われ、春になって雪解けとともに強風により巻き上げられるので日本に飛来量が増えるのです。
また夏になると雨が増えて発生源は湿った状態になるので黄砂が巻きあげられにくい状態になるからです。
真冬の星空は空気が澄んで奇麗に観えるのはこうした理由があるのかもしれませんね。
黄砂による被害
これまでいくつか黄砂による被害を書きましたが、ここで一度まとめてみますね。
1.空気がかすんで見通しが悪くなる。
2.洗濯物や車、建物など、屋外にあるもののほとんどが汚れる
3.PM2.5が混ざって喘息やアレルギーなど健康被害が懸念される
洗濯物や車が汚れる程度ならまだ我慢できますが、健康被害があるのは大きな問題ですよね。
中には黄砂が原因で血管が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞になる例もあるようで、今後の国の対応が待たれます。
砂漠が拡大している原因
砂漠が拡大している原因は地球温暖化もあるかもしれませんが、多くは人為的によるもので、ある調査報告によれば、
●過剰伐採:32.4%
●過放牧:29.4%
●過剰耕作:23.3%
●水利用の失敗 : 8.6%
●砂丘の移動 :5.5%
が主な原因となっているようです。
気象庁も黄砂予測を公開
気象庁も防災情報として「黄砂予測図(地表付近の黄砂の濃度)」を公開して、日本国民の生活に少しでも支障が無いようにしているようです。
一般の天気用法と合わせて黄砂がどれくらい飛んでくるのか予想できるので洗濯物を干したり、洗車をしたりなど、生活していくうえである程度は参考になると思います。
外出するときはマスクの着用を
気象庁の予報で黄砂が大量に降り注ぐとなれば外出は控え、洗濯物も外に干すのは控えたほうが良いでしょう。
やむをえず外出するときは帽子やゴーグル、マスクを着用して、上着はビニール系の滑り易い記事にすることで黄砂が衣服に絡まないようにします。
こうした対策は花粉症と同じですが、PM2.5が混ざった黄砂は花粉症と違って深刻な健康被害をうけることがあるのでしっかりと防ぎたいものですよね。
もちろん黄砂が降り注いでいる時期は天体観測に的しません。
お家の中で:BBC 宇宙の画像やDVDでも楽しみながら過ごしましょう。