かに星雲は天文ファンならよく知っている星雲ですが、一見カニのような姿からその名が付けられたものです。
地球から7000光年離れている惑星状星雲ですが、他の星雲とは異なる形状がとても印象的な星雲です。
私が天文に興味を持った直後からその姿に魅了され天体望遠鏡でも確認しました。
当時私が使っていた100mm口径の反射望遠鏡ではぼんやりとしか見えませんでした。
とてもではありませんが写真のような姿には見えませんでした。
いつかは大きな天体望遠鏡で見てみたいですね。
ただ、いつも思うことですが、カニ星雲って何処をどうやってみるとカニに見えるのか未だによくわからないんですよね~
私には「ゾウリムシ」のようにしか見えませんが(^^ゞ学者の間ではカニに見えるようです。
そんなカニ星雲ですが以前は恒星だったことはあまり知られていません。
カニ星雲って超新星爆発後の姿だったの?
その恒星が死期を迎えた時に超新星爆発が起こりその後長い年月をかけて今のようなカニ?のような姿になったのです。
その時に物凄い光が人類によって確認されたことが過去の記録で判っているのです。
藤原定家も日記に記録していた
時は1054年、世界中の書物にその時の記録が記されています。
「ベテルギウスが超新星爆発すると衝撃波で人類が絶滅するって本当?」
で少しだけ触れていますが、日本ではこの超新星爆発を確認したのが藤原定家とされています。
というのは藤原定家が自身の日記「明月記」の中に書いてあったとされているのです。
その文章とは
後冷泉院・天喜二年四月中旬以後の丑の時、客星觜・参の度に出づ。東方に見(あら)わる。天関星に孛(はい)す。大きさ歳星の如し。(原文読み下し)
何やら難解な文章ですが原文は漢文で記録されていたようで、これでも判り易くなるように学者が書きなおしたそうです。
私から見るとどうしてこれがカニ星雲のことなのか疑問に思うのですが、どうやら同時期に中国やヨーロッパなど各地の古文書に同じ現象の内容で記録されているらしいですよ。
世界各地の古文書にも同じ記録が残されていたんだね
方角的なことと日時からカニ星雲と断定されたのでしょうね。
最近ではハッブル宇宙望遠鏡による観測でいろんなことが判ってきたそうですよ。
その観測で得られたデータから逆算していくと一点に集中していることが判り、これが1054年に東の空に確認されたとされる記録と合致したんだそうです。
また、カニの足のように見えるとされる「フィラメント」と呼ばれる部分がプラズマで覆われていることが明らかになったことなど高解像度ならではのデータが得られるそうで、今後様々なデータを収集することで新たな発見があるかもしれません。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したカニ星雲の画像がこれ
カニ星雲は今でも広がり続けている
カニ星雲は今でも爆発によって放出されたガスが秒速1000km以上の速度で周辺に膨張していて今では10光年ほどの大きさになっているそうです。
実際に画像を比較すると50年の間にかなり膨らんでいることが判るそうです。
しかし、このままいけば数万年程度には消滅してしまうみたいですよ。
かに星雲は数万年程度に消滅するって
消滅というより周囲の星間ガスと同化していくと考えた方がいいかもしれません。
オリオン座大星雲みたいに、中で星が生まれることは無いみたいです。
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カニ星雲の位置
カニ星雲はおうし座にあり明るさは8.4等級です。
ちょっと暗いのでかなり大きな望遠鏡でないとはっきりとした形には観れませんが、先にも書いたとおり100mm口径の反射望遠鏡で観測した時には一応それらしき形状には見えましたよ。
しかし正直がっかりしました。
肉眼で見えるアンドロメダ銀河でさえ家庭用の天体望遠鏡でぼんやりとしか見えないわけですから、8.4等級と肉眼で見ることができないカニ星雲ですからはっきり見えないのは仕方のないことですが・・・
すばる星団とヒアデス星団の位置関係から判断すると探しやすいと思います。
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