金星

金星といえば「宵の明星」「明けの明星」として私たちの目を楽しませてくれる馴染み深い惑星です。

最も明るいときでマイナス4.6等級と、条件さえ整えば真昼でも観測できるくらい明るいです。
(実際に観た事あります)

地球とほぼ同じくらいの大きさにもかかわらず、環境は地球とまったく違って地獄のような世界として知られていますよね。

中でも地表の温度は470℃という灼熱地獄になっています。

何故ここまで高温になってしまったのでしょうか・・・

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金星の基本データ

金星と他の惑星との大きさ比較

金星は太陽系第二惑星で、岩石や金属で構成されている地球型惑星です。

大きさや公転軌道などの基本データは次のとおり

参考のために水星と火星も載せておきます。

惑星名 直径(Km) 平均公転半径(Km)
水星 4,900 57,910,000
金星 12,100 108,200,000
地球 12,700 149,600,000
火星 6,800 227,900,000

ご覧のように金星の大きさは地球とほぼ同じで、金星は古くから地球と兄弟惑星とも言われてきました。

しかも地球と同じ岩石惑星で、密度もほぼ同じであるとされています。

にも関わらず金星の温度が高温になってしまった理由の一つに太陽からの距離にあります。

ご存知のように太陽系の惑星で、生命発生の条件に適していると考えられる距離にある領域水がハビタブルゾーンですが、金星は地球よりも3割近く距離が短いために太陽からの熱エネルギーを多く受けるのも一つの原因です。

しかしそれだけで温度が500℃近くまで上昇することは考え難く他に原因があるはずです。

それが金星の大気圧と大気組成です。

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金星の大気圧は地球の90倍

データから作成した金星表面
データから作成した金星表面

金星の大気圧は90気圧もあり、地球の90倍も圧力がかかってしまうのです。

その圧力たるや900m潜った海の中に相当するそうで、もし人間が金星の大地に降り立てるとしても、大気圧によって押しつぶされてしまうだろうと考えられています。

この異常に高い気圧によって温度が高くなった要因の一つの考えられます。

なぜなら圧力と温度は比例して高くなるからです。

学校でも習ったと思いますが密閉された容器を加熱すると気圧も上昇する「ボイルシャルルの法則」がありますよね。

金星も温度の上昇とともに気圧も高くなったものと考えられます。

二酸化炭素の割合が高い金星の大気組成

金星の大気
金星は地球の90倍もの気圧があることはすでに述べましたが、その大気組成も特徴的で、なんと殆どが二酸化炭素が占められ、僅かに窒素が含まれてているような組成なのです。

金星はこうした二酸化炭素の分厚い大気に覆われていますが、二酸化炭素の雲は太陽光を反射する性質があるため地表に到達する熱は地球よりも少ないものと考えられ、氷点下になるはずです。

しかし実際には470℃と物凄い高温になっているのは二酸化炭素による温室効果が生じてしまったものと考えられています。

長い年月を経て太陽から受けた熱が、“二酸化炭素の掛け布団”により溜まってしまったのでしょう

金星の自転速度は異常に遅い

金星は自転速度が物凄く遅いことで知られていますが、地球が24時間で一周するのに対して金星は一周するのに243日もかかるのです。

金星は太陽の周りを一周するのに224日かけて公転していますから、金星は太陽の周りを一周するよりも自転の方が時間がかかることになります。

さらに、金星は他の惑星と違って唯一逆回転になっており、これも非常に特徴的です。

何故このようになったのかというと、一説には複数の天体と衝突して現在のようになってしまったといい、自転が逆になっているのも他の天体との衝突で自転軸がひっくり返ってしまったのではないかと考えられています。

また自転速度が極端に遅いことが金星の磁場を無くしたか、あるいは弱くしてしまったと考えもあり、温度が400℃以上になったのもこれが原因と考えている科学者もいるようです。

どうなんでしょうか・・・

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金星の上層部を猛烈な風が吹いている

金星には上層で非常に強い風「スーパーローテーション」が吹いていることが確認されていますが、その風速は秒速100mにも達して金星を4日で一周するそうで、金星の自転速度の60倍以上になるといいます。

これも金星の温度が470℃と異常に高いことで大気内で対流が起こることで発生しているのではないかと考えられてきました。

しかしそのメカニズムが未だに解明されておらず、金星最大の謎といわれています。

また、上空には二酸化硫黄から出来た雲から硫酸の雨が降っているとされ、金星全体を覆っているそうです。

しかし地表の温度が400℃を下回ることが無いほど高温なために硫酸の雨が地表に届くことは無く硫酸が海になることは無いとのこと。

現在まで金星探査にはNASA の「パイオニア・ヴィーナス」やESA の「ビーナス・エクスプレス」が送り込まれて金星にもオゾン層があることや、大気層にマイナス175℃の極寒層やその上に高温層があることなど、金星の大気層は非常に複雑になっていることが確認されています。

探査機は地表に到達することを試みましたが、高温と高圧により押しつぶされたのか詳しい探査ができたとの報告はされていないようです。

一方、日本では2010年金星探査機「あかつき」を打ち上げ、度重なるトラブルを乗り越え金星の大気などの観測を続けています。

今後の報告に要注目です。

太古の金星の大気は地球と似ていた

このように過酷な環境の金星ですが、太陽系が誕生して間もない頃、金星と地球は濃厚な二酸化炭素に包まれた大気組成だったそうです。

それまで熱かった金星と地球はやがて冷えていき、地球は海が形成されたことで二酸化炭素が海水に溶け、溶けた二酸化炭素は炭酸塩として岩石に取り込まれ、大気中の二酸化炭素も減少していったといいます。

一方金星は地球よりも太陽に近かったためか海が出来ることは無く、大気中の二酸化炭素も減ることは無かったために現在のように大気中の殆どが二酸化炭素で占められているといいます。

ちなみに地球の海水や岩石から二酸化炭素を全て大気中に戻せば、大気圧は70気圧になるとされ今の金星の大気組成に近づくと考えられています。

現在世界中で地球温暖化が叫ばれていますが、地球も金星のような灼熱地獄になることを恐れての警告なのかもしれませんね。

もっとも、二酸化炭素の排出量を減らすだけで温暖化が解消できるとは思えませんが・・・