オーロラといえば一度観たらその美しさに魅了されるくらい素晴らしい現象とされていますが、観られる地域も限定されていることからそう簡単には観ることができませんよね。
これは太陽風によって飛んでくる粒子が地球の磁場の入口に流れ込んでくるために地域が限定されてしまうからで、地球では北極や南極周辺でしか観ることができません。
あわせて読みたい:太陽の黒点を観察していればオーロラ出現率が判るの?
ただオーロラのような目に見えている自然現象でも、詳細にいたっては未だに不明な点が多いそうで、まだまだ研究の余地はありそうです。
近年オーロラの魅力も広く認知されてきたようで、多くのオーロラツアーも組まれています。
さてそんな美しいオーロラですが、地球以外の惑星でも観られることをご存知ですか?
中でも木星のオーロラはスケールがでかくて、その規模は地球のオーロラの1000倍ものエネルギー、直径は地球三個分もあるとか。
何故木星のオーロラがそこまでスケールがでかいのかまだはっきりと判っていないそうですが、考えられる要因は次のようなことのようです。
木星の磁場が強いから
木星は太陽系で最も大きな惑星で、質量は地球の318倍、直径は11倍と、これだけの大きさを誇る木星だけに地球のオーロラよりもスケールがでかくなるのは判ります。
それにしても1000倍となると他の要因も考えられます。
その一つが木星の強力な磁場と衝突する粒子の速度です。
地球にも磁場があり、1日24時間の自転によって作られますが、木星の場合11時間という高速で自転しているために地球の14倍もの磁場が作られているそうです。
磁場が強力なために粒子が衝突するとそれだけ高エネルギーを発する為と考えられています。
また木星は太陽からの距離が地球よりも遠くなるため、太陽から届く粒子の速度が加速しているために衝突が激しくなる為とも考えられています。
あわせて読みたい:オーロラが見える太陽風は何日で地球に到達するの?
それだけではありません。
木星の衛星もオーロラの生成に関与していたのです。
木星の衛星がオーロラを作る?
地球上で観られるオーロラは太陽風によって発生した秒速800kmにもなる電子や陽子などの粒子が地球の大気に衝突するというメカニズムで光ります。
そのため太陽風の強弱で強くなったり弱くなったりします。
ところが木星のオーロラは太陽風の強弱に関係なく地球のオーロラの1000倍もの規模で光っています。
何故このような現象が起きるのかというと、一説によれば木星の衛星が関わっているといいます。
その衛星というのが「イオ」です。
これまでの観測によりイオに太陽系最大級の火山があり、現在でも噴火していることが確認されています。
その規模は数百キロの上空にまで噴き上げられているとされ、その時の粒子が宇宙空間にまき散らされているといいます。
その画像がこちら
木星には強い磁気圏がありイオの軌道よりもはるか遠くまで影響が及ぶと言われています。
この磁気圏にイオの火山から噴き上げられた粒子が捉えられ、磁気を伝って木星の大気と衝突しオーロラが発生しているという考え方です。
あわせて読みたい:オーロラが光る原理をわかりやすく解説します。
ジュノーの観測で確認
これまでの観測で木星にもオーロラが発生していることは判っていましたが、もっと詳細に判ったのが木星探査機「ジュノー」だったのです。
ジュノーはNASAの木星探査機で、2011年8月に打ち上げられ2016年7月に木星の軌道投入に成功しました。
ジュノーが画期的なのは、これまでとは違った方向から木星を観測できる軌道に乗せることが出来たからです。
というのも、これまでの木星探査機は横方向の軌道に乗せて「大赤飯」や衛星を中心に観測してきました。
しかしジュノーはこれまでとは違い、縦方向の軌道に乗せることに成功したのです。
するとこれまで観測できなかった極地方を真上から観測することが出来るようになったのです。
オーロラは極周辺にしか現れないのでジュノーによりオーロラのより詳しい観測が可能になったわけです。
そこで観測されたオーロラの映像に注目が集まりました。
エウロパ、ガニメデもオーロラの生成に関与?
オーロラの生成にイオが関わっていると考えられていますが、これまでのジュノーによる観測によれば他の衛星による痕跡がオーロラに見つかったといいます。
その衛星とは「エウロパ」と「ガニメデ」です。
オーロラの中に見える痕跡と各衛星の位置関係を調べたところ衛星からの粒子が関わっていることが判明したそうです。
つまりイオと同様にエウロパやガニメデから噴き出た粒子が巨大なオーロラを作っている要因の一つということだそうです。
これもジュノーにより木星のオーロラを真上から観測することが出来たからですね。
まとめ
木星のオーロラのスケールがでかいのは木星の強力な磁場に加えて、加速した粒子や周りを公転している衛星からの粒子により作られているのではないかと考えられています。
ということは、地球も月に火山活動があればまた違ったオーロラを観ることが出来たかもしれませんね。
あるいは人工的に粒子をまいて違う姿のオーロラを観せられるようになる日が来るかもしれません。