太陽に出現した大黒天
出典:国立天文台

オーロラを見に行くために海外へ出向いたのにまったく見えなかったと言う人も少なくありません。

できることならオーロラが見えやすい場所に行けばいいのですが、そういったところは人気がある上に値段も高くなります。

しかしそんな人気の場所でも見られない人もいるようです。

太陽の黒点とオーロラ出現率の関係についてのお話です。

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オーロラが見える条件の一つ太陽の活動

オーロラが見える条件としては、

晴天率が高く、視界が開けていて、暗い場所ってのが条件なんですが、もうひとつの条件として「太陽の黒点」というのがあります。

オーロラは太陽風が地球の磁場とぶつかって発生することまでは判っています。

太陽風は太陽の表面の活動が活発なほど強くなるとされていますが、その指標となるのが黒点の数といわれています。

つまり黒点の数が多ければ多いほど太陽の活動が活発である証拠で、それに伴って太陽風が強くなるとされています。

太陽風が強くなれば地球の磁場にぶつかるのでオーロラが現れやすくなるとされています。

オーロラツアー会社のサイトを見ると必ずと言っていいほど黒点との関連性を強調しているのはそのためです。

オーロラ出現率と太陽の活動は無関係?

しかし、オーロラが観測できる地元の人には、太陽の活動とオーロラの出現率は関係ないと言う人がいるのです。

その人曰く、

長年の調査では太陽の活動が活発になろうが低迷しようがオーロラの出現率に変化は無かったということなのです。

もっとも専門家の意見ではないので科学的根拠はありませんが・・・

ひょっとして、自分の生活がかかっているのでこのように言っているのかもしれません。

というのは、最近の太陽では黒点の数が減り続けていて活動の低下が指摘されているからです。

太陽活動が低下してオーロラの発生が減少傾向となることで観光客が減れば死活問題ですからね。

確かにこれまでは太陽活動に異常が無かったのでオーロラ発生に大きな影響は無かったかもしれませんが、今後太陽活動が長期間低迷するとしたらこれまでの経験によるオーロラの発生パターンは意味が無くなってしまうかもしれません。

 

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黒点の数が増えるほど太陽風が強くなる

太陽風が強くなるほどオーロラの出現率が高くなることはすでに書いていますが、太陽風と黒点はどのような関係なのでしょうか?

太陽風とは高温で電離したプラズマで、太陽の表面から噴き出しています。

1秒間に数百キロという猛スピードで宇宙空間を流れていて、地球や火星木星など他の惑星にも到達しています。

探査機の観測では太陽系の外にまで達していて、70天文単位(1天文単位は太陽と地球の距離)まで達していることは判っているそうです。

ちなみに太陽風は4日ほどで地球に到達するそうです。

一方、黒点は太陽の表面に現れた磁場の束で、あまりの磁力の強さで中からのエネルギーが表面に出られなくなり温度が下がっているため黒く見えるとされています。

もともと太陽の内部では磁力が作られていて、それがゆっくりと浮上してきて表面に現れます。その磁力が束になっていて断面が黒点として見えるそうです。

太陽は地球のように北極と南極といった2つの磁場が存在するのではなく、表面に複数の磁場が存在していているのです。
どこでも磁場となるそうです。それが黒点で通常はN極とS局のペアで現れます。

よく太陽の表面動画で片方の黒点から噴き出した炎がもう片方の黒点に吸い込まれる映像を眼にしますが、黒点ではこうした現象が起こっています。

太陽の表面の黒点がたくさん現れると、表面は磁場だらけになっているとされています。

また黒点はその名の通り黒いことから光を発していないと思われがちですが、これは周りの光が強すぎて黒く見えるだけで、実際には強い光を放っているそうです。

黒点はこうした性質を持ち、そこから溜められたエネルギーが放出され、それが太陽風となって噴き出します。

オーロラは黒点の数と関連性はあるが予測は困難

そう考えると黒点を観測することで太陽風がどれくらい到達するのか予想できそうな気がするのですが、実際のところ現時点では難しいそうです。

太陽風というのはまんべんなく地球に到達するものではなくむらがあるからとされています。

早い話、太陽風というものは到達してみないと判らないそうです。

ということはオーロラの出現率予測もかなり難しいのではないでしょうか?

 

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今後オーロラ観光が窮地に

オーロラと黒点の数は関係が無いと主張しているオーロラ観賞地の地元の人に対しては不安材料になりかねないことが起こりつつあります。

それは最近の太陽活動の変化が今後の低下を示唆している現象が現れているとのこと。

過去の太陽活動の統計によるものだそうですが、今後数十年といった長期にわたって太陽活動が低迷するかもしれないと言われているのです。

というのは、通常は太陽の活動は11年周期で活動の強弱が繰り返されていますが、最近では13年周期に延長されているとのこと。

過去の統計では13年周期になると決まって数十年太陽活動が低迷している記録が残っているのです。

その昔、太陽活動が70年近く低迷していた時期があり、その時にオーロラがまったく見えなかったという記録が残っているそうです。

この時期のことを「マウンダー極小期」と呼んでいて、地球は少しだけ寒冷化していたそうです。

普段なら凍ることのない川が凍ってみたり、疫病が流行したりと社会が大混乱したそうです。

これは1645年に起こった現象だそうですが、当時は寒冷化によって農作物にも被害が出て飢饉が発生したそうです。

今の太陽活動の周期がその時期に酷似していると言われているのです。

今後はオーロラの発生率が低下する

太陽活動がオーロラの発生率に関わっていることが間違いない事実と判りました。

今後太陽の活動が過去と同じパターンを繰り返すと考えれば、オーロラを見ることは難しくなるということです。

と言っても、急にオーロラが見えなくなることはないそうなので、時期をみて出向くのも良いとのこと。

またフィンランドの気象庁によると2005~2010年のオーロラはここ100年間で最も少なかったとの報告もあります。

にもかかわらずネットで調べてみると多くの人が綺麗なオーロラを見ることができたと喜んでいますから、けっこう期待できるかもしれませんよ。

コロナホールからも太陽風が

太陽風の発生には黒点だけでなく「コロナホール」と呼ばれるところから発生することもあります。

コロナとは皆既日食のときに肉眼で見ることができますが、黒い太陽の周りに放射状に輝く光で写真でもよく目にすると思います。

そのコロナの暗く冷たく密度の低い部分を「コロナホール」呼びます。

コロナホールからも太陽風が吹きだしていて、こちらも地球に到達してオーロラを発生させていると言われています。

ただしコロナホールはどこに現れるか予想できず、地球に向いたときだけ太陽風の影響を受けるとされています。

また他の領域から吹く太陽風の3倍もの速さで流れてくるので地球上で磁気嵐の要因にもなっています。

ただしコロナホールが形成される要因はまだはっきり分かっていない為に今後の研究課題とされているようです。