ブラックホール

とてつもない重力のために光までも吸い込んでしまうブラックホール

いったん飲み込まれたら二度と元には戻れないと考えられていますが、飲み込まれた物質はどのようになってしまうのか・・・

多くの科学者が頭を悩ませてきたといわれるこのような疑問は未だに解明されていません。

ただ、ブラックホールのような何でも吸い込む天体があるのなら、その逆で何でも吐き出す天体があっても不思議ではないとの考え方もあるはず。

それが「ホワイトホール」。

世の中にはいろんな考え方があるようで、ブラックホールとホワイトホールがどのように考えられているのか調べてみました。

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ブラックホールは質量の大きな恒星から生まれる

超新星爆発

まずはブラックホールがどのようにして作られるのかおさらいしておきましょう。

ブラックホールは太陽の30倍以上の質量を持つ恒星が寿命を迎えて最後の段階で生まれる天体です。

まあ生まれるというよりも残されたと言った方がいいかも知れませんが、恒星が核融合を終了した瞬間に重力崩壊を起こして中心に向かい、中心核に反射して超新星爆発を起こします。

そして自らの重力で支えきれなくなった中心部は無限大にまで収縮して高密度になり無限大の重力になるというもの。

あわせて読みたい:超新星爆発を経ないでもブラックホールが出来るらしい

こうして誕生したブラックホールは他のブラックホールと衝突、合体を繰り返して質量を増しながら巨大化していきます。

私たちが住んでいる太陽系が属している天の川銀河の中心には超大質量のブラックホールが存在していることが確実視されています。

また宇宙に存在している全ての銀河の中心にはこうした超大質量のブラックホールが存在していると考えられています。

数千億個もの恒星を従えるだけあって中心部のブラックホールは超巨大でないと務まらないのでしょうね。

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ブラックホールはとんでもない高密度

ブラックホールは恒星が重力崩壊を起こして無限大にまで縮んだ天体ですが、どのくらい縮めればブラックホールになるのかという分かりやすいイメージがあります。

それは半径が70万kmの太陽を半径3km以下にまで縮めることが出来れば理論上はブラックホールになるとされています。

あまりに非現実的な話ですが、これを可能にしたのが太陽の30倍以上の質量を持った恒星の中心部です。

こうした恒星なら最後の段階で超新星爆発と同時に重力崩壊を起こして無限大にまで縮めることが可能というわけです。

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

では、無限大の重力をイメージしやすいように「脱出速度」で表現してみますね。

ブラックホールには脱出速度が存在しない

脱出速度とは天体の引力から逃れるために必要とする速度を言いますが、地球の周りを落下することなく周回できるのに必要な速度は約7.9 km/sとなります。

そして地球の引力から逃れて他の天体に向かうのに必要な速度は約11.2 km/s となります。

さらに太陽の引力から逃れて太陽系外天体に向かうのに必要な速度は約16.7 km/sとなります。

このように天体の引力によって脱出速度は速くなるのです。

ちなみに光の速度は30万km/s

これをブラックホールに当てはめてみると、ブラックホールは脱出速度が30万km/sを超えてしまいます。

アインシュタインの相対性理論によれば、宇宙には光よりも速い物質は存在しないとされています。

つまりブラックホールには脱出速度というのは存在せず、光をも飲み込んでしまうというのはこのためです。

この現象はブラックホールの周囲にある「事象の地平面」を境に起こる現象です。

事象の地平面に浸入してきた物質は二度と脱出できないということです。

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ブラックホールは実在する?

天の川銀河

こういった話を聞くと本当にブラックホールなんて存在するのかと疑わしく感じます。

しかし最新の観測技術により実際にブラックホールは観測されており、天の川銀河内でも数十個確認されており、中心部には太陽の370万倍の質量を持った超大質量ブラックホールも確認されています。

観測といってもブラックホールを直接確認できたのではなく、ブラックホールに周辺の物質が吸い込まれる時に高温になり、X線やガンマ線が発せられ、その中のX線を観測するという間接的な確認です。

現在NASAによって打ち上げられたチャンドラX線観測衛星が中心になってブラックホールの観測をしていますが、天の川銀河内には約1万個ものブラックホールが存在していると考えられています。

あわせて読みたい:ひとみに映るエックス線からブラックホールの何が判るの?

ホワイトホールはブラックホールと真逆

ホワイトホールとブラックホール

呼んで字のごとく正反対の性質を持つ天体で、どちらもアインシュタインの相対性理論から導き出されたものです。

ブラックホールはあらゆる物質を吸い込んでしまうのに対して、ホワイトホールは何者も内部に溜め込むことは出来ないと考えられています。

ホワイトホールは理論上ブラックホールと同等の重力を持ち、ブラックホールが光までも飲み込むとは逆に、ホワイトホールは光も浸入させないと考えられています。

これまで書いたようにブラックホールは間接的に観測する手法により複数確認されていますが、ホワイトホールに関しては観測手法が確立されていないために、まだまだ空想の世界というのが現状のようです。

しかしブラックホールもかつては理論上の産物で、実在するものでは無いとされていました。

最近になって初めて観測されたブラックホール同士の衝突により発生した重力波もアインシュタインが予言した現象です。

天文学の発達とともに観測技術が発達することで次々と予言が証明されています。

こういったことを考えればホワイトホールもいつかは発見される確立はゼロではないといえます。

ホワイトホールとブラックホールを結ぶワームホール

アインシュタインの相対性理論によれば、未来や過去に行ける「タイムマシン」が理論的には可能といいます。

それを実現できるとされるのがワームホールです。

ワームホールとはホワイトホールとブラックホールを結んだトンネルのことをいいます。

     こんなイメージです
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ワームホール

このワームホールというトンネルを光よりも早く移動することで相対性理論による「移動速度が速いほど時間の進み方が遅くなる」との考え方の基、タイムマシンの考え方が実現できるというもの。

世界中で目撃されているUFOも実はタイムマシンと主張している科学者もいます。

ホワイトホールはビッグバン?

今の宇宙が誕生したのはビッグバンがきっかけということになっていますが、ある科学者によればこのビッグバンがまさしくホワイトホールの考え方で、ブラックホールの向こうは別の宇宙に繋がっていると考えているようです。

つまりブラックホールとホワイトホールは繋がっており、ブラックホールに吸い込まれた物質はホワイトホールから噴出する、つまりこれがビッグバンにより別の宇宙が誕生するというのです。

      こんなイメージです
          ↓↓
ビッグバン

なんだか突拍子も無い考え方ですが、脱出速度が光の速度を超えてしまうブラックホールの中の世界は物理法則が通用しないと考えれば、ホワイトホールがビッグバンという考え方もありえるのではないかと思います。

ひょっとしたら私たちが日々眺めている星空はブラックホールに吸い込まれた別の宇宙がホワイトホールによって噴出された新たな宇宙として始まったのかもしれません。