天の川銀河と中心のブラックホール

銀河の中心にはブラックホールが存在していると考えられていますが、私たちが属する天の川銀河にも例外なくブラックホールが存在していることが分かっています。

それも太陽の4百万個分の超大質量のブラックホールが。

その名もいて座A* (エースター)

そのいて座A*がどのように誕生してどのような経緯で成長してきたのかが謎になっていました。

それがここにきて一つの大きな事象が確認され話題となっています。

これでいて座A*の成長の謎が解明するのか注目してみます。

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ブラックホールの合体では説明がつかない形成過程

ブラックホールは太陽の30倍以上の質量の恒星が寿命を迎えて重力崩壊を起こして誕生した天体です。

普通は太陽の10~100倍くらいの質量を持つブラックホールですが、宇宙には太陽の10億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールも見つかっています。

こうした超大質量ブラックホールが出来るまでには恒星が超新星爆発を起こして一発で形成されるとは考えらないとされ、その成長メカニズムが大きな謎となっていました。

考えられるとすれば複数のブラックホールを飲み込んで成長するという考え方です。

ブラックホール同士の合体や周辺のあらゆる物質を飲み込んで成長していることは、近年の観測で重力波によるブラックホール同士の合体を検知されていますから実際に起こっている現象といえます。

しかも宇宙ではこうしたブラックホール同士の合体は頻繁に起きているとみられ、超大質量ブラックホールの成長メカニズムの裏づけともいえるとされてきました。

ところが、超大質量ブラックホールの成長の合体説に疑問が生じます。

というのも、これまでの観測によると、宇宙が誕生して10億年も満たない時期に超大質量ブラックホールが誕生していたことが確認されたからです。

超大質量ブラックホールにまで成長するには、ブラックホールの合体だけでは数十億年という長い年月を必要といいます。

それが10億年に満たない時期に出来ていたとすればブラックホール合体説だけでは説明がつかないといいます。

 

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天の川銀河内に中間質量ブラックホールが存在することが判明

複数のブラックホールが合体して成長するという考え方について一つ疑問となっている点がありました。

それは「中間質量ブラックホール」の存在が判明していなかったこと。

ブラックホールは質量別に大きく分けて、

恒星質量ブラックホール
太陽の数倍から十数倍の質量

中間質量ブラックホール
太陽の1千~1万倍くらいの質量

超大質量ブラックホール
太陽の100万倍~100億倍にもおよぶ質量

これまで恒星質量ブラックホールと超大質量ブラックホールは確認されていましたが、中間質量ブラックホールはいくつかの報告はあったものの、確たる裏づけが無かったといいます。

なので超大質量ブラックホールが恒星質量ブラックホールや中間質量ブラックホール合体による形成されるという考え方が一つの矛盾点となっていたのです。

ところがつい先日2019年2月12日、国立天文台により中間質量ブラックホールが観測データの解析により確認されたと発表があったのです。

この中間質量ブラックホールは、太陽の3万倍ほどの質量を持つそうで、銀河中心核から200光年という比較的近い距離で確認されたそうです。

中間質量ブラックホールの存在が確認されたことがいて座A*の成長は中間質量ブラックホールの合体によるものである可能性が高くなったといえます。

ちなみに中間質量ブラックホールの形成には2通りあるとされています。

1・星団で形成された恒星質量ブラックホールに他の天体との合体や衝突を繰り返しながら、周辺のガスやチリを吸収して形成された。

2.ビッグバン初期にガスが密集した場所で誕生した太陽の1万倍以上の質量を持った恒星がブラックホールになった。

中間質量ブラックホールの形成もまだまだ謎が多く残っているようで今後の研究課題となっているようです。

 

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アンドロメダ銀河と衝突して超大質量ブラックホールも飲み込まれる

40億年後に天の川銀河と衝突するとされるアンドロメダ銀河ですが、大きさにして天の川銀河の2倍位の大きさを誇るアンドロメダ銀河に飲み込まれる運命にあるといいます。

天の川銀河の中心にあるブラックホールの質量は太陽の400万倍、アンドロメダ銀河の中心にあるブラックホールの質量は太陽の1億倍

衝突とともに両方の超大質量ブラックホールは合体することになりますが、合体後の質量は1億倍とも言われ、銀河はさらに巨大化すると見られています。

ただし太陽系にはさほど影響は無いと見られ、変わるとすれば星座の姿と星の数くらいと考えられています。

それほど銀河内はイメージのような星が密集した状態ではなく意外とスカスカになっているということ。

イメージとしては天の川銀河を太平洋に例えると太陽は直径が1mmにも満たない砂粒のようなもので、最も近い恒星プロキシマケンタウリでも約3km離れているということ。

これだけスカスカであれば恒星同士の衝突は確率的にかなり低いことが分かりますよね。

まとめ

以上の結果から考えられることとして、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールは、中間質量ブラックホールが形成され、それが合体して形成されたというのが有力なシナリオといえるようです。