ブラックホール

世界で初めてブラックホールの撮影に成功したことが話題になっています。

報道によれば世界各地の電波望遠鏡を利用して地球規模の口径と同じ性能の望遠鏡でブラックホールを捉えることが出来たそうですが、観測技術の発達もここまで出来るようになったとは驚きですよね。

光さえも飲み込んでしまうブラックホールだけに直接観測することは不可能とされていますし、ましてや撮影できるとは誰しも考えていなかったのではないでしょうか。

今回の発表を受けて会見場では画像を見た記者たちの間でどよめきが起こったといいます。

ただ、メディアで報道を見た一般の方にはブラックホールがどのような天体なのか知らなかった人も多くいたようで、ネット上では「ブラックホール」「ブラックホールとは」といったキーワードが急増していました。

多くの人がブラックホールがどのような天体なのかを知りたいことがよく分かりますよね。

そこで今回はブラックホールがどのような天体で、どのように誕生して消滅していくのかを解説してみることにしました。

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ブラックホールは恒星が死を迎えた後に誕生する

ブラックホールは元々が恒星が誕生し、核融合を経て最終段階に残された天体ですから、まずは恒星の誕生から解説してみますね。

夜空を見上げると無数の星が輝いていますが、惑星や月以外の星や、見かけの位置が動かない星は全てが恒星です。

ブラックホールはその恒星の中でも太陽の30倍以上という質量の大きな恒星が寿命を迎えるときに誕生します。

ちなみに天の川銀河にもブラックホールの存在が50~60個確認されており、天の川銀河全体では1~2万個ものブラックホールが存在していると考えられています。

しかも天の川銀河中心には超大質量のブラックホールがあり、その質量は太陽の400万倍というとんでもないでかさです。

それだけ天の川銀河には質量の大きな恒星が数多く存在しているということ。

ではそんな恒星はどのように誕生したのか・・・

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

宇宙空間に存在していた水素ガスが集まり恒星が誕生する

プレアデス星団

宇宙が誕生した当初、元々宇宙空間に存在していた大量の水素ガスが自らの重力で集まり、原始星となります。

上の画像は「プレアデス星団」ですが、恒星の周りに煙のようにガスが漂っているのが分かりますよね。

これが恒星を作り出す水素ガスです。

宇宙に存在している水素ガスは均等に分布しているわけではなく、所々大量に集まった水素ガスの濃い領域が存在しています。

その水素ガスの濃い領域で出来た原始星の中心部では自らの重力で圧力が高まるとともに温度も上昇します。

するとそこで水素に核融合反応が起こり原始星は恒星として誕生することになります。

 

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ブラックホールは質量の大きな恒星でしか誕生しない

恒星は誕生してしばらくは核融合をしていますが、最終的には燃料も尽きることになりブラックホールが誕生することになります。

ちなみに太陽クラスの恒星はブラックホールになることは無く、最終的には白色矮星を残すことになると考えられています。

以降は太陽の30倍以上の質量を持つ恒星について解説してみます。

恒星は中心部で核融合により水素をヘリウムに変換し、中心部はヘリウムが溜まっていきます。

そして今度はヘリウムが核融合を起こすようになり、さらに重い元素へと変換されていきます。

こうして次々と重い元素に変換され最後に鉄(Fe)が生成されてそれ以上重い元素に変換されることはありません。

なぜなら鉄は元素の中で最も安定した元素だからです。

このときの恒星の内部はこんな感じになっています。
恒星の内部

そもそも恒星は自らの重力による中心部への収縮しようとする力と、核融合による膨張しようとする力のバランスによりその大きさを保っているわけですが、燃料が尽きれば残されるのは収縮しようとする力だけになります。

すると全ての物質は中心部に向かって落ちていくことになります。

これを「重力崩壊」と呼んでいます。

恒星は最後に重力崩壊を起こして中心に向かった落ちて行き、全ての物質は中心核に衝突したときの反動で爆発を起こしてあらゆる物質を周辺に撒き散らします。

これが超新星爆発で、そのときにブラックホールが誕生します。

ブラックホールの重力が無限大になる理由

ブラックホールは無限大の重力といわれますが、何故無限大になるのかご存知ですか?

それは恒星が最終段階で重力崩壊を起こして中心に向かって収縮していくことに起因します。

重力崩壊を起こすと次のような現象が起こります。
  
中心の密度が増して重力が増す。
  ↓
重力が増すとさらに収縮して密度が増す。
  ↓
密度が増すとさらに重力が増してさらに収縮
  ↓
・・・

このような現象が一瞬にして起こり、最終的には無限大の重力となってブラックホールは誕生します。

 

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ブラックホールは脱出速度が存在しない

天体の重力から抜け出すのに必要な速度のことを脱出速度といいます。

たとえば地球の周りを落下しないで回り続ける速度は7.9km/s必要ですが、これ以上の速度があれば地球の重力から脱出することも可能になるわけです。

詳しい解説はこちら:第一宇宙速度とはどれくらいのスピードなの?

それではブラックホールの重力から抜け出せる速度はどのくらいでしょうか?

答は、光より速い速度、つまり30万km/s以上の速度が必要になります。

アインシュタインの相対性理論によれば宇宙には光より速いものは存在しないとされています。

したがって30万km/s以上の速度は存在しないのです。

つまりいったんブラックホールの重力に飲み込まれたら何者も脱出することが出来ないということです。

ブラックホールの種類

よくブラックホールはとても重力が大きくて光さえも飲み込むとされていますが、規模も様々で、質量が太陽質量の10〜数十倍から今回初めて撮影に成功したブラックホールのように質量が太陽質量の100万倍以上もある物もあります。

ブラックホールは質量の大きさにより次のように分けられています。

●恒星質量ブラックホール
最も一般的なブラックホールで、超新星爆発によって誕生したブラックホールのことをいいます。

●中間質量ブラックホール
恒星質量と超大質量の中間の質量を持つブラックホール。
太陽の質量が太陽質量の数十倍~100万倍とされています。

●超大質量ブラックホール
太陽の百万倍から1千億倍程度の質量を持つブラックホール。
天の川銀河のように宇宙に存在しているこうした銀河の中心には必ずブラックホールが存在していると考えられ、しかもその質量はとてつもなく大きな超大質量ブラックホールと考えられています。

ブラックホールは蒸発してやがて消滅する

かつてブラックホールは永遠にあらゆる物質を飲み込んでいくと考えられてきましたが、これに異を唱えた人物がいます。

それが2018年に亡くなった天才物理学者ホーキング博士です。

ホーキング博士は宇宙に存在するものには必ず寿命があるとされ、ブラックホールも例外ではないというのです。

ホーキング博士によると周辺の物質を吸い込んだ後に長い時間をかけて少しずつ蒸発するのだと。

ただし、蒸発して無くなるまでは宇宙が誕生してから138億年とされていることを考えれば、ブラックホールは無限に存在していると考えてもいいくらい長い時間がかかるそうです。

詳しい解説はこちら:ブラックホールはいずれ蒸発して寿命を迎えるって知ってましたか?

それにしてもブラックホールを予言したアインシュタインはどれだけ天才なのか改めて驚かされますが、ひょっとしてアインシュタインはタイムマシンで未来からやってきた科学者なのかもしれませんよ(笑)