重力波の初検出に成功したことが話題になっていますが、その中でも注目されているのがブラックホールです。
というのも、ブラックホールは理論上存在するはずというだけで、光さえ吸い込んでしまうブラックホールは実際に観測することはできないからです。
そんな謎の多いブラックホールですが、最後には蒸発して無くなるって知ってましたか?
ここではブラックホールの蒸発について見ていきましょう。
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ブラックホールの蒸発はホーキング博士が発表
宇宙に存在するものには必ず寿命というものがありますが、ブラックホールも例外ではありません。
ブラックホールにも寿命はあるのです。
これまでブラックホールは質量が永遠に増えていく、減ることは無いとされていました。
しかしこれに異を唱える科学者がいたのです。
それがスティーブン・ホーキング博士です。
博士によると、何でも吸い込んでしまうブラックホールも周りの物質を吸いつくすと、長い期間をかけて少しずつ蒸発していくといいます。
これはブラックホールの周りには粒子と反粒子の対があって、どちらか片方が吸い込まれて片方を放出しながら蒸発していくという考え方です。
何だかよくわかりませんが(^^ゞ簡単に言うと、どちらかの粒子が外にはじき出されるということは、エネルギーの法則により質量が減ることになり、ブラックホールの重力も小さくなって行くというものです。
そして最後にブラックホールとしての役割を終え宇宙から消えてなくなる、つまり蒸発してしまうというわけです。
ブラックホールの蒸発には長い時間がかかる
ブラックホールは出来てから蒸発するまで非常に長い時間がかかると考えられています。
たとえば質量が太陽の10倍程度のブラックホールなら2×10の70乗年というとてつもなく長い年数になるそうです。
宇宙の年齢から考えるとほぼ無限と言っていいくらいの寿命だそうで、宇宙が存在している間は永遠に存在するといってもいいかもしれません。
もっともこれまではブラックホールの存在を懐疑的にみていた科学者もいたようで、ホーキング博士の考え方も確かなものではなかったようです。
ところが最近になってブラックホールの存在を証明する発見がありました。
それが「重力波」の観測です。
重力波の発見はアインシュタインの最後の宿題
重力波はアインシュタインが100年前に一般相対性理論の中で予言したもので、これまで誰も証明することができなかったのです。
ちなみにアインシュタインが予言したものとは
1.重力レンズ
2.時間の遅れ
3.重力赤方偏移
4.水星の近日点移動
があり、
これらは全て検証されてきました。
ところが重力波だけは誰も検証できなかったので、「重力波はアインシュタインの最後の宿題」とされてきたのです。
それが今回の重力波の初観測で“宿題”が提出されたわけで、科学者の間では衝撃的な出来事だったそうです。
発見者はノーベル賞獲得間違いなしでしょう。
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重力波を観測することでブラックホールを確認できる
先日話題になったアメリカでの重力波の初観測ですが、観測の際に見られる波形にはそれぞれ特徴があって、一目でブラックホールが合体した時の重力波と分かるそうです。
重力波には3つのパターンがあって、
ブラックホールが合体した時の重力波、
超新星爆発の時の重力波、
連星中性子星の合体の時の重力波
に分かれます。
この3つのパターンではそれぞれ重力波の波形が異なっていて、今回初観測されたのがブラックホールの合体時の重力波ということだそうです。
つまり観測された重力波を分析することで発生元やブラックホールの質量、合体寸前の回転速度まで判るとのこと。
ちなみに今回の観測で、0.2秒という短い観測データの中には13億光年離れた場所で太陽の29倍と36倍の質量を持ったブラックホールどうしが光の半分の速度で回転していたことまで判ったそうです。
たった0.2秒という短い観測データにはこれだけ貴重な情報が詰まっていることに驚かされますね。
こうしてできたブラックホールもやがて死ぬ時が来るんですね。
「蒸発」って言うくらいですから知らない間に消えていたということになるのでしょうか・・・