先日テレビを見たいたら星出彰彦宇宙飛行士が出演していました。
見ためはちょっとこじんまりした30代の男性でしたが、ユーモアを交えたお話がとても印象的でした。
その星出氏が自らの体験談をいくつか語ってくれたんですが、その内容と言うのが今まで聞いたことが無い内容ばかりで非常に興味を持ったんです。
ここではその内容をご紹介したいと思います。
マイナス20度以下でのサバイバル訓練が過酷
宇宙飛行士は宇宙でただ滞在するだけでなくいくつかの任務を与えられているわけですから、それなりに優秀でなければ出来るのものではありません。
もちろん健康な体と体力も必要になってきます。
それだけではありません。
いざというときの判断力も要求されるんだそうです。
それを物語るのがマイナス20度以下でのサバイバル訓練といいます。
どうしてこんな過酷な状況で訓練をするのかというと、災害などで緊急帰還したときに、仮に雪原に落ちてしまったときに救援隊が来れない場合に耐えることを想定しているんだそうです。
雪原で仲間と野宿をするそうで、とても大変だったそうです。
ただ、その中でも仲間との絆が強くなるそうです。
仲間といっても経験者もいるそうで、悩んでいる人を励ましたり、失敗した時も励ましたりしてくれるそうです。
訓練と言うよりもチームワークを築き上げることを目的にしているのかもしれませんね。
宇宙飛行士に選抜された時点で精神面で人並み外れた強さを持っている人ばかりで、簡単にはへこたれないそうです。
なので失敗を糧にして宇宙に挑むことができる精鋭ばかりなんですね。
6時間以上プールに潜りっぱなし
宇宙飛行士は宇宙ステーションの船外で作業をしないといけません。
もちろん無重力ですから重力のある地上での作業とは勝手が違います。
それを想定しての訓練というのが水の中で作業をすることです。
重さ120kgの宇宙服を着ての作業だそうで、水の中で無重力を想定して作業をするんだそうです。
これをなんと6時間以上プールの中に潜りっぱなしなんだそうです。
体力よりも精神的にまいってしまいそうですね(^^ゞ
これが宇宙遊泳を想定しているのですが、素人目にはそんなんで無重力を想定できるのか?って感じてしまいますよね。
これが訓練を体験した人の話では、けっこう無重力に近い感覚だそうです。
厳しい条件にも耐えうる宇宙服の構造
このときの宇宙服のお値段は12億円とのこと。
生命維持装置も付いているそうですが、桁違いのお値段にびっくりですね。
また最大連続運用は8時間で耐用年数は約30年だとか。
それと、真空や高熱に耐えうる仕様が凄いんですよ!
なんと宇宙服の生地は14層になっていて、1~3層は冷却下着になっているそうです。
これは太陽光線が当たるところは摂氏100度以上にもなるために、約100メートルものチューブが縫い込んであり、そこに水を流して暑くなるのを防いでいるそうです。
また4~5層は内部の空気が外に漏れることを防ぎ、6~14層は耐熱とスペースデブリの衝突から守ることを目的としているそうです。
宇宙飛行士を守るためにこれだけの重装備が必要なんですね。
命綱は30秒しかもたないガスジェット
プール内での訓練で不測の事態が起こればすぐに機械で浮上させれば危険性はほとんどありません。
これが宇宙空間となれば命綱はロープとガスジェットだけですから、何らかの理由でロープが切れてしまったら自ら宇宙服にセットされたガスジェットを噴射させてステーションに避難するしかないそうです。
そのガスジェットも30秒しかもたないとか・・・
もしスペースデブリに襲われてロープが切れてしまったら30秒しかもたないガスジェットに頼らなければなりません。
まさに命がけの作業なんですね。
スペースデブリ(宇宙ゴミ)を撤去する方法は無いのかを見てみる
宇宙では水の扱いが厄介
星出氏のお話によると宇宙では水の扱いが難しいのだそうです。
というのは以前「スカイラブ」で船内でシャワーがあり、使用時に水滴が機械をショートさせたりすることがあったそうです。
なので現在の国際宇宙ステーションにはシャワーもお風呂も無いそうです。
なので体は洗剤をまぶしたタオルで体を拭くだけみたいです。
これでは疲れが取れませんね((+_+))
どうして水の扱いが厄介なのかと言うと、水が持つ毛細管現象と呼ばれる性質によるものです。
毛細管現象と言えば理科の時間で習ったと思いますが、細い管の中を重力に反して上昇していく現象です。
地上で重力に反して動くのですから無重力の宇宙空間であればどれだけ扱いが難しいのか想像がつきますね。
たとえば地上で水を含んだタオルを絞れば水が下に落ちますが、無重力の宇宙空間では絞っても水はタオルにへばりついたまま離れることがありません。
タオルならまだいいかもしれませんが、口や鼻にへばりつくと窒息したりしてけっこう危険なんだそうです。
これが無重力での毛細管現象が厄介なところです。
地上でできないことが無重力ならできることがたくさんある半面、無重力ならではの不便なところもたくさんあるみたいです。
厳しい地上での訓練はそれだけ宇宙に行くことへの厳しさを反映しているということでしょうね。
やっぱり住み慣れた所が一番生活しやすいということでしょう。
“住めば都”ですね
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