国際宇宙ステーション
出典:NASA

国際宇宙ステーション(ISS)が老朽化して廃棄が検討されていることが話題になっています。

世界が共同で建設してきた人工衛星としては最大級の国際宇宙ステーションゆえに、その全長は約108.5m、重さは420tと、小型乗用車約420台分もの巨大な建設物となっています。

その巨大な建設物にも劣化の波が来ているようで、2020年に廃棄する計画になっています。

ところが、その処分方法が問題になっているようです。

スポンサーリンク
目次表示位置

燃え尽きることなく地上に落下するかも

人工衛星

これが地上の建設物ならさまざまな解体方法があるので問題はないのですが、宇宙空間となるとそう簡単にはいかないようです。

これまで人工衛星といえば放置しておいても大気圏に突入の際に燃え尽きて地上に被害を及ぼすことは無かったのですが、重さが420tの鉄の塊となると大気圏で燃え尽きることなく地上に落下する恐れがあるとのこと。

これが海に落下すれば大きな問題にはならないようで、地上からコントロールできそうな気がしますが、大きさが約108.5m×72.8mで、形状が複雑なために空気抵抗でどのようか落下の仕方になるのか分からないというのです。

どこかの国のように自国の人工衛星をミサイルで破壊できれば簡単に処分できますが、地球の周りに「スペースデブリ」を拡散することになるのでこれはできません。

 

スポンサーリンク

 

「ミール」や「スカイラブ」の処分方法

過去に大型の人工衛星が処分された経緯がありましたが、それはどのように行ったのでしょうか?

ロシアの「ミール」やアメリカの「スカイラブ」が割と大型の人工衛星でした。

大きさは

「スカイラブ」:全長約20メートル、重さ約30トン
「ミール」  :全長約33メートル、重さ約140トン

スカイラブは1979年に大気圏に突入した際に燃え尽きることなく地上に落下して民家の屋根に破片が突き刺さった実例があったそうです。

この時には人的被害が無かったとはいえ一歩間違えれば大惨事になりかねない事態に今後人工衛星廃棄に関しては大きな課題としていたそうです。

大型の人工衛星が落下する時にこうした教訓からロシアは学んだのか、2001年に落下したミールについては、その2ヶ月ほど前に燃料を積んだプログレス補給船を打ち上げてミールにドッキングさせて高度を徐々に下げて太平洋に落

下させたそうです。

ただ当時はミールの落下直前に日本上空を飛行することが分かると日本中が怖がっていましたね。とはいえ、日本に落下する可能性は一億分の一の確率だったそうです。

結局無事太平洋に落下して被害はありませんでしたが、改めて大型人工衛星の廃棄には慎重にならなければならないことが分かったのです。

全長33メートル、重さ約140トンのミールでさえここまで慎重にしなければならないのに、全長108.5m、重さは420tの国際宇宙ステーションとなると簡単にはいかないのは素人の私でも分かります。

関連リンク:宇宙ステーションが肉眼で見える! 2015年軌道情報 

 

スポンサーリンク

 

各モジュールは持ち帰る設計になっている

国際宇宙ステーションは廃棄の際に規模を縮小するために各モジュールは持ち帰ることになっていて建設時から設計されているそうですが、どうやって持ち帰るのか未だに決まっていないそうです。

2020年に廃棄となると後5年しかありません。しかし、モジュールを持ち帰る方法なんて聞いたことが無いところを見るとおそらくそのような計画は最初から無かったのでは?と疑ってしまいます。

つまり“見切り発車”です。

お役人の「今後モジュールを持ち帰る方法が新たに考えられて何事も無難に処理できるのでは?」といった安易な考え方です。

まるで使用済み核燃料の無害化が未だに開発されていない原発のようですね。

欧州宇宙機関(ESA)と米航空宇宙局(NASA)が廃棄仮想実験

計画では2020年に廃棄予定となっているようですが、アメリカが2024年までの運用延長を提案しているようですが、いずれにしても廃棄しなければならないのは明らかです。 

そこで2月27日から予定されているのが、ドッキング中のESAの無人補給機「ATV」を大気圏に突入させてどのように燃え尽きて、燃え尽きることなく部品が地上に落下するリスクを観測するというものです。

ATVにセンサーを搭載させて、航空機からのカメラ撮影、地上レーダーなどからの監視するといった大掛かりな実験だそうです。

しかしATVの全長は22.3m、重さは12tとステーション本体に比べるとはるかに小さなものです。

このATVの大気圏突入の実験で得られたデータも本の一部にしかすぎません。

こうした「モジュール」をいくつも組み合わせた国際宇宙ステーションが落下する時には各モジュールの接合部分がバラバラに壊れて落下するのをコンピューターでシミュレーションすらしいのですが、本当に正確なデーターが得られる

のでしょうか?

いっそのことロケットエンジンで加速して地球の引力圏外に放出させることってできないんですかね・・・