「歳差運動」ってご存知ですか?
歳差運動は、地球の自転軸が周期的に首振り運動しているとされる現象ですが、首振り運動によって北極星も使えなくなる時期が来るといいます。
また歳差運動によって地球上には気候変動もあるという学説もあるようで、昨今の地球温暖化にも影響を与えているのではないかと囁かれています。
今回は歳差運動によって地球上ではどのような変化があるのかご紹介します。
歳差運動とは
歳差運動とはどのような現象なのか、改めておさらいをしておきましょう。
地球の自転軸は公転面に対して23.4度傾いていますが、短期的にはこの状態で自転しながら太陽の周りを公転しています。
この状態で地球の自転軸の延長方向にこぐま座のポラリスが位置しているため、これを北極星としているわけです。
しかし長期的に見れば自転軸の方向が円を描くように首振り運動をしているために北極星もしだいに他の恒星に移動していきます。
分かり易く身近なものに例えると地球ゴマの回転しているときに首振り運動をしている状態と同じです。
こんな感じで。
この動きを踏まえて地球の自転軸を見てみるとこんな感じになります。
現在地球の自転軸の延長線上にポラリスが位置し、歳差運動によって将来はこと座のベガに取って代わることが分かります。
歳差運動の周期は25800年とされており、元の位置に戻るとされています。
歳差運動は何故起こるのか
歳差運動はどのようなメカニズムで起こるのか・・・
それは地球の形状に起因します。
地球は完全な球形をしているわけではなく、南北よりも赤道の周囲の方が距離が長いミカンのようなつぶれた形状になっているため、太陽の引力により自転軸が公転面に対して垂直に起こされようとします。
また、月や火星、金星をはじめとした惑星の引力に影響を受けることで自転軸の変化は非常に複雑な動きをすると考えられています。
このように地球の自転軸は周辺の天体の引力により首振り運動をしているためです。
歳差運動により変化する北極星
こうした地球の歳差運動により地球の自転軸が変化するため、その延長線上にある恒星もしだいに他の恒星に移動していきます。
詳しい解説はこちら:北極星はいずれ他の星と交代する
現在はこぐま座の「ポラリス」が北極星として認識されていますが、今後、西暦10200年頃には白鳥座の「デネブ」、西暦13700年頃にはこと座の「ベガ」が北極星として移っていくとされています。
ただし、25800年という周期が非常に長いためにそれぞれの恒星の動きが加わるので、一周して元の位置に戻ったとしても、現在のこぐま座の「ポラリス」が北極星としてふさわしいのか断言は出来ないとのこと。
歳差運動が地球温暖化に影響?
ここで気になるのが歳差運動による地球への環境の変化です。
昨今の地球温暖化は人類の経済活動による二酸化炭素の増加にあるとされていますが、これが歳差運動によるものだとしたらこれまでの温暖化対策が根底から崩れ去ります。
そこで歳差運動と地球温暖化の関係について調べてみたところ、興味深い要因にたどり着きました。
それが「ミランコビッチ・サイクル」と呼ばれる地球の軌道や自転に関わる環境の変化のサイクルです。
それによると、地球は次のような3つの周期的変化により日射量が変動するというものです。
1.地球の公転軌道の離心率
2.自転軸の傾きの
3.自転軸の歳差運動
これら3つの周期的変化により地球上に届く太陽の熱エネルギーに変化が起きて、寒冷化したり温暖化したりするというのです。
これまでの調査によるとこうしたサイクルは、2.3万年、4.1万年、10万年の周期変動が認められており、歳差運動もその要因の一つとなっているのです。
詳しいメカニズムは分かっていませんが、昨今の地球温暖化の要因が歳差運動によるものとしたら、現在行っている二酸化炭素の排出量を削減する対策は意味の無いことだけでなく、人類にとって大きな損失になっているのかもしれません。