子供のころ小学校の理科の時間で北極星の探し方を教えてもらったと思いますが、実際に探した人も多いのではないでしょうか。
私は教えてもらったその日に北極星を見つけたのを今でも記憶に残っています。
カシオペア座のWの辺を使った方法や、北斗七星のひしゃくの先端の間隔を使った方法で簡単に見つかります。
北極星は天体観測する人にとっては必ずといっていいほど利用される星ですよね。
特に赤道儀架台の天体望遠鏡を使っている人にとっては必ず使っているはずで、建物や山などで北極星が見えないところでは観測に苦労していると思います。
星に興味の無い人でも夜間に方角を確認する方法として重宝していますし、曇っている時なんかはどちらが北なのか分からず困ってしまいますよね。
そんな北極星ですが、将来他の星と交代するってことを知っていますか?
北極星が交代ってどういうこと?
ここでは北極星の交代についてご紹介します。
北極星は北極の真上にある
ここで改めて北極星について簡単に解説させていただきますね。
北極星は天の北極に最も近い恒星を意味しています。
現在はこぐま座のα星である「ポラリス」となっていて、ポラリス(の近く)を中心に天の星が回転しています。
長時間観測しているとポラリスを中心に反時計回りに回転しているように見えるますよね。
これはポラリスが地球の自転軸の北極側の延長線上に位置しているため、私たちから見るとポラリスを中心に回転しているように動いているからです。
北極星って地球の自転軸の延長線上にあるんだ
これを日周運動(にっしゅううんどう)と呼んでいますが、回転しているように見える星の写真を目にした方もいるでしょう。
北極星の探し方
ほとんどの方が小学校でも習ったと思いますが、再度改めて解説しますね。
探し方は二通りで大熊座の「北斗七星」と「カシオペア座」を使った探し方です
どちらも特徴のある姿をしているので簡単に見つけれれると思います。
時間帯によっては「北斗七星」か「カシオペア座」のどちらかが地平線に近くなって見えなくなるかもしれないので3月20日の夜8:00での探し方を見ていきます。
これを見ればあえて説明する必要も無いと思いますが、北斗七星の柄杓の2つの星の間隔を5倍した位置、カシオペアの2辺の延長線で交差した点と中心の星の間隔を5倍した位置あたりに北極星のポラリスが位置しています。
北極星は「北斗七星」か「カシオペア座」のどちらかを利用すれば簡単に見つかるよ
もっとも5倍しなくてもその辺りには紛らわしい星は無いので簡単に見つかると思いますが・・・
昔の北極星はリュウ座のトゥバンだった
現在の北極星はこぐま座のポラリスとなっていますが、天の北極から0.85度くらい位置がズレていますが、西暦2100年になると0.46度くらいまで接近するとされています。
また、紀元前2000年代にはりゅう座のα星である「トゥバン」が北極星にあたる位置にあり、聞くところによればエジプトのピラミッドがトゥバンを北向きとして作られたそうです。
今後西暦4100年ころにはケフェウス座γ星「エライ」、西暦10200年頃にははくちょう座 α星「デネブ」、西暦13700年頃になるとこと座α星「ベガ」が天の北極星となっているだろうと言われています。
そして西暦13700年には再びりゅう座のα星「トゥバン」が北極星となると言われています。
そして今から二万六千年後には再びポラリスが北極星の座に帰ってきます。
このように天の北極星はしだいに他の星と交代することになっています。
北極星は意外と広範囲で移動するんだね
どうしてこのような現象が起きるのかというと、地球の自転軸がコマの「首振り運動」のような動きをしているからです。
コマが傾き始めると首を振りながら回転し続けますよね。
地球も同じ首振り運動をしているのです。
これを「歳差運動」と呼んでいますが、この周期が約25800年とされているので自転軸が数千年ごとに別の星が天の北極に移動していくのです。
ただし、星自体もそれぞれ移動しているので26000年以上先のこととなると同じ恒星が北極星になるのかは正確には分からないとのこと。
ちなみに紀元前58000年ころの北極星はうしかい座のアルクトゥルス だったそうです。
もっとも、その頃は北極星という概念すらなかったと思いますが・・・
ポラリスは3重星
現在の北極星であるポラリスってどんな恒星なんでしょうか?
観測によればポラリスは3つの恒星がお互いの引力によって回転しあっていることが分かっており、その中で最も大きいのが太陽の30倍の大きな恒星であることが分かっています。
表面温度は7200度とこれは太陽の6000度とそれほど差はありません。
太陽から430光年離れており、2等星となっていますが3重星ということで明るさが変化する変光星とされています。
北極星は3重星だったんだね。
まだまだこの先ポラリスが北極星としての役割を担ってくれるわけですが、こうした交代劇があると知るとまた違った見方が出来て面白いですよね。
是非今夜にでも北極星を探してみてください。