火星移住
出典:NASA

ここ数年、宇宙開発も広範囲に手を広げつつあり、中でも複数の無人探査機が送り込まれて注目されているのが火星ですよね。

2030年代には有人火星探査も計画されているそうで、いよいよ人類は月に次いで地球以外の天体に足を踏み入れることになるのかもしれません。

NASAにおいても火星テラフォーミング計画について活発に議論がされているようで、火星に人類が移住する時代も想定に入っているかのような盛り上がりを見せています。

ただ、火星テラフォーミングが成功したとして簡単に火星移住といっても多くの課題があることも事実で、そこをクリアしていかないと移住の実現は夢物語になってしまうかもしれません。

その中でももっとも重要なのが食べ物ということになるでしょう。

今回は火星移住における食べ物調達方法について調べてみたのでご紹介します。

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火星に移住したら避けて通れない自給自足

出典:Wikimedia

火星移住が開始となれば食材をどうやって調達するのかということ。

そのつど地球から運んでくるという選択肢もありますが、コストや量を考えればいずれ限界が来るものと思われます。

しかも火星と地球が接近するタイミングを図って打ち上げるには1年待たなければなりません。

これでは万が一トラブルが生じれば命に関わる事態になりかねません。

そこで考えなければならないのが食物の自給自足です。

それもバランスのとれた栄養素が補給できる食材の確保です。

実際に地球から運ばれたものを元にして火星で継続的に収穫できる方法が検討されています。

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火星移住を想定した模擬実験が実際に行われた過去

実際にこのような事態を想定して地球上で壮大な実験が行われた過去があります。

それが「バイオスフィア2」

バイオスフィア2とは「第2の生物圏」の意味あいで名づけられたもので、人類が宇宙空間に移住した場合に閉鎖された空間で生存できるのかを検証するものです。

バイオスフィア2施設外観
バイオスフィア2の施設外観 出典:Wikipedia
バイオスフィア2施設内部
バイオスフィア2施設内部 出典:Wikipedia

1990年代にアメリカのアリゾナ州にある砂漠地帯に巨大なガラス張り空間を作って、世界の動植物を持ち込んで生態系の循環を重視した自然環境を再現していたとの事。

そこで科学者8名が自給自足の生活を送っていたそうですが、当初この計画は2年おきに科学者8名を入れ替え100年間継続する予定だったのが、最初の2年で打ち切りとなってしまったのだそうです。

その理由は、作物の生育が予想以上に悪かったのと動物も死んでしまったということなのだそうです。

地球上で行われた模擬実験でさえ人工的に生態系に適した環境を作り出すことが、如何に難しいのかがたった2年で終了してしまったことで証明されたわけです。

実際に火星で生活することになれば精神面での不安も加わり、もっと困難な状況に追い込まれることは想像に難くないですね。

それから現在までの約30年間、火星テラフォーミング構想も持ち上がるなど、様々な研究も進んで様々な栄養素も確保できるようになってきたと思われます。

以下は火星テラフォーミングが前提での方法となります。

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火星移住で最も困難なたんぱく質の調達

藻類

人間の体を構成している主な物質といえばなんと言ってもたんぱく質です。

筋肉や骨、内臓などを作る材料として人類が古くから摂取している栄養素ですから、たんぱく質無しでは生きていくことさえ困難といえます。

しかし地球で家畜や養殖場の設備を整えることはさほど難しいことではありませんが、火星で整えるとなるといろんな条件が違ってくるため非常に難しいといいます。

そのつど地球から送るという方法もありますが、コストや輸送量にも限界がありますから結局は火星で自給自足を考えなければなりません。

そこで考えられているのが「藻類農場」

藻類農場とは、その名のとおり海藻類を養殖できる設備の事ですが、人間にとって必要な栄養素を全て満たされている画期的な食材だそうです。

養殖も簡単だそうで、水さえあれば養殖可能との事で、幸いにも火星の地下に大量の水が発見されており、テラフォーミングによって気温が上昇すれば地上に水が現れるだろうと考えられています。

火星の土でも作物を収穫できる可能性

ジャガイモ

これまで火星探査において火星の土には炭素、水素、窒素、酸素、リンなどの栄養素が含まれていることが確認されており、密閉した温室設備があれば農作物を収穫できる可能性は十分にあるといいます。

ちなみにNASAは火星でジャガイモを育てて食糧問題を解決できるとして計画が進行中との事。

家庭菜園の経験のある方ならご存知と思われますが、ジャガイモって意外と簡単に収穫できるんですよね。

溝を掘って種芋を半分に切ってセットし、肥料もまいて土を被せるだけで後は適当に水を与えるだけで勝手に芽が生えてきて地中に多くのジャガイモが出来ます。

それも一年に二回も収穫できるんです。

ジャガイモの性質上、地球上でのあらゆる気候に適応できるみたいで、栄養素も炭水化物、たんぱく質、鉄分、亜鉛、ビタミンCなどの栄養素が豊富に含まれていることから世界各地で食べられています。

現在ジャガイモは65種類の品種が確認されており、今後火星の環境に適した品種を選別する予定だとか。

今後研究が進み、遺伝子操作を利用するなど、画期的な食物調達方法が開発されてくるものと考えられます。

人類の火星移住も夢ではなくなってきたのかも・・・