ダイヤを持っているかに座

2012年に「ダイヤモンドで出来ている惑星がある」と発表されてから注目されてきた「かに座55番星e」

埋蔵量は現在の価値にして何と2700兆ドル

「将来採掘できれば大金持ちになれるかも」

なんて思惑も語られてきたようですが、惑星としての性質を知るや夢物語であることが分かると急速にしぼんでしまった感があります。

そこで「かに座55番星e」の性質や環境などを調べてみたら、当ブログ記事白色矮星とは・・・いずれは超巨大なダイアモンドになる!?に書いてあるように太陽クラスの恒星が寿命を迎えてたどり着いた白色矮星じゃないの?って一瞬思ってしまったのですが・・・

果たしてその正体とは・・・

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かに座55番星eの内部にダイヤモンドの層が存在?

2012年に発表された論文によると、かに座55番星eの総質量のうち3分の一がダイヤモンドで出来ており、地球3つ分に相当するというもの。

かに座55番星eは主に炭素、炭化ケイ素、炭化物、鉄、ケイ酸塩で構成されており、ダイヤモンドは内部に層となって存在しているのだそうです。

これはNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡によるトランジット法をはじめとした観測から得られたデータを解析することで確認できたのだといいます。

太陽系外惑星の観測もここまで解析できるようになってきたんですね。

かに座55番星eと主星かに座55番星Aの基本データ

かに座55番星eはかに座に位置する恒星「かに座55A」の周りを公転する地球型惑星です。

「かに座55番星」は、かに座の連星系で、太陽クラスの主系列星の「かに座55番星A」と質量の小さい赤色矮星「かに座55番星B」とで連星を形成しています。

視等級は6等級と暗いですが、双眼鏡や初心者向け天体望遠鏡があれば観測可能とのこと。

かに座55番星の位置はこちら
かに座55番星の位置

2月1日、20:00の東の空に観ることができます。
矢印付近にあります。

太陽から41光年の距離にあるこの連星は1000天文単位離れて公転しているとされ、「かに座55番星A」の周りには5つの惑星が確認されており、「かに座55番星e」はその中の一つです。

ここで分かり易くするために各天体のデータを見て比較してみましょう。

恒星としての比較

天体名 質量(太陽質量) 半径(太陽半径)
かに座55番星A 0.905 0.943
かに座55番星B 0.3 0.13
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惑星としての比較

天体名 質量(地球質量) 直径(km) 公転半径(km) 公転周期
地球 1 12,742 1億4960万 365日
かに座55番星e 7.8 23,891 230万 18時間

「かに座55番星e」は直径が地球の2倍、質量が地球の8倍という所謂「スーパーアース」と呼ばれる天体です。

イメージ画像がこちら

地球とかに座55番星eの大きさ比較
出典:Wikipedia

公転半径は地球と太陽の距離のわずか1.6%に相当する約230万kmしかなく公転周期も18時間にも満たない短時間で一周するなど太陽系とはまったく違った姿となっています。

分かり易いイメージ画像がこちら

かに座55eの軌道
かに座55eの軌道 出典:Wikipedia

太陽系の水星よりも遥かに近いところを公転しているのかが分かりますよね。

また、主星と近いために表面温度は2100度にもなるとされ、そのために赤い色になっています。

かに座55番星eのダイヤモンド層は核融合によるもの?

この発表をはじめて見た時、総質量の3分の一がダイヤモンドで出来ているとされていることから真っ先に思いついたのが、ダイヤモンドの原料となる炭素です。

炭素が高温高圧化で出来るダイヤモンドの性質上、恒星の核融合により中心部で炭素が形成され、そこで恒星が終末を迎えて白色矮星となり、しだいに冷えてダイヤモンドまで形成されたのではないかということ。

ところが「かに座55番星e」の大きさや質量からすると白色矮星とはかけ離れた性質なのです。

太陽が白色矮星になると質量は・・・

白色矮星は、たとえば太陽が終末期を迎えて白色矮星になった場合、直径は地球くらいで質量は太陽の半分になると考えられています。

上の比較表を見れば分かりますが、かに座55番星eの直径は地球の2倍くらいで、質量は地球の8倍くらいとなっています。

太陽の質量は地球の33万倍もあることから、白色矮星となって質量が半分となっても地球の16万倍くらいはあることになり、明らかにかに座55番星eは白色矮星ではないことが分かります。

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かに座55番星eはガス惑星だった

かに座55番星eは白色矮星ではないとしたら、どのようにしてダイヤモンドを大量に含む惑星となったのか・・・

一説によるとかに座55番星eは最初から岩石惑星として誕生したのではなく、最初は揮発性物質に覆われたガス惑星だったといいます。

その後恒星によるコロナ質量放出により表層のガスが剥ぎ取られて岩石惑星になったと推測され、2100度という高温と構成される炭素と合わせてダイヤモンドが形成されたのではないかと考えられているようです。

かに座55番星eの主星である「かに座55番星A」とその周囲を公転する惑星が全て同じ原始円盤から誕生したと仮定すれば、惑星の全てで炭素が豊富に含まれているのも納得できることといいます。

その惑星の中の一つがたまたまダイヤモンドが形成される条件下にあったということなのかもしれません。

私たちが属する太陽系が主に酸素とケイ酸塩からなることを考えると、惑星系の構成物質は原子円盤に含まれる物質により決まってくるのかもしれません。

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

美しいダイヤモンドは希少価値があるから高価格

かに座55番星eに地球3個分のダイヤモンドがあるとして仮に全て採掘して地球に持ち帰ることが出来たとしても、意外とがっかりする結果となるかもしれません。

というのもダイヤモンドや金、銀、プラチナなどの貴金属は希少価値があることで高値で取引されているわけで、地球3個分ものダイヤモンドを持ち帰れば地球にはダイヤモンドで溢れることになり価値は急落することになるからです。

地球以外にダイヤモンドを見つけたとしても一つの憧れくらいの気持ちでいる方が賢明なのかもしれませんね。

満点の星空もダイヤモンドに匹敵する美しさですから♪