太陽系最大惑星の木星は、2018年10月時点で79個もの衛星を従えています。
その中でも有名なのがガリレオ衛星。
初心者向け天体望遠鏡や双眼鏡でもハッキリと確認できることで知られています。
なぜならガリレオ衛星は他の衛星よりも群を抜いて大きいから。
また、短時間で公転しているので時間をおいて観測すると位置が変わっているなど、観ていて何となく面白いですよ。
そんなガリレオ衛星はどんな衛星なのか・・・
今回はガリレオ衛星の特徴について調べてみたのでご紹介します。
ガリレオ衛星と地球の月を比較
ガリレオ衛星の大きさや質量など、地球の月と比較してみたのでご覧ください。
衛星名 | 直径 (km) |
質量 (kg) |
平均軌道半径 (km) |
公転周期 (日) |
自転周期 (日) |
---|---|---|---|---|---|
月 | 3,474 | 7.35×10^22 | 384,400 | 27.25 | 27.25 |
イオ | 3,632 | 8.92×10^22 | 421,600 | 1.76 | 1.76 |
エウロパ | 3,138 | 4.8×10^22 | 670,900 | 3.55 | 3.55 |
ガニメデ | 5,262 | 1.49×10^23 | 1,070,000 | 7.16 | 7.16 |
カリスト | 4,820 | 1.08×10^23 | 1,883,000 | 16.69 | 16.69 |
「公転周期」と「自転周期」を見てもらえば一目瞭然ですが、全て同じ数値となっていますよね。
これはガリレオ衛星が地球の月と同様、潮汐ロックがかかっていつも同じ面を木星に向けていることを示しています。
これらの数値を見ながらそれぞれの特徴を見ていきましょう。
ガリレオ衛星の特徴
これまで木星探査には多くの探査機が投入されてきましたが、1979年に探査機「ボイジャー」が木星に接近した際、ガリレオ衛星の独特な姿を捉えたことがきっかけになり、1995年に探査機の「ガリレオ」が投入されたのだそうです。
初めて4つのガリレオ衛星に接近して観測を続けた探査機の「ガリレオ」
1989年10月18日にNASA が打ち上げた木星探査機「ガリレオ」が2003年に木星大気圏に突入するまで、木星の衛星を観測し多くの画像を地球に送り続けました。
初めて目にする衛星のアップ画像にその独特な姿に多くの人が驚いたはずです。
探査機のガリレオの観測によりガリレオ衛星の様々な情報を得ることが出来たといいます。
ガリレオ衛星のそれぞれの特徴を見ていきます。
イオの特徴
ギリシャ神話に登場する女神「イーオー」に因んで命名されたイオは、木星第一衛星で大きさは月よりも若干大きく、ガリレオ衛星の中で最も内側を公転しています。またガリレオ衛星の中で最も質量が大きく、高密度なために太陽系の衛星では最も水分の割合が少ない衛星とも言われています。
さらにイオは、太陽系の衛星の中で最も火山活動が活発で、400個を超える火山があるとされています。
そのためイオの表面は火山の噴出物による硫黄やその化合物で覆われているため黄色みがかった特徴があります。
火山の噴火は現在でも続いており、噴出物が木星の磁場に捕らえられてオーロラが発生する原因にもなっているのだとか。
木星のオーロラは太陽系惑星で発生する中でも最も規模が大きいとされていますが、地球のオーロラのように太陽風だけが原因となっているだけでなく、火山の噴出物が加わっているのも一つの要因なのかも知れませんね。
この火山活動のエネルギー源というのが木星の重力による潮汐力でイオが揉まれる状態になり熱を持つことによるものと考えられています。
公転周期が1.72日と超高速で公転していることからも解るように、木星の巨大な重力にかなり影響を受け易い環境にあることがうかがい知れます。
エウロパの特徴
木星の第二衛星であるエウロパは、月よりも若干小さく、ガリレオ衛星の中でも最も小さい衛星です。
表面には網目状の筋が無数に見られ、他には無い印象を受けますが、この模様はエウロパが氷(H2O)で覆われているためそのひび割れではないかと考えられているようです。
エウロパは公転半径が670,900kmと木星に近いことからイオと同様、木星の潮汐力を受けて内部が揉まれ熱が発生しているとの事。
そのため内部は液体の状態が保たれているとみられ、生命体の存在が期待されています。
表面にクレーターが見られないのも内部の水がひび割れから噴出して埋めているものと考えられています。
詳しい解説はこちら:エウロパは生命体が住める環境なの?
ガニメデの特徴
木星第三衛星であるガニメデは太陽系の衛星で最も大きく、その直径は水星よりも大きい衛星です。
表面にはエウロパに見られるような溝が見られ、氷で覆われているものとみられています。
衛星には珍しく固有の磁場(ガリレオ探査機が発見)が確認されており、この事実からガニメデの内部構造はダイナモ効果を発生する溶けた金属の核があるのではないかと考えられています。
また磁場を詳しく観測したところエウロパのようにガニメデ内部には海があるのではないかと考えられています。
カリストの特徴
ガリレオ衛星の中で最も外側を公転する木星第四衛星のカリストは、大きさにして水星とほぼ同じの衛星です。
表面は全体に黒っぽく、無数のクレーターが点在していますが、エウロパやガニメデのような筋状の模様は観られません。
これはガリレオ衛星で木星から最も遠いところを公転しているので木星の潮汐力を受け難く、内部の対流が停滞してしまい表面のクレーターを埋める現象が無かったものと考えられます。
ガリレオ衛星以外の衛星
木星の衛星は確認されているだけで79個もありますが、ガリレオ衛星意外は全てが歪な姿をしています。
全てが球形をしておらず岩石の欠片のような姿をしていますよね。
その多くは木星の重力によって捕らえられた小惑星と考えられています。
また、木星の潮汐力によりバラバラにされた衛星もあるとみられ、木星の自転方向とは逆に公転している衛星もあるそうです。
今後の探査によってさらに衛星が発見されると見られており要注目です。