宇宙には無数の恒星が存在していますが、その大きさも様々で姿も違ってきます。
質量の大きな恒星は青く輝き表面温度も高温となっており、さほど質量の大きくない太陽の現在は白っぽい姿となって輝いています。
こうした恒星にも最後となる時期がやってきますが、当ブログでも何度も紹介しているように恒星の最後というのは質量によって違ってくることが分かっており、質量によっては壮大な最後になるとされています。
一方質量の小さな恒星である赤色矮星の最後はどのような経緯を辿って最終的にはどのような姿になるのか・・・
今回は質量の小さな恒星の最後について調べてみたのでご紹介します。
赤色矮星の特徴
赤色矮星は恒星の中でも非常に小さな恒星として知られ、質量は太陽の半分~三分の一くらいしかないとされ、最も小さい赤色矮星となると太陽の8%の質量しかないとされ、これ以下の質量になると中心部の温度が上がらないため核融合反応が起きないとされているため結果として恒星ではなくなります。
逆に最も大きな赤色矮星は太陽質量の46%位とされ、これより大きな質量になると太陽と同じ運命を辿ることになると考えられています。
赤色矮星は質量が小さいので核融合反応の進み方も遅いために温度が低く、表面温度でも太陽の半分以下である3000℃以下とされています。
ゆっくりと少しずつ核融合反応が起きているので燃料の水素の消費量が質量の割りに少なくて済むため寿命が長いことで知られています。
たとえば太陽に最も近いとされる「プロキシマ・ケンタウリ」は太陽質量の七分の一、表面温度は約3,000度で、太陽から4.2光年の距離に位置しています。
太陽近傍にはこうした赤色矮星がありふれた状態で存在しているとされ、赤色矮星は宇宙で最もありふれた恒星と考えられ、太陽系近傍にある恒星のうち8割弱が赤色矮星であるとされています。
近年の太陽系外惑星探査においても赤色矮星が対象になるのも、ありふれた存在であることや寿命が長いことが大きな要因となっています。
宇宙では赤色矮星は最後を迎えたことが無い
恒星は質量が大きいほど寿命が短いことはすでにご紹介してきましたが、その寿命というのが太陽の100倍くらいの質量を誇る恒星となると僅か200~300万年くらいとされています。
こうした質量の大きな恒星は最後に超新星爆発を起こして中性子星かブラックホールを残すと考えられています。
これが赤色矮星となるとその寿命は格段に長くなり、太陽質量の半分位の赤色矮星で2000億年、太陽の8%の質量しかない最小の赤色矮星になると数兆年という非常に長い寿命と考えられています。
宇宙が誕生してから138億年になるとされていますから、寿命を迎えた赤色矮星は存在しないことになります。
赤色矮星は最後の段階で赤色巨星にはならない
赤色矮星は最後を述べる前に太陽の最後がどのようなプロセスを経るのか解説しておきます。
太陽の寿命は100億年とされていますが、中心部で起きている核融合の燃料である水素が尽きると、その外側に残された水素が核融合を継続するのでそのエネルギーにより膨張をはじめ赤色巨星になります。
大きさにして太陽系で地球の軌道あたりまで膨張するとされる赤色巨星となった太陽は、それまで外側の水素による核融合によりさらに多くのヘリウムが溜まることになります。
すると中心核に溜まったヘリウムは自らの重力により高温になるため核融合を始めて、中心核はやがて炭素や酸素で満たされ、ここで核融合が終了します。
そして表面のガスは宇宙空間に逃げ出して中心核が残ります。
つまり太陽は最終的には炭素や酸素で構成された白色矮星が残されることになると考えられています。
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赤色矮星は水素が尽きても膨張しない
ところが赤色矮星は水素が尽きても膨張することは無く赤色巨星にはならないと考えられています。
ただし膨張しないが、熱エネルギーの放出量が増大すると考えられ、そうなると温度は上昇することになるので赤色矮星は青く変色するものと考えられます。
この状態を青色矮星と呼んでいますが、宇宙が誕生して138億年しか経っていないことからすれば青色矮星は存在していることは無く、あくまで仮説上の天体ということになります。
そして青色矮星は水素を使い果たしてそのままヘリウムが中心核の白色矮星になるだろうと考えられています。
ヘリウムが中心核の理由は赤色矮星の質量では中心核の温度が上がらずヘリウムは核融合することはないため、そのままヘリウムとして残るからです。
ただし、宇宙には寿命を迎えた赤色矮星は存在していないことになっていますから、最後にどのような姿になるかは予想に過ぎません。
もし人類があと数兆年も生き延びて赤色矮星の最後を見届けることが出来たのなら、タイムマシンでも使って私たちに伝えてくれるとありがたいですよね。