地球の質量

宇宙の話題を語っていると必ず出てくる専門用語があります。

それが「質量」

太陽の質量は地球の○○万倍だとか、天の川銀河の中心には太陽の○○万倍の質量を持つブラックホールがあるなど。

私たち一般人にとっては質量という言葉を基準に様々な天体の規模をイメージできるというわけですが、それにしてもこの質量ってどうやって計測しているのかご存知ですか?

今回は天体の質量の計測方法について解説してみます。

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質量は普遍

まずはそもそも質量とは何か、おさらいしておきましょう。

質量とは物質そのものの量のことを言い、かつ環境に左右されない量のことをいいます。

たとえば体重が60kgの人は地球上で測ればもちろん60kgになりますが、地球の六分の一しかない月で測れば10kgになります。

しかし計測方法を天秤にしてみると、地球で測っても月で測っても同じ60kgになります。

天秤

これは天秤に使用する分銅の重量も六分の一になるため、地球上で60kgの人が何処に行こうと60kgの分銅とつり合うからです。

地球上で質量が60kgの物質の重量は60kgで、月に行くと質量が60kgだが重量は10kgということになります。

つまり、質量は普遍で重量は引力で変化するということです。

物の大きさによって重量が違うのは物の質量が異なるから

たとえばネズミとゾウでは重量にはかなりの差がありますよね。

しかしネズミもゾウも同じ地面に立っていますが引っ張られているのは地球の引力によるものです。

同じ引力によって引っ張られているのに重量が違うのは何故でしょうか?

ここで登場するのが「万有引力の法則」です。

万有引力とは、宇宙の全ての物質に引っ張る力があるという意味で、この法則はネズミやゾウにも当てはまります。

つまりネズミもゾウも地球に引っ張られているだけではなく、お互いが引っ張り合っているのです。

万有引力の法則によれば物質の質量が大きいとそれだけ引っ張る力が大きくなるため差が出てくるのです。

ネズミとゾウの重量が違うのはネズミよりもゾウの方が大きいために質量が大きくなり重量が大きくなるのです。

これを踏まえて惑星の質量について考えて見ます。

 

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惑星の質量は万有引力の法則から求めることが出来る

天体の質量

太陽系惑星の質量の算出にはその天体の公転周期や主天体との距離から求めることが出来ます。

宇宙には万有引力の法則があることは知られていますが、万有引力の法則によれば、重力は引き合う天体のそれぞれの質量に比例し、その距離の二乗に反比例すると定義されています。

たとえば二つの天体の距離が2倍になれば重力は四分の一になり、3倍になれば九分の一になるということ。

また、公転による遠心力は惑星の公転速度の二乗に比例し、距離に反比例すると定義されています。

こうした重力と遠心力から算出された天体の質量は、公転速度の二乗と軌道半径に比例することになり、これらの法則から天体の質量が導き出されるというわけです。

太陽系の各天体の質量

それでは太陽系天体の質量はどのくらいになるのか見ていきましょう。

イメージし易いように地球を1として掲載しています。

天体平均半径体積質量表面重力
太陽109.25 1,304,000332,837 28.02
水星0.3830.0562
0.05530.15
金星0.95
0.8570.8150.9
地球1111
0.273
0.0203
0.01230.166
火星0.5320.1510.1070.38
木星10.971,321317.83 2.535
土星9.1476495.159 1.06
天王星3.9863.114.536 0.9
海王星3.8757.717.147 1.140
(Wikipediaより一部引用)

ちなみに地球の質量は5.974×10の24乗kgです。

この数値を各天体に掛け合わせれば質量が算出されます。

最近は太陽系外惑星が次々と見つかっていますが、同時に質量までも算出され「第二の地球か?」と騒がれる事例も出てきています。

これら太陽系外惑星の質量も同じ法則により算出されているわけで、ハビタブルゾーン に位置していることが分かるのもこういった理由があるからです。

 

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恒星の質量の求め方は性質により異なる

それでは太陽以外の恒星の質量はどのようにして算出されるのでしょうか?

それは恒星単独なのか連星なのかで算出方法が違ってきます。

というのは、恒星は半数以上が2つ、3つといった複数の恒星が公転しあっている連星となっており、太陽のような単独の恒星の方が少ないのです。

したがって連星であればお互いの公転周期や距離、公転の重心を割り出すことで上記に書いたような考え方で質量を割り出すことが出来ます。

ただし、観測しようにも距離が離れすぎていたり詳細を分析できなかったり、公転周期が長すぎるて観測期間が足りずに軌道を割り出すことが出来ないこともあるそうで、質量の算出は困難になることもあるのだとのこと。

同様にブラックホールも近くを公転する恒星の公転周期や距離が分かれば質量が求められることになります。

単独の恒星の質量は絶対等級で測定

それでは単独の恒星の質量はどのようにして求めるのかというと、光度(絶対光度)と色で分かるそうです。

というよりも恒星の光を測定して、スペクトル型を分析することで公式に当てはめることで質量が算出できるとのこと。

この方法は恒星の明るさと質量が比例するという、いわば質量と光度の関係から計算が可能です。

分かりやすく言うと、質量の小さな恒星は赤くて暗く、質量が大きくなるにつれて黄色から青白くなり明るくなります。

つまり赤い恒星は質量が小さく青白い恒星は質量が大きいということになります。

ただしこれは主系列星に限って言えることで、それ以外の恒星となると質量と光度の間に関係が保たれないので質量を算出することは出来ないとされています。

主系列星とは、中心部で核融合してヘリウムに変換されている状態の恒星、いわば“働き盛りの恒星”をいい、太陽も主系列星に属します。

原始性や終末期を迎えてた白色矮星やベテルギウスやアンタレスのような赤色巨星は主系列星には属していません。

もっともこういった恒星の質量も観測技術の発達とともに更新されることもしばしばだそうで、今後違った恒星の姿が見えてくるのかもしれません。