火星

近い将来人類は火星移住に向けて準備が始まるといわれていますが、問題となっているのが火星の環境です。

その一つが表面温度が低いこと。

平均するとマイナス45℃と地球の極地方よりも厳しい環境となっています。

火星の大気構成は二酸化炭素が95%と、地球温暖化で問題となっているCO2で構成されています。

それなのに火星は極寒の地となっています。

何故でしょうか?

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基本データから見る火星の環境

まずは火星の基本データから見ていきましょう。

分かりやすく一覧表にしてみました。

火星 地球
太陽からの距離 2億2790万km 1億4960万km
公転周期 687日 365.25日
自転周期 24時間37分 23時間56分
赤道半径 3369.2km 6378.1km
質量 0.1074 1
自転軸の傾き 25.19 23.44
平均表面温度(℃) -45 15
衛星の数 2 1

これに加えて火星大気の組成ですが、二酸化炭素が95%を占め、窒素 が2.7%、アルゴンが1.6%、酸素が0.13%、他、となっています。

これだけ見ると大気の殆どが二酸化炭素で占められているにもかかわらず表面温度が低いのは、気圧が低いことにあります。

何故気圧が低いと温度が低くなるのかというと、そういった法則があるからです。

ボイルシャルルの法則って知っていますか?

当ブログ記事、気圧とは何か?わかりやすく解説します。の中でも解説していますが、気圧が下がると温度も下がるのです。

山に登ると気圧が下がるとともに気温も下がりますよね。

これと同じで極端に気圧の低い火星の地表は表面温度も低いのです。

火星の気圧は地球の1%と極端に低く平均温度が-45℃と極寒の地となっています。

では何故火星の大気はここまで薄くなってしまったのでしょうか?

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火星の質量が小さいことで大気を留めておくことが出来なかった

基本的には質量が地球の約10分の一と低いことにあるのですが、これによって火星の重力も低くなり、地球の3分の一しかありません。

こうした重力が低いことにより大気が宇宙空間に逃げてしまい気圧が下がってしまったといいます。

しかしこれだけで火星の大気が薄くなってしまったとは説明がつかないといいます。

ということは他にも原因があるということ。

それが火星の磁場です。

磁場が大気を守ってくれる

地球は豊富な大気と水により多くの生命を育む惑星となっていますが、こうした環境を維持できる要因の一つに強力な磁場が存在するからと考えられています。

しかし火星にはごく弱い磁場しか存在しておらず、太陽風から大気を守ってくれることが出来なかったのではと考えられています。

近年の研究で火星の大気は太陽風によって剥ぎ取られた可能性が高いとされ、広大な海があったとされる太古の火星が現在の干からびた姿になってしまったのも磁場によるものの影響が大きいとされています。

火星の磁場は非常に弱い

火星は太陽系第4惑星で、太陽からの距離は地球の1.5倍あります。

太陽からの距離が地球よりも遠いために熱エネルギーが不足しているうえに、磁場が弱いことで拍車がかかったといいます。

どのくらい弱いのかというと分かりやすいイメージイラストがあります。

地球と火星の磁場の比較

地球には大きな磁場によって守られているのが見て取れますが、火星にはところどころに小さな磁場が数箇所見えるだけですよね。

これだけ火星の磁場は弱くなってしまったのです。

広大な海が広がり表面温度も高かった時代の火星には今よりも強力な磁場が存在していたのではないかと考えられていますが、それでは何故火星の磁場がここまで弱くなってしまったのでしょうか・

動画で分かりやすく解説:BBC 神秘の大宇宙 DVD全9巻

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火星の内部が冷えて固まってしまった?

それは質量が小さいのと太陽からの熱エネルギーに乏しいがゆえに内部の冷却が早まってしまったのが原因と考えられています。

そのために核の流動が滞ってしまい磁場を発生させるダイナモ効果が弱ってしまったのが原因と考えられています。

何故核の流動が滞ってしまったと考えられているのかというと火星にはプレートが無いからです。

ご存知のように地球にはプレートがいくつも存在して潜り込んだりして地震を発生させるなどの地殻変動が盛んですが、火星にはプレートが無いのです。

これは内部が冷えて流動が滞ってしまったためと考えられています。

そのために火星には山脈が無いことと、エベレストの3倍もの高さのオリンポス火山が何時までも存在することが出来るのだといいます。

ただし火星の内部構造はあくまでも想像の範囲内のことなので火星内部がどのようになっているのかというのは正確にはわかりません。

現在、NASAの無人探査機「インサイト」が火星に着陸して地震活動などの調査を行っているようで、火星内部の構造もいずれ解明されていくものと考えられています。