宇宙エレベーター

宇宙エレベーターの開発に弾みがつきそうです。

宇宙エレベーターの開発に大きな問題点というのが宇宙と地上を繋ぐケーブルで、強度に信頼できる製造方法が確立されていなかったそうです。

そこで今回解決しそうなのが「カーボンナノベルト」

今までは宇宙エレベーターのケーブルにはカーボンナノチューブを使用するだろうとされてきたようです。

というのも、カーボンナノチューブは鉄の約20倍もの硬さを持っていながら重さはアルミの三分の二と軽く、高い伝導性や熱を通しやすい性質を持っているからです。

ところがその構造においてバラバラな分子が混在するという欠点があり目的とする形状に作るのが難しく産業応用の壁になっていたそうです。

その欠点を補うのが今回製造に世界で初めて成功したカーボンナノベルトというわけです。

カーボンナノベルトは60年ほど前に理論的には可能とされながらも実現できなかった「夢の分子」だったとか。

これを日本人の研究チームで世界で初めて合成に成功したというのだから驚きです。

しかも私の地元である名古屋大学の研究チーム!

日本人って本当にかしこいですよね。

日本人(名古屋)に生まれてよかったです!(^^)!

ここではカーボンナノベルトについて調べてみたのでご紹介します。

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カーボンナノベルトはカーボンナノチューブを輪切りにした素材

カーボンナノチューブは炭素原子が規則正しくチューブ状に連なった構造をしていて、そのチューブの直径はナノメートル単位ととても細いとされています。

軽くて丈夫な素材として期待されていましたが、製造過程に偶発的な要素があり太さがバラバラになるなど、実用化にはほど遠いものだったとか。

そこに今回登場したのが「カーボンナノベルト」で、その形状というのはカーボンナノチューブを輪切りにした姿をした形状をしているそうです。

この輪切りにした形状を繋げることで安定した形状のカーボンナノチューブを作ることが出来るようになったそうです。

カーボンナノチューブの実用化は難しかった

宇宙エレベーターの開発にはゼネコン大手の「大林組」が取り組んでいますが、今のところ2030年に建設開始、運用開始は2050年を想定しているとのこと。

その建設費用は何と10兆円!

大林組によれば、ケーブルの建設に最も長い年月が必要で20年をみているそうです。

ケーブルを静止軌道にまで運んで、地球に向けてると同時に、その反対側に向けて両方にケーブルを伸ばすだけで1年を要するといいます。

その後はケーブルを太くしていくことになるんだそうですが、これだけで計20年かかるそうです。

宇宙エレベーターのケーブル
出典:JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会

あわせて読みたい:宇宙エレベーターって何年後にできるの?

何故ここまで年月がかかるのかというと、最初に幅48mm、厚さ0.004mm、長さ9万6千kmのケーブルを静止軌道まで運ぶのに重さだけで20tとなり、ロケットで運ぶのにはこれが限界なんだとか。

一度伸ばしたケーブルに何度もクライマー(昇降機)を往復させて少しずつケーブルを太くして、最終的には厚さ1.38mmまで増やすとのこと。

ここまでケーブルを厚くすることで、重さ100tのクライマーが昇降できるんだとか。

ここで問題となっているのが長さ9万6千kmのカーボンナノチューブのケーブルで、今までの技術では3cmがやっとなんだとか!

9万6千kmに対して3cm?????

これではケーブルの製造には何の目途も立っていないと同じですよね。

そこでカーボンナノベルトがどこまで長いケーブルを製造できるかがカギになるというわけです。

今のところカーボンナノチューブを使用したテニスラケットや車のバンパーに配合されるなど、一部実用化は進んでいるものの製造価格が高過ぎて普及はしていないようです。

カーボンナノベルトが実用化されれば製造価格も下がって多くの分野で活躍できると期待されています。

 

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カーボンナノチューブ驚くべき性質

カーボンナノチューブの性質が優れていることはよく知られていますが、どのくらい凄いのか気になりますよね。

その凄い性質とは

1.軽量・高強度・柔軟

重量はアルミニウムの半分、引っ張り強度は鋼鉄の100倍、硬さにおいてはダイヤモンドの2倍とされています。

これだけ軽くて頑丈な上に柔軟性に優れており、破断し難くく復元性にも優れているとされています。

2.高い導電性

高い導電性を持つ素材でよく知られているのが「銅」ですが、カーボンナノチューブは銅の1000倍という高い電流密度耐性があり、銅で耐えられなかった高密度の電流でも耐えられる性質があります。

こうした性質を利用して宇宙エレベーターによる太陽光発電の大量送電としても利用できるかもしれませんね。

3.高い熱伝導性・耐熱性

カーボンナノチューブは空気中で750度、真空中では2300度まで耐えられるようになっているそうです。

地上と宇宙空間を行き来する宇宙エレベーターだけに、これだけの耐熱性があればいいかもしれませんね。

4.化学安定性

宇宙エレベーターのケーブルに利用されるだけに安全面でしっかりしておかなければならないのがケーブルの劣化です。

カーボンナノチューブは化学的に安定した素材ということで、殆どの薬品に反応しない、溶けない、熱硫酸にも溶けないなど、ケーブルに利用するにはもってこいの素材ですね。

 

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カーボンナノチューブに発がん性?

これだけ凄い性質を持ち合わせているカーボンナノチューブにもちょっと気になる情報があります。

それが発がん性があるのではないか?という懸念です。

カーボンナノチューブには、いろんなタイプがあり、細長い針状のタイプを使用してマウス実験をしたところ明らかな発がん性が見られたという報告があります。

ただしこの実験は発がん性が認められている「アスベスト」に形状が似ていることから、カーボンナノチューブ自体に発がん性があるとは断定されていないようです。

つまり他の形状に発がん性が認められなければ問題ないみたいです。

今後他のタイプで実験を進めていき他のタイプで情報を集めていくのではないでしょうか。

宇宙エレベーター自体にも多くの懸念材料がある

ケーブルの製造方法が確立できても、宇宙エレベーター全体として多くの問題を抱えています。

たとえば

1.地上の天候
2.宇宙ゴミとの衝突
3.太陽風の影響
4.飛行機との衝突
5.エレベーターの安全性
6.隕石との衝突

などがあげられます。

まだまだ宇宙エレベーターの実現にはケーブルだけでなく多くの課題が残されています。

ひとまずケーブルの製造に目途が立ったわけですから、残りの課題を一つ一つクリアしながら宇宙エレベーターの建設に取り組んでもらいたいものですね。